表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第二章 謎の国『ジパング王国』
35/56

第35話 ジパング王国3 水無月家の屋敷って

巨大な水無月家の城の話です。

第35話 ジパング王国3 水無月家の屋敷

蔵光達は、門の施設を出ると、再び、乗ってきた高級魔導車に乗り込んだ。


そして、目の前の巨大な門が音もなく開いていった。

トンネルのような壁の中を約100m程進んでいくと、ようやくトンネルを抜け、敷地内に入る事が出来た。


「おおー!」

門というか壁の向こう側は別世界というか、巨大な建造物群であった。


「こんなに大きいなら、壁の外側からも見えるはずなのに…」

とヘルメスが言うほどにデカイ。

当然ながらヴェネシア王城よりもはるかにデカイ。

ハッキリと言って、一番高い所の高さだけでも数百m、いや1000m以上はあるだろうか、頂点部分が雲に隠れていたりしてよく見えなかった。


それとその建物の立っている敷地面積だ。

大きな球場の何個分かわからないが、複数個分はあるだろう。

西洋の城でもなく、日本の城でもない。

だが、城の様な造りをしているのか、要塞なのか何かわからないが、軍事的な建造物なのは間違いない。

それは、何から建物を守っているのかわからないが、巨大な砲門がいくつか建物から飛び出しているのが見えるからだった。


その風貌からどちらかと聞かれれば、軍事要塞寄りと言わざるを得ないだろう。


「外からは、外壁に取り付けられた魔導機で可視光線を操作し、建物の直接目視を不能にし、巨大な砲門は大陸間弾道魔導砲で、射程は全世界となる。」

と誠三郎が説明する内容は各車内にリンクして流れている。


「はい?」

外からやって来た者達にはハッキリ言って、誠三郎の言っていることは何の事なのかさっぱりわからないようだ。


「わかるように言うと外からは見えなくしていて、世界中に攻撃できる魔法の大砲を付けているちゅうことや!」

「ひぃ!なんでそんな恐ろしいものがここにあるんですか?!」

トンキが、その恐ろしさを瞬時に認識して悲鳴をあげる。

普段から高機動魔導飛行船『プラチナスカイドラグナー』に乗り込み、この広い魔法世界を飛んでいるからこそ、その恐ろしさがわかるのであろう。


「ジパング王国は、別にどこと戦争をするとかは考えてはいないが、他国が攻めてきた時には即時、その国を滅ぼせる準備があるということだな。」

そう説明する誠三郎の顔にもやや緊張感が漂う。

「メチャクチャ怖ええよ!」

トンキは誠三郎の説明に思わず突っ込みを入れる。

恐らく、この世界中を探してもこんな国は二つと無い。

世界中、全ての命をこの国に握られているのだからトンキが突っ込む気持ちもわかる。


「ジパング王国が情報漏洩防止に厳しい理由がわかったような気がする。これでは例え魔族でも攻める事は出来ないな。」

ザビエラも、こんな国が存在していることに戦慄を覚えていた。


いくら魔族が強いと言っても、水無月家の力には敵うはずがない。

それにこの軍事力だ。

ヴェネシア王国の軍事力も凄かったが、まるで大人と子供、いや熊と蟻だ。


魔導車はその巨大な建造物のゲート中へ吸い込まれる様に入っていった。


魔導車は、建物の最下部に設けられたトンネルの様な場所の中に入ったが、約200m程走ると直ぐにホテルの入り口の様なガラス製の大きな扉が目の前に現れ、その前に停車する。


扉の造りも高級ホテルのエントランスに似ている。

そして出入口の前には出迎えの人間がズラリと並んでいた。

蔵光達が魔導車から降りる。


「おかえりなさいませ、若様!」

並んでいた人間達が一斉に頭を下げ挨拶をする。


「ありがとう。」

蔵光は一言、みんなに声をかける。

出入口のガラス扉は自動式で静かに開いて全員を迎え入れる。


建物内にもズラリと出迎えの人間が蔵光達の進路の両側を挟んでいる。

高さ30m近くもある天井から巨大な魔石で出来た灯火のシャンデリア下がっているが、これはホールの様なエントランスにいくつも取り付けられている。

奥には大きなガラス窓越しに美しい庭園が見える。

床は鏡面仕立ての大理石貼りで、建物を支える柱は見えない。

恐らく、壁自体で躯体を支える造りなのであろう。

だからこそ、その部屋の広さが強調される。


「はぁー、何なんですかここは?」

ヴィスコが圧倒的な大きさと豪華さをここぞとばかりに見せ付ける水無月家の屋敷に驚いているが、ヴィスコ、まだ驚くのはまだ早いぞ!

ここはまだエントランスなんだぞ。


「蔵光様、こちらへ。」

女性の使用人が案内をする。

蔵光達は、その使用人の案内で、教室程の広さの部屋の中に入る。

天井も先程のエントランスとは違って、低く、奥の方も窓になっているようだが、景色は見えない。

窓の直ぐ外側は壁になっている。


「ここは?」

ヘルメスが不審な顔をする。

それを見てゼリーがニヤニヤしている。


「航夜様の御部屋へ御案内致します。」

使用人がそう言うと、その部屋が静かに動き出す。


「こ、これは!?上に上がっているのか?」

ザビエラが窓の外側の壁が下へ移動するのを見て直ぐに気付く。


ザビエラがそう言うと、すぐに窓の外側の景色は一変する。


「こ、これは?!」

ヘルメスが外の景色が窓から見える事に驚く。

本人自身、空を飛ぶことが出来るようにはなったが、建物内から眼下に遠くの街並みを見下ろす程の経験はなかった。

これはまた別の驚きとなる。


「魔導エレベーターや。」

「魔導エレベーター?」

「そうや、魔石の力で自立移動するようになっとる。」

ゼリーから、そう言われてヴィスコが尋ねる。

「井戸の滑車みたいに吊り下げてないんですか?」

「全然違う。部屋ごと浮いて移動しとる。」

「へ、へえ、そうなんですか。」

ヴィスコはそこでも驚くが、『プラチナスカイドラグナー』が魔石の力で浮いているのを知っているので何となく理解は出来たようだ。


「これは、団体の移動用なのでちょっと大きいけど、少人数が乗る小さなものもあるんだよ。」

蔵光の補足説明が入る。


そんな話をしながらも、魔導エレベーターはどんどん上に上昇していく。

窓から見える景色も段々と変化し、アズマミヤの街並みが遥か下に見える。


「まもなく、航夜様の御部屋に到着します。」

魔導エレベーターが減速し、静かに停止する。


「お願いします。」

使用人が蔵光に頭を下げる。

家族以外は開けられないような仕組みになっているのか、蔵光が被認証者となる。

蔵光は扉の横にある黒いプレートに手をかざす。

すると、エレベーターの両扉が左右に開く。


そこは、王城などにある王の間のようなものではなく、高級な調度品で溢れた高級ホテルのスイートルームの様な部屋になっていた。


まあ、プライベートルームならそうだろう。

王の間や大広間みたいな殺風景な部屋に人間は住めないからな。


「きゃー!凄い!」

大きな一声を上げたのはやはりヴィスコであった。

部屋の外側は強化ガラスであろうか、壁一面が窓となっていて、外の景色が一望できる様になっている。

560階、地上から約2800m、ぶっちぎりのデカさである。

ちょうど雲が晴れて下の景色がよく見えた。

遥か下には、大きなはずのアズマミヤの街が小さく見えている。


女性の使用人が交代し、航夜の部屋に待機していた航夜専属の秘書兼使用人となる女性が応対する。


「おかえりなさいませ若様、そして、皆様ようこそ、水無月城へ。」


ああ、やっぱりこれは城だったんだなと全員が秘書の言葉に納得した。


「こちらへどうぞ。」

女性秘書は蔵光達を部屋の奥へ案内する。

そして、リビングルームに通される。

ここも高級調度品で埋め尽くされていた。


「父さんは?」

蔵光が秘書に尋ねる。

「今、ジパング王城に出向かれておられますが、まもなく、こちらへお越しになられます。」

と秘書が答える。

「わかった。」

蔵光が頷く。


「蔵光さん、ここスゴいね。」

ヴィスコが目をキラキラさせながら蔵光に言う。

確かに今まで見てきた家や城等とは全く次元が違う建物だし、こんなスゴいところに蔵光が住んでいたなんて思いも寄らなかったのだから仕方がない。

部家の中や外をキョロキョロと見回っている。


水無月家は、王族ではあるが、ジパング王国には王が別に存在する。

お飾りというわけではないが、この王国を治めている。

また、航夜はジパング王国にいて、武術指南役をしてるが、この王の家臣ではない。

また、蔵光の祖父の王鎧も老中として王城に勤めてはいるが、基本的に相談役であり、王鎧とは別に正式な老中職の家臣達が存在する。


王鎧はそれらの者に仕事を任せている格好になっていて、本来は『忍』を使って裏の仕事を切り盛りしているのだ。

裏の仕事と言えば、隠密行動を基本とする仕事なのだが、他国に入り込んで情報を得るスパイ行動や、暗殺などの仕事もこれに当たる。

他には分家の行動を監視したりとか、謀反、クーデター等の行動にも目を光らせている。

まあ、基本的に、水無月家の戦闘レベルが異常過ぎて話にならないので、分家がそんなことを影で企てようが、土台は無理な話なのだが…


そんな訳なので、どちらかと言えば一国二制度という感じだろうか。


表の国と裏の国の支配者が違うということである。

一応、水無月家は表の顔が航夜、裏の顔が王鎧や水月等にあたるだろう。


まあ、王鎧は、蔵光と同じ様に表と裏の顔を同時に持っているのだが…


あと、裏の顔と言っても、表の顔と繋がっているので中々これを隠すのが難しい。

蔵光達は普段の実力が他の人間と違って凄すぎるため、誰の仕業なのかバレバレとなる可能性が高いことや、『人の口には戸は立てられない』という(ことわざ)のごとく、関係した人の口を塞ぐことはかなり大変なことであり、流石に他の水無月家の伝承者もそればかりは無理なようであった。


そのため、航夜のように生きた伝説となっていることも多々あるのだ。


その航夜が現れた。


誰にも気配察知されずに、いつの間にか部屋の中にいた。


「よく帰ってきたな。」

「うわぁ!」

突然、背後から声を掛けられて蔵光や誠三郎等の水無月家関係者以外の全員が驚く。


「ま、全く感じなかった…」

ヘルメスが背中に冷たい汗をかく。

ここ最近は魔力値が上がったお陰で、気配察知能力が向上し、索敵能力には結構自信があった。

だが、航夜にはそんなことは全く通じなかった。

やはり恐るべき人間であることを実感する。


「父さん…あの…」

「エージからある程度聞かされている。あの『幽霊門』に行くんだな。」

航夜の表情が固くなる。

蔵光が黙って頷くが、その顔も真剣な顔になっている。


あれほどの強さを誇る水無月家の戦士にこの様な顔をさせる『幽霊門』とは一体何なのか。


そこにいる全員がその緊張感を全身に感じていた。





【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

(ここはドリタニア王国の首都ドリトスにある居酒屋)

ソ「とりあえず、全員が助かって良かった。」

(・д・)ノ

ガ「まさに僥倖!」(* ̄∇ ̄)ノ

リ「ホント、たまたま、偶然、運が良かったとしか言えなかったわ!」

┐( ̄ヘ ̄)┌

ア「いやあ、本当にみんな済まなかった!」

m(_ _)m

シ「さっきも言ってたけど、あれはアサッテだけの責任じゃあないからね。」

ヾ(´▽`*)ゝ

リ「そうそう、あれは皆の責任よ!」(。・`з・)ノ

ア「そう言われるとありがたい。まあ、謝礼も兼ねて今日は俺の奢りだ!飲んで食べてくれ!」

(*´・∀・)ノ

シ「やったー!ここのオーク肉の串焼きが絶品なのよね!」

(*´∇`*)

ガ「うむ、酒も又、格別!」(。・д・)ノ

ソ「確かに美味い…これは隣国のイスパイタス王国の酒だな。」

(*´・ω・`)b

ア「ん?ああ、そう言えばイスパイタス王国で巨大なヒヒの魔物が出たらしいぞ。」

( ゜Д゜)ノ

ガ「と言うとキングドリルかエテクイーンか?」

(*´-ω・)

ア「いやあ、そこまではわからないが、政府の方では手に負えないらしくて、もうすぐギルドに依頼が回ってくるみたいだぞ。」

(。・д・)ノ

リ「と言うことはアサッテ、そのクエスト受けるの?!」

(・_・?)

ア「まあ、実体のある奴なら負ける気はしないし、やってみようかなと…」

(。・`з・)ノ

ソ「じゃあ決まりだな。」(。・ω・)ノ

ガリシ「よっしゃー!!」

o(`^´*)o(`^´*)o(*>∇<)ノ


また、新たなクエストが始まります。

でわでわ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ