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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第二章 謎の国『ジパング王国』
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第36話 ジパング王国4 『幽霊門』

いよいよ『マリガトリア帝国』への入口に到着します。

第36話 ジパング王国4 『幽霊門』

「あのぉ、その『幽霊門』って言うのは一体?」

ヘルメスがみんなの疑問を口にすると、航夜がその質問に直ぐに答えてくれた。


「『幽霊門』はこの地にジパング王国が立国される以前から存在する謎のものであり、我等、水無月一族の者達でさえ侵入を許されないと言われる程、強固で特殊な結界が施された門のことだ。」

「ジパング王国が出来る前…水無月一族も入れない門…」

「恐らくそれがお前達が言う『マリガトリア帝国』へ行く事ができる『転移門』だろうと思われる。」

「えっ?」

ヘルメスが航夜の口から信じられない言葉を耳にして唾を飲み込む。

2000年の歴史を誇るジパング王国がこの地にやって来る前から存在していた門となれば、確かにアズマンがこの場所へ地下帝国に続くゲートを作っていたとしても頷ける話だ。

それに、水無月一族すら手が出せない程の強力な結界となると神クラスの強固さであると言わざるを得ない。

ゼリー達が『マリガトリアン』の解除をして『転移門』の場所がジパング王国にあるとは判明しても、ハッキリとした場所まではわかっていなかった。

しかし、ジパング王国に以前からそんな規格外の結界が張られた場所があること自体が異質であり、あまりにも目立ちすぎる。

今までの話の経緯から推定されるならば、『転移門』はこの『幽霊門』しか考えられなかったというところであろう。


「そんな強力な結界って一体どんなものなんですか?」

「ああ…、ここに着いて早々だが、転位魔法でここまで来たんだし、疲れてもいないだろうから今から出発するぞ。質問は『幽霊門』に着いてから聞いてやろう。」

そう言うと航夜が立ち上がる。


ヴィスコは『幽霊門』にかけられている結界魔法に非常に興味があったのだが、航夜が全員ゼリーの転位魔法でここに来ていることを知っていて、直ぐに話を進める事にしたようなので、航夜の言う通りにすることにしたのだ。



そして、蔵光達は再び魔導エレベーターに乗ると今度は別の場所へ移動している様であった。

よく見ていると、この魔導エレベーターは、上下の移動だけではなく横への移動も出来る様になっているのか、別の建物への移動も可能となっていた。


「俺も一度、『幽霊門』には一度行ったことはあるんだけど、大分前の事だし、今回の件に関わる事だとは思ってもみなかったよ。」

と蔵光がゼリーに話す。

「そうなんや、ワイなんか今回、その『幽霊門』とやらの存在は初めて聞いたわ。まさか、マリガトリアへのゲートがジパングにあったとは完全に盲点やったしな。」

とゼリーもエレベーターの床に転がりながら喋る。

確かにマリガトリアンが示した座標がジパング王国を示していたときは誰もが驚いた。

だが、何か因縁めいたものがそこにはあるようにも思われた。



現在は建物の中、まあ、建物の外をエレベーターが通る事はないのだが、エレベーターは建物内部をずっと移動しているのか、外の景色は全く見ることは出来ない。

ただ、かなり下まで降りてきていることは間違いなかった。


ようやく、魔導エレベーターが停止し、扉が左右に開く。

すると、そこは、建物の中と言うよりかは、洞窟の中にいると言う方がぴったりした表現に思われた。


「『幽霊門』はこの『鬼の(アギト)』と言われる場所の最奥部に立っている。」

と航夜が説明した。

そこは巨大な地下の空間であり、まさに鬼の口を開いたかのごとく鍾乳洞の中に見られるような大きな石の柱が龍や鬼の牙の様にいくつも上下から突き出し見るからに恐ろしい情景を醸し出していた。


本来は真っ暗なはずの洞窟内だが、所々に取り付けられた魔導ライトのお陰である程度は足元の明かりは確保されていたことで、余計にその不気味さが増して見える。


「あ、あれは!」

そんな中でも夜目の効くザビエラが道の先にある巨大な建造物に気付く。

ヤイダ樫の巨木を使っているようだ。


近付くほどにその大きさが良くわかる。

高さは30m以上はありそうだった。


「鳥居や!」

そう叫んだのはゼリーだった。


「トリイ?」

全員がその聞き慣れない単語に問い返す。


「そうや、ここからは神域やと言う境界を示すもんや、これ自体が結界になっとるわ。」

と言いながらゼリーが、その巨大な鳥居を見上げる。

鳥居の周囲はシンと静まり返っている。


「この建築物に掛けられた強力な結界のため、ここからは先は、今のところ誰も進んだことはない。そしてこれは…」

と航夜が説明しながら鳥居の右側の足元の辺りに刻まれた文字を指差す。


「これまで誰もが読めなかったが、先日エージが簡単に解読した。」

「何やこれは?!『最新のコントを披露して下さい。』やと?」

「流石、転生者の記憶を持つ者だな、エージも同じ事を言っていたぞ、ワシには意味が全くわからんがな。はっはっはっ!」

航夜が声を立てて笑う。


「コントって、こんなもん一人では無理やん。」

とゼリーが鳥居に刻まれた言葉に突っ込むとそれを見透かしていたかのように航夜が言葉を続ける。

「エージもそんなことを言っていたのでな、そんなこともあろうかと、エージをここに呼んでいる。」

「何やて、ホンマか?」

ゼリーがそう言うと、ちょうどその時に、遠くで魔導エレベーターの扉が開く音が聞こえてきた。


しばらくするとエージと王鎧の二人がこちらにやって来た。


「やあ、千陽子さ、あ、いやゼリーさん。お待たせしました。」

「お前、今、ワイの事を『千陽子』と呼ぼうとしたやろ?」

「それは、まあ、姿形は変わっても、ゼリーさんは千陽子さんの記憶を持っていますし、話し方やその傲慢な態度なんかはまるで生き写しですから…」

「なんやそれは、誉めても何も出えへんぞ!」

「いや、誉めてないッスから。」

「で、お前、ここで新作やるつもりなんか?」

「まあ、ネタは無いことはないんですが…」

エージはそう言いながらネタが書かれた数枚の原稿をゼリーに渡す。

ざっと目を通したゼリーは、

「落ちたな。まだまだ、あの頃とはレベルが違うな。もうちょい添削したらどないや?」

「やっぱりわかりますか…僕も少しブランクがありますから、流石に千陽子、いやゼリーさんの目は誤魔化せませんね。わかりました、地下帝国にたどり着くまでにまだ時間はあると思いますので、何とか修正します。」

それを、隣で聞いていた王鎧が難しい顔をする。

「そうか、手直しを…とは言っても、ここでコントとやらを披露しないとこの結界が解かれないのでは、この先へは進めんぞ。」


それを聞いたゼリーはニヤリとしながら、

「多分、大丈夫や、アズマンとやらがワイらのファンやったとしたら絶対に結界を解除して、帝国への門を開けるはずや。」

そう言いながらゼリーは、鳥居の奥に見える大きな岩戸を見た。

恐らくは鳥居の結界が解かれれば岩戸が開くという仕掛けなのだろう。

だが、ゼリーはこの後、一体どうするつもりなのか、他の者には全くわからなかった。


ゼリーは鳥居の前に立つと、大きな声で喋り始めた。

「おい、アズマン!聞こえとるやろ?お前、ワイらのコントを見たいんやったら、こんなショボ暮れた鳥居の前でやらせる様な下手な真似はやめろや!せやなかったらワイらは絶対にお前の前でコントはやらへんで!」


ゼリーの声が洞窟の中に響き渡った。

その後、洞窟内はシーンとした静寂の世界に戻る。

「そうか、無視やな!わかったわ、そしたらワイらはもうここには用はないんで、帰るで。」

とゼリーは捨て台詞を鳥居に向かって言うと鳥居に背を向けた。


『ちょ!ま、待ってください!ほ、ホントに『クリム&カリスマ』の二人なんですか?』

と突然、鳥居から声が聞こえてきた。


「ま、!まさか、あなたアズマン?」

姿は見えないが、ヘルメスが声のする方を見て尋ねると、鳥居から再び声が聞こえてきた。


『もしかして、あの本の問題を解いて来たのですか?』

その声の主は、聞くからに優しそうな男性の声であった。

ゼリーはその声の主に対して文句を言う。


「当たり前や!マリガトリアンなんて面倒臭い真似しやがって!あれだけでもかなり面倒な事をやって来たのに、さらにここを通すのに、まさかコントをやれとか命令しやがって!お前、ワイらを舐めとんのか?!ちょっと地下にあるっちゅう国に興味があっただけで、ワイらは別にお前らを救うとか考えてへんからな!面倒なら別にそっちに行く必要も義理も無いし、お前はそこで一生立ち止まっとけ!ワイらは帰る!」

ゼリーがそう啖呵を切ると声の主が突然慌てた口調になる。


『えっ、いや、ちょっと、待って下さい!そんなことは全くありませんから。ええ、ええ、どうぞ!どうぞ!中へ入って下さい!』

何か声の主が目茶苦茶、慌てながらも親切そうな声でそう言うと、あの強固だった結界が一瞬で解け、鳥居の奥に見えていた岩の戸が大きな音を立てて左右に開く。


ズズズズズズンンンン…


「我々、水無月一族でも解除出来なかったあの結界を…こんなに簡単に解くとは…」

完全に開いた岩戸を航夜がマジマジと見ながら感想を述べた。


『ようこそ、お待ちしておりました。さあ、マリガトリア帝国へ!』

声の主は静かに帝国へ招き入れる。

岩戸の奥には、松明で照らされた石の回廊が奥の方に長く続いているのが見える。


「あ、あれって…!」

ヴィスコが指を指した方向には松明があったが、よく見ると炎が揺らめいていないのがわかる。

「もしかして…時間を止めているのか…?」

蔵光もその異様な光景にゾッとしている。

恐らくは結界の強固さから見てもアズマンの魔力は蔵光達よりも上であろう。

そんな奴が使う時間停止の魔法を目の当たりにしてビビらない奴はいないだろう。

精神状態異常無効のスキルがある蔵光であったとしてもこれは別格であった。

自分より格上の者に対しては、ある程度の緊張感や恐怖心などの感情を持たなければ、本当に危険な相手に対する嗅覚というか警戒心が薄れ、かえって自分の命を危険に晒すことにもなる。

そのため、『精神状態異常無効』のスキルは自分より強者である場合、ある程度の耐性はあるが完全無効という訳ではなかった。

この世界には、水無月一族に対抗できる程の強さを持った存在がほとんどいないため、便宜上『精神状態異常無効』といっていたが、この場合、『無効』ではなく『異常耐性(高)』と言うべきだろう。


そして、それは蔵光だけてはなくその場にいた全員が感じた感情であった。


「こんな魔法が存在するのか?」

エージがそれを見ながら緊張で額に汗を流す。

全員がこの先にある何か得体の知れないモノに不安を隠せなかった。


「みんな行くで!」

全員が何かに取り憑かれたかのような状態になっていたが、ゼリーの言葉に全員が我に返ったようにハッとする。


「よ、よし、じゃあ出発だ。」

ヘルメスがゼリーの声に直ぐに反応し、みんなを鳥居の方へ移動させ、そして全員が『幽霊門』をくぐり抜け岩戸の奥に消えていった。




【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

ここは、イスパイタス王国冒険者ギルド・エムグランド支部。


シン「あれぇ?巨大なヒヒの魔物討伐なんてクエストでてないよぉ。」

( ゜ 3゜)??

ガズウ「アサッテの情報はいつも確かなんだがな…あれ?アサッテは?」

(-ω- ?)

ソウド「今、その事で受け付けに確認中だ。」

(*・ω・)ノ

リルカ「あっ、帰ってきた、どうだった?」

(* ̄∇ ̄)ノ

アサッテ「どうもこうも、ギルドではそんな話は聞いてないだとさ。他の冒険者の奴から聞き込んだんだが、何かきな臭い話になっているみたいで、箝口令(かんこうれい)が引かれているみたいだ。」

(´-ω-`)

シ「えっ?どういうこと?」(;゜∀゜)

ガ「と言うことは、政府が何か絡んでいると?」

(*´・∀・)ノ

ア「恐らくはな…なので、しばらくこの街で調べを進めてみようと思っている。」

(´-ω-`)

ソ「わかった。では、俺とリルカで情報を集める。」

(*゜ω゜)ノ

ガ「では、私は警備隊の知り合いにでもコッソリと聞いてみよう。」

(・д・)ノ

ア「わかった、みんなよろしく頼む。」

(* ̄∇ ̄)ノ


はてさて、どんな事が起こっているのやら…





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