第28話 サバーニャの話と南の森の主
続きでーす。
南の森編です。
第28話 サバーニャの話と南の森の主
ヘルメス達は、南の森の魔女であるサバーニャから、話を聞いていた。
「私はね、もともと占星術師でね、さっきも言った通り、そこのお姉ちゃんみたいに人の記憶を深く探れたりはしないし、物事を広く見ることも出来ない。」
とサバーニャが言うと、ヘルメスは、
「でも、オルビアは深く人を視る事が出来るって言ってましたよ。」
「あははは、それはアイツ、アズマンの能力に触れたんで、ちょっとスキルアップしただけだよ。まあ、それが原因で私達にアイツはこんな面倒なことをしでかしたんだよ。」
「えっ?こんな面倒なこと?」
ヘルメスが聞き返すとオルビアの解説が入る。
「アズマンさんによる四つの森と魔物と魔女の配置です。」
「ああ、そういうこと。」
ヘルメスはオルビアの解説を聞き納得する。
「私はね、アズマンにある予言をしたんだよ。」
「えっ?予言?」
ヘルメス達は、サバーニャから意外な言葉を聞かされたというような顔をする。
「予言というと?」
「『この件は7000年後に、【神】が降臨して終結する。』と…」
「7000年後に?という事は、ここ最近になるのかな?でも、ザックリし過ぎてるなあ。」
とヘルメスが天井を向いて眉をへの字に曲げる。
「アイツはもう自分の力では動くことは出来ない、だから助けが必要なんだよ。」
「動けない?目茶苦茶すごい力を持っているのに?」
「ああ、アイツ…アズマンは、自分では何も決定出来ないウジウジ野郎なんだよ。それを今の世代に現れた、アイツが【神】と崇める者達に、この責任を丸投げして、助けてもらおうとしているのさ。」
「うーん、ちょっと話が見えない。オルビア?」
ヘルメスに言われて、オルビアがサバーニャの記憶を『遡視』で見て、それを繋ぎながら話をしていく。
「アズマンは基本的に心優しき人物。この世界に転生して、大きな力を神から頂いた。彼の望みは争いの無い世界を作ること。でも、彼の転生した世界は殺戮、恐怖、暴力が支配する混沌の時代。まだ、『神の子孫』と呼ばれる『亜神族』がいたり、『神の血を受け継ぐ者』と呼ばれる魔物達が闊歩していた。その中で、彼は人間と魔物との共存を訴えた。だが、両者は聞く耳を持たず、争いを続けていた。だから、彼は仕方なくまず、『力』で『亜神族』の世界を支配した。そして、その力を見せつけた上で魔物の王達に契約を結ばせ、全ての者が争わないようにした……だが、魔物の王の一人の反乱によりその均衡は崩され、再び、『亜神族』と『神の血を受け継ぐ者』との争いが再燃した。そこで、彼はどうすれば良いのか、彼の参謀として仕えていた四人の魔女である私達を呼んだ。殺せば話は早いというが、元々、心優しいアズマンには全員を殺すことはできないし、反乱により魔物に家族を殺された亜神族の気持ちもわかる。なのでどうすれば良いのかという話となり、私がアズマンについて予言をすることとなった。これは、私がアズマンから魔力を分け与えてもらい、解決するまでの期間分を見てもらった。全てはこの問題の解決策を探すためであった。予言の内容は『約7000年後にお前の前に【神】が降臨する。時間を止めろ、【神】とはお前が過去に崇めていたものだ。それが、お前を、世界を救うことになる。』それが7000年後の今の時代だったのです。」
オルビアの『遡視』はまだ、続いていた。
「彼は、その予言に乗りました。予言では、そのための準備もするようにとなっていたので、私達の筆頭であったマグローシャの指揮の下、対策が取られた。先ずは、『亜神族』の取り扱いと力を持つ魔物、つまり『神の血を受け継ぐ者』をどうするかということでした。『亜神族』はかなりの魔力を持っているため地上で戦ったりすれば、力を持たない人間や、弱い魔物等はその余波を食らって死んでしまうと判断し、地下の世界に場所を移すことにしました。
戦わないためにアズマンは『亜神族』に時間を止める魔法を使用しました。また、反乱を起こした魔物たちは『北の森』のダンジョンに封じ込め呪いを掛けました。これが解けるのは【神】若しくは【神に選ばれたもの】だけでしょう。私達はその【神】が一体何なのかは全くわかりませんでしたが、全ての謎はアズマンが考え地下帝国マリガトリアの封印の扉を閉めました。その後、ここを通ることが出来るのは私達四人の魔女だけとなりました。ただ、一度、ある場所で強い魔力震の影響で地下で大きな落盤事故が発生し、地上と繋がってしまうということがありましたが、我々が塞いで封印をし事なきを得ています。その後は、私が予言した通り【神】を待つばかりの時間を過ごしてきました。私達はこの7000年という長い時間を森の守護というものだけに費やしてきました。ですが、それももう少しで終わりです。ようやく彼の言う【神】が降臨してきたようですから。」
とオルビアの『遡視』が一応終了した。
「うーん、まだ、わからないところはあるけど、それはマリガトリアン帝国に行ってからの話になりそうだね。」
とヘルメスにはもう少し確認したいことがあったようだが、オルビアが『遡視』で疲れている様なのでそれは控えることにした。
「じゃあ、この森に棲んでいる魔物の王に会いに行きましょうか。」
と言って椅子から立ち上がった。
『南の森』の主、つまり魔物の王はメディスロンという名前の魔物であり、森の中心となる場所にいる。
サバーニャの話ではメディスロンは、炎の魔物であり空を制圧していると説明を受けた。
「まあ、その説明が正しいのなら、フェニックスとかの類かな?」
とヘルメスが言うと、ザビエラが、
「フェニックスとは一体、何なんだ?」
「ああ、炎を操る鳥で、不死鳥とも言われている。」
「不死鳥?」
「ええ、死んでもまた炎の中から甦ると言われている伝説の魔獣と言うか、ヒダカと同じく聖獣と言われているわ。」
「炎の中から…甦る」
ザビエラがその言葉を繰り返した。
何か思い当たることでもあったのだろうか。
「何か思い当たることでも?」
「いや、我々にも同じ様な言い伝えがあってな…」
「へえ、一体どんな?」
「それは『その昔、キングファイアバードと言う巨大な鳥がいたらしい。それは、ギルス火山帯に棲む龍と毎日の様に戦いを繰り返していた。だが、ある日、古龍の一体ワダツミが、その業火によりキングファイアバードを丸焼けにした。だが、100日後に再び、キングファイアバードは甦り、ワダツミを恐れて逃げ去った。』と言う話だ。」
「キングファイアバードかあ、て言うかワダツミってギルガのお父さんじゃないの?」
ヘルメスが驚いて聞き返す。
「そうだ。私も、まさかその伝説の古龍が生きていて、その娘と旅をしていたなどとは最初は信じられなかった。」
「まあ、確かに。伝説の古龍だからな。」
「そのワダツミ様が生きているということは、そのキングファイアバードも生きている可能性があるということではないだろうか?」
「ま、まあ、それは、仮定だけどあり得なくはないわね。」
「とりあえずは、そのメディスロンとか言う魔物の王に会って話が出来るかどうか確認しないと…」
「そうですね。」
ヘルメスとザビエラが森の中を歩いて移動しているのだが、オルビアについては、危険な移動になると判断されたため、サバーニャの家に待機させてもらうことにしていた。
そして実際、森の中を移動することになったが、やはり、流石に森の中は、危険な魔物がうろついているためオルビアは来なくて良かったと思われた。
何せ、今まで取り扱った魔物の大きさを見て比較してみたが、他の森の十数倍はある。
それに負の魔素の関係で凶暴性を増しているのか、危険極まりない。
だが、ヘルメスとザビエラの二人は凄い連携技を使ってそれらの魔物を倒していく。
初めて二人で連携技を使用したが、連携は乱れることなく、逆に物凄く強力な技となってしまっていた。
ザビエラは変化を解き、元の大きさとなって、魔物の攻撃を受け止めると、ヘルメスがその素早さで仕留めに行く。
単に魔力値が高い魔物は、普通、その純粋な魔力によってのみ、攻撃をしている事がほとんどであり、技を使用したりとかいう事はまず無いため、同じ魔力値であれば確実に技を持つ方が強いと言えるのだ。
なので元々、魔力が無くて剣技を極めるためだけに努力を重ねていた者が、強力な魔力を得て、とんでもない事になっていた。
突然目覚めたその物凄い魔力と剣技とが相まって、恐るべき素質を引き出すことになることは誰しもが予測できる、否めない事実であり、それは既に化け物の域を超えてしまっていた。
ヘルメスは過去に上位魔族との戦闘もあったが、その時よりも腕は上がっていた。
上には上がある。
蔵光を見ていると時々、自分の上限がわからなくなるときがあるが、焦らず傲らず、そして確実にその実力を伸ばしていった。
それは過去に現れたどの勇者よりも強かった。
南の森の深部に現れる、強力な魔物をほぼ一撃で屠っていく。
魔力値こそ5000万程度だが、その実力はその数倍の値を持っていた。
「ザビエラ殿、もう少しで到着しますよ!」
「了解した!」
ある程度森が開けてきていたので、二人は飛翔魔法で深部を目指していた。
かなりの速度で移動していたが、それでも大分時間がかかった。
「いた!」
ヘルメスは、この一年、剣の修行と共に生命体感知の修得とそれの範囲を広げる訓練をしていた。
そのお陰で、この先にいるメディスロンの気配にいち早く気付く。
気配を消して、近付く。
そして、ようやく見つけたメディスロンを見て驚愕する。
「あ、あれは…キングファイアバード!?」
ザビエラがメディスロンの正体を見て驚いたが、驚いたのはそれだけではなかった。
「悪魔落ち…?」
ヘルメスは、その姿を見て、そう呟く。
体の各部が黒色に変化し、本来伝えられている美しい炎の鳥とは言えなかった。
異形の黒炎鳥、ブラックファイアバードとでも言えば良いのだろうか…
「あれは、悪魔落ちに似てはいるが、恐らくは黒龍化と同じだろう。」
とザビエラが言う。
「あれでは、話は出来そうにないな。」
ヘルメスも腹を括る。
サバーニャから教えてもらった。
かつては、ビー・クイーンが西の森を守るまでは西と南、二つの森を同時に守護していたと言われる最強の魔物。
それが、キングファイアバードだった。
だが、いつの間にか負の魔素を体内に取り込み、黒龍化していた。
黒龍化は、龍族に限られた現象ではない、他の魔物が負の魔素を吸収すれば、凶悪化、狂暴化する。
そして、魔力値も増え、周囲の生物に多大な悪影響を与える。
キングファイアバードも例外ではなかったようだ。
「ザビエラ殿、奴を倒しますよ!」
「やむを得まい、私が奴の前に出るので、奴の後ろに回り込んでくれないか。」
「わかった、やってみる。」
二人は、静かにメディスロンに近付いていく。
狩人の様に、殺気すら消して。
マ「今年も終わりだね。魔族は年が変わると何かするのかな?」
(・_・?)
ト「特に何も、うーん強いて言えば、魔族の神様、『魔神様』に感謝するくらいかな。」
( ̄~ ̄;)
ヴ「でも、以前、魔族の間で、『魔神』降臨の儀式をして、大惨事になりかけた事があったわよね。トンキもよく、そんな神様に感謝するわね。」
(;´゜д゜`)
マ「それは、別の魔神だと思うけど、それって確か蔵光さんの親父さんが片付けてくれたっていう件だよね?」
(丿 ̄ο ̄)丿?
ヴ「そうそう、超有名な『ガイライナスの魔神城の壊滅』事案。出現した魔神をやっつけちゃったとか、やっぱり、水無月家は普通じゃないよね。」
(;´Д`)´д`);´Д`)´д`)ウンウン
マ「ガイライナスってどこらあたりなの?」
(´・ω・`)?
ト「ヴァンガロスの東側だな。俺達が住んでいたジェノマの北東辺りだ。間に大きな山脈があるんで、あまり行き来は無いけどね。」
(。・д・)ノ
ヴ「地図で見たけど、まあ、魔の大森林地帯もかなり広いから、魔族によっては、そんな事をするような種族がいるみたいだね。」
(*´・ω・`)b
ト「まあね。俺はあまり興味ないけど。」
┐(´~`;)┌
何事も普通が一番ですね。(●´∀`●)∩
では、良いお年を!




