表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第二章 謎の国『ジパング王国』
33/56

第33話 ジパング王国1 『ジパングへ転位』

いよいよジパング王国へやって来ました。

新章開始です。

第33話 ジパング王国 『ジパングへ転位』

『マリガトリアン』の出題する質問に全て答えた結果、地下帝国マリガトリアの入口が、なんとジパング王国にあることがわかった。

まあ、まだ王国の中というだけで、詳しい場所は特定出来ていないのだが…


ゼリーが、休憩を入れて欲しいと言ったので、一旦、ティータイムとなっていた。


そして、再び、全員が集まる。


「じゃあ、どうすれば……、ああ、そうだった、ジパングへはあの条件に同意すれば国内に入れるんだよね……その…」

ヴィスコはあまりにもヤヴァい条件のため、一瞬だけだが現実逃避をしていたようで、どうやったらジパング王国へ入国出来るのか尋ねようとして、例の条件を思い出し、その続きを言い澱む。


入国条件に同意して、一日でもジパング王国の土を踏めば、そこから最低、五年間は情報を隔絶された収容施設生活を送らなければならない。

入国に対するリスクが大き過ぎるため、普通の者は入ることは希望しない。

ジパング王国に船で物資を運んでやって来る者達は、上陸をせず船内でジパング王国の業者に物資を手渡すだけなのでそのまま帰ることが出来るのだが、これら貿易に関してもかなりの制約がある。


「まあ、簡単な方法としてはジパング王国の人間の身内になることやな。」

とゼリーが正論を述べた。

そう、誰もが頭の中にはあるが、言い出し難かった一つの答え。

それが、身内になること。

つまり、結婚もしくは、養子縁組により親族となることである。


「この中で女共は、主かセイノジの嫁はんになれば自由にジパング王国へ出入り出来るでえ。」

とゼリーは意地悪そうな顔をする。


皆は忘れていた。

ゼリーは面倒事が大好きなことを…


「あ、いや、その、私はクランズのリーダーとして、今のところ。け、け、け、結婚とか、そ、そんなことは、か、考えていない訳であってだな…」

とヘルメスはかなり動揺している。


「わ、私は、あ、あの、エージさんだったら、大丈夫ですぅ。」

「ちょ、ちょっと!ヴィスコ!あなたどさくさに紛れて何を言ってるの!」

「私も蔵光様なら…」

「そうだったオルビアさんは最初から蔵光さんの事を好きだって言ってましたもんね。」

とヴィスコがニコッと笑って言うが、ヘルメスは、

「えっ?えっ?!オルビア!あなたまで何を?!」

と、いきなりの二人のカミングアウトに混乱していた。


「わっはっはっはっ!これはおもろい事になってきたな、なあ、主ぃー!」

とゼリーが大笑いしながら蔵光に言うと、

「ゴメン、ゴメン、皆はそんなことは心配しなくても大丈夫だよ、結婚なんかしなくても、俺の権限で入国や出国の許可を出すから。」

と苦笑いしながら説明する。


「主ぃー!もう、バラすんかいな、もうちょっとからかいたかったのにー!」

とゼリーが残念そうな顔をする。

「えっ?!ってことは…ゼリー、って言うか、蔵光殿や八鬼殿まで!私達を騙したわね!」

とヘルメスが顔を真っ赤にして怒る。


まあ良く考えれば確かに蔵光の身分ならそんな事は直ぐに出来ることは簡単にわかるはずなのだが…


「いやぁ、悪い悪い!ちょっとゼリーの甘言に乗ってしまった。」

と誠三郎も苦笑いして自分の頭をポンポンと叩きながら謝る。


「あー!もしかして、さっきの休憩中に?」

「わっはっはっはっ!バレてもうたな。」

とゼリーも白状する。


「だがヘルメス、我々、というか若のような身分の者でなければ、特別な許可は出せないし、当然、そうでない場合、先程の話のようにどちらかを選択しなければならないのは本当だ。」

「そうなんですか?」

「ああ。」

誠三郎の説明を聞き、全員はゴクリと唾を飲む。


「ま、そんな国だということを理解しておいて欲しい。」

と誠三郎が言うとヘルメスも頷きながら、

「わかりました。」

と応えた。



数日後、蔵光、ゼリー、ヘルメス、誠三郎、ヴィスコ、ザビエラ、オルビア、ヒダカ、トンキら『プラチナドラゴンズ』メンバー、そしてヨルがジパング王国に向けて出発した。

エージことカリスマ・エージは、先にゼリーの上位の空間魔法『転位魔法』でジパング王国に送られていた。1-158

『転移』とも表現できるが、ここでは『転位』となる。


「じゃあ、行くで!」

ゼリーが空中に空間魔法『転位魔法』の『亜空間転位ゲート』を展開する。


全員がその中に入っていった。

そして、次の瞬間にはジパング王国に到着していた。


「あわあわ!」

ヴィスコが辺りを見回して仰天している。

「こ、ここは?」

ヘルメスも、ゼリーからの説明が無いままに、亜空間の中に入っていたため、出てきた場所が、一体ジパング王国のどこであるのかわからなかった。


天井までの高さが高く、かなり大きな建物の中であることはわかったが、最初は何かわからなかった。

「ここは?教会?」

建物の奥の方と思われる側に、祭壇があり、そこには女神像が置かれていた。

そこはジパング王国の首都アズマミヤにある教会の中であった。

建物自体かなり大きく、そして豪奢というのだろうか、所々に色とりどりの宝石が壁に埋め込まれ金色の柱が建物を支えている。


「いやぁ、流石に王宮や水無月家の敷地内に飛び出す訳にはいかんからなあ。ここで我慢しとってや。」

とゼリーが言う。

「そうだな、ゼリーにしては良い判断だ。」

と誠三郎が言うと、

「ワイはいつも適正な判断しとるわ!」

と言い返す。


「何故、良い判断なんですか?」

とヴィスコがゼリーに尋ねる。

「生体認証の出来ていない人物が水無月家の建物内にいると、警報の鐘が屋敷内に鳴り響くからな。」

「えっ、そうなんですか?」

とヴィスコが驚いていると、誠三郎が、

「ああ、そして、それが鳴り響くと、お庭番とかが直ぐに殺しにやって来るからな。」

と脅す。


「お、お庭番?!殺しにくる?」

「そうやで、屋敷内におる『忍』をうちらでは『お庭番』と呼んどる。まあ、優秀な警備員っちゅうことや。」

「け、警備員って、普通、警備員は人を殺しには来ないよね?」

「まあ、過去にその様な例は無いけどな。」

それを聞いてヘルメス達はホッとした表情となる。

だが、それは、ただ単に今までこの屋敷の中に賊が入らなかったという意味であり、それは『お庭番』を恐れたというのではなく、『水無月家』に恐れを抱いているからだと思われた。


ジパング王国に住む者にとって、超人家系の『水無月家』に喧嘩を売るという愚行を犯す者はいない。


「じゃあ、行こうか。」

蔵光が全員を出口の方へ促す。

教会の出入口の扉の近くには、この教会の関係者と思われる男性達数人が立っていた。


蔵光達を確認すると全員がその場に跪く。


「お帰りなさいませ。」

とその中の一人が蔵光に声をかけ頭を下げる。

その佇まいからかなり位の高い人物と思われた。


「やあ、久しぶりだねワイズ司教。」

「お久しぶりでございます。蔵光様に有られましては以前にも増して御壮健のご様子で…」

「ああ、ありがとう、また今度、ゆっくりと寄せてもらうよ。」

「わかりました。蔵光様の今後の旅の安全をミズハノメ様にお祈りいたします。」

ワイズ司教が片手で円を描いた後で、両手を組み合わせる。

この教会独特の作法である。


「主は、ジパングを出発する前にも、ここへ寄って、祝福を受けてから出発したんや。」

とゼリーがヘルメスに耳打ちする。

「なるほど、ということは、ここは水神ミズハノメ様の教会なのか?」

「そうや、ミズハノメを祀るアズマミヤ大教会や。」

「じゃあ、ここの中にも警報装置とかあるんじゃないの?」

「当然ある。せやけどな、流石に、水無月本家の警備システムは全体警備システムやから、一部だけを解除とかさせられへんから、転位先をここに決めた後、事前にワイがここへ連絡を入れて、この時間帯の警備システムを解除してもろうてたんや。」

「なるほど。って、ゼリー、一度、ジパングに戻ってたの?」

「当たり前やないか、お前らを受け入れる事前準備をしてたんやで。」

「へえ。」

ヘルメスはゼリーがこの教会に足を運んでいる姿を想像して少し笑う。


「何を笑うとんねん。」

「あ、いや、すまん。ちょっとな。」

ヘルメスはゼリーに笑って誤魔化した。

「ここは警備は薄いのか?」

「まあ、教会やし、基本的に誰にでも祈りに来てもらう場所やから、警備システムは作動しているけど、立ち入り禁止区域以外、日中は解放されてるんでな。」

「それじゃあ?」

「そうや、今日は、教会を閉めてもらっている。水神ミズハノメの最大加護を受けた主が帰ってくるからと言うてな。」

「はあ、やはりそうなっていたのか。」

ヘルメスは蔵光の帰還に際して、こんな大教会を閉めるとかというゼリーの常識破りというか型破りな行動に頭が痛くなり、額を手で押さえる。

だが、後々、それはゼリーでなくともそうしなければならない事であることをヘルメス達は知ることになる。


「それに、万が一、ここの警報装置を止めていて、ワイらが来る前に変な輩がここを襲ってきたとしても、ここの修道士らはメチャクチャ強いから安心やしな。」

「そうなんだ。ホント凄いところだね。」

ヴィスコが頷く。


ヘルメスの方は改めて教会の中を見回し、こんな大きな教会ですら下に置く『水無月家』の権力の強さを実感していた。


「蔵光様、こちらへ。」

修道士の一人が蔵光達を案内する。

ゼリーの言う通り、かなりデキる者の様であり、動きに隙がない。

そして、その修道士は、ここの教会の顔とも言えるような大きな出入口の方ではなく、どうも裏口に向かっているようだった。


「どこへ行くの?」

ヘルメスがそれに気付きゼリーに尋ねる。

「本家や。」

「本家?と言うことは蔵光殿の実家なのか?」

「そうや、一応、主の親父殿とかに挨拶しとかんとな。」

とゼリーが神妙な顔付きになる。

神妙というか、かなり緊張している様子だ。

やはり、蔵光の父親ということもあり、魔物としては、航夜(バケモノ)の前で下手なことをしたら瞬殺されるかも知れないという、本能的に危険な空気を感じているのだろうか。


ヘルメスとしては、蔵光の父親である水無月航夜には一年前の『魔海嘯事件』で一度顔を合わせているが、あの時は、ガロヤスミカンダを倒すことで手一杯だったし、何かあの頃は、水無月家の方でも超多忙な時期だったらしく、討伐後は、直ぐにジパング王国に帰還してしまったので、ろくに挨拶もしていなかった。


例の件では、水無月家の者達に備わる強力な魔力と肉体、そして、それと共に特筆すべきは、彼等による周囲への警戒力や観察力であり、それらが半端ないレベルである事を目の当たりにした。

だが、それ以外の事についてはあまりよくわからないのが正直なところだ。


今回は、特に急ぐ訳ではないので、冒険者クランズ『プラチナドラゴンズ』として、しばらくはゆっくりとこのジパング王国に滞在する予定であった。


「ここはな、水無月家の敷地の端と接しとるからな。」

とゼリーが言うと、修道士が裏口の戸を開けた。

「えっ?」

ヘルメスが目の前にあるものを見て驚く。


それは度肝を抜くような巨大な壁であった。





【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

(出演)

ア…アサッテ(ギルドのトリプル(SSS級冒険者)『栄光のハゲタカ』のパーティーリーダー)

異能の持ち主。

ガ…ガズン(ギルドのS級冒険者、アサッテのパーティー『栄光のハゲタカ』の男性メンバーの一人『戦士』)

ソ…ソウド(A級冒険者、同男性メンバーの一人『魔法使い』)

リ…リルカ(ギルドのA級冒険者、同女性メンバーの一人『斥候』)

シ…シン(ギルドのA級冒険者、同女性メンバーの一人『魔法使い』)



シ「ハァー、全く、ウチの魔導車ときたら、中古だし、故障も多いし、風呂もトイレも付いてないしぃ!」

(・´д`・)

リ「そんなことを言ったら駄目よ、シン。あれは特別なんだから。」( -。-) =3

シ「だって、ヘルメスなんて、この間までB級だったのにいつの間にかS級になってるし、あの子が乗っている魔導車って、今は空を飛んでるらしいじゃない。」

((ヾ(≧皿≦メ)ノ))

リ「うう、それは羨ましい。私達、山越えは基本的に歩きだからねえ。」

( TДT)

シ「ちょっとアサッテ!あんたも割りの良いクエスト探したら?!」

(*゜Д゜)ゞ

ア「お前なあ、無茶言うなよ。アイツ等はもう別格だぞ。」

(ーдー)

ガ「そう言えば、この間、ドリタニア王国の首都ドリトスで、新しい迷宮が発見されたとかで、探索クエストの希望者が募集されているらしいぞ。」

(*・ω・)ノ

ア「何だって?!そんなおいしい話があったのかよ?」

ヾ(´∀`*)ノ

ソ「中々、攻略が難しいらしくて、受注対象ランクがA級以上のパーティーに限られているらしい。」

(o゜з゜o)ノ

ア「うーむ、それは行かねばなるまい。」

( ̄^ ̄)


今回から始まった新オマケコーナー。

はたして、どうなることやら。

( ´-ω-)y‐┛~~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ