第21話 ダンジョン&ドラゴンスレイヤー
蔵光のダンジョン探索始まりました。
第21話 ダンジョン&ドラゴンスレイヤー
蔵光は、現在、60階層の手前あたりを進んでいる途中である。
一階層から9階層まではヒドラを初め、大型のワイバーンが出没した。
ダンジョンの内部は広さも広大で、洞窟内とは思えぬ程、中には森が拡がっていた。
ワイバーンが何匹飛んでも全く影響が無いほど広い。
大きさはクライ渓谷で討伐したワイバーンの3~5倍はあった。
また、ゴブリンの王、ゴブリンキングが途中から出現する様になる。
ゴブリンとは言え、その体は巨大なオーガをしのぎ、手に持っている巨大な木製のこん棒も普通の物とは一線を画す。
どこから手に入れたのかヤイダ樫のこん棒だ。
少し振り回すだけで、触れれば木が薙ぎ倒され、岩壁が崩れ落ち、瓦礫の雨が降り注ぐ。
さらにゴブリンロードと同じく魔法も使える存在であり、土魔法で、巨大な岩を飛ばしてくる。
当然だが、蔵光はこれらの魔物を難なく討伐していった。
何度も言うが、ここのダンジョンは人工のダンジョンである。
各階に様々な仕掛けがしてある。
タラスクは小細工はないと言っていたが、小細工だらけであった。
迷宮と言うだけあって、ダンジョン内は迷路状態であり、また、落とし穴や仕掛けにより殺す気満々の武器や巨大な岩が飛び出してきたり、巨大な毒の沼や、霧の林等、小細工てんこ盛りと言った方が良いくらいであった。
本当にアズマンは『神』待ちなのか疑わしくさえある。
まあ、『神』ならこんなトラップも余裕で躱すであろうという事なのであろうが…
こうして、ようやく辿り着いた10階層のボスは、ヒドラの七つ首であった。
当然だが、七つ目の首のヒドラには石化の能力を持つ魔眼があったが、蔵光はボスヒドラが出現する前に周囲の魔力感知をして、出現した瞬間には、既に相手の眼球の水分を沸騰させ、魔眼を破裂させていた。
これにより魔眼が使えなくなったヒドラは、蔵光の餌食となる。
ヒドラが他のスキルを使ってくる前にそれは実行された。
水月が一年前の『魔海嘯』の時に水覇相手に使っていた水のカーテンの技を使ってヒドラを蜂の巣にする。
その後も、雑魚モンスターと各種トラップを潜り抜けると20階層にやって来た。
ちなみに20階層のボスは体長が10mを超える二又首の怪狼『オルトロス』だった。
『オルトロス』とは『速い』という意味であり、文字通り、その異常な『速さ』が特徴である。
そのため、普通の人間では、目でもその速度に追い付く事すら出来ない。
だが、蔵光はその怪狼を魔法を使わず拳ひとつで撃沈した。
既に、この時点で、ボスの魔力値は10億を超えていたため、ゼリーが以降の戦闘は魔力の使用をセーブするように蔵光に助言したのだ。
このまま、最下層まで進むことは可能であろうが、その時に、相手を倒すだけの魔力が残っているのかどうか、もし、枯渇していれば、かなり苦しい戦いとなるのは必至であったからだった。
そのため、ボス魔物相手に魔力を使わず、身体能力のみで戦ったのであった。
まあ、蔵光には、魔力のいらない『超剛力』という、水神ミズハノメから『超魔力』とともに水無月家に与えられたスーパーギフトスキルがあるため、言うほどの苦戦はなかった。
そのスキルでオルトロスの恐ろしい速さも一瞬で見切り、その漆黒の胴体に右の拳を叩き付ける。
それは的確にオルトロスの心臓を突き破り絶命させた。
蔵光の戦いはほぼと言って良いほどいつも一撃である。
無駄に手数が多い戦いをする事はない。
そのため盛り上がりもない。
漫画なら編集者泣かせであろう。
その後も、単体であれば、体術で拳や蹴り等で始末し、多数の魔物であれば如意棒を使って薙ぎ払い殲滅する。
なお、戦闘で発生した死体は全てゼリーが空間魔法で回収していた。
途中の対雑魚魔物の記述はページ数の関係というか、面倒なのと、そんなものを見せられても面白くも何ともないだろうから割愛する。
30階層のボスは合成魔物『キマイラ』である。
合成魔物と言うだけあって頭部は獅子と山羊、胴体は獅子、尻尾が毒蛇という造りになっている。
獅子は口から火炎を放ち、山羊は頭部の角から魔力で鋭い氷の槍を飛ばす。
尻尾の毒蛇はその体を伸ばして毒の霧を辺りに撒き散らす。
体の大きさも約30mはあろうか、こんな魔物がまだダンジョンの前半であるとはとんでもないダンジョンである。
だが、蔵光はそれらの攻撃をスルスルと見切って先ずは、キマイラの脚を如意棒で潰す。
そして、動けなくなったところを、その頭部をひとつずつ超高速の如意棒で叩き落としていった。
40階層のボスは金羊毛の番竜『コルキス・ドラゴン』であった。
番竜というだけあり、攻撃よりも防御力が高いドラゴンであり、その昔、コルキスという所の王が金羊毛という毛皮を守らせていたことから有名となったが、本来正式な名前はない。
ちなみに、ここでは便宜上名前を付けた。
全身、黄金の硬い鱗を持ち、首や手足はやや短めで、口から吐き出す炎はキマイラのそれを遥かに凌ぐ程の熱量を持っていた。
一吐きで周囲の大きな岩が熔解する。
ドラゴンの周囲がドロドロのマグマの様な状態となる。
流石の蔵光もこれでは生身で近付けないため仕方無く魔法を使う。
水魔神拳の技のひとつ『水恵・膜』という技である。
魔力で作った水の膜を、相手の体内に魔力干渉して気道に張り付けて窒息させ、溺死させるという恐ろしい技である。
いくら外側が頑強であっても気道を塞がれてしまえばどんな生き物も生きてはいられない。
なお、これが使えるのは呼吸している生物に限られるが…
コルキス・ドラゴンはしばらくは苦しさでもがいて暴れまわっていたが、その内に動きが停止した。
50階層のボスは『エトン』と呼ばれる鷲の化け物であった。
羽を広げれば有に100mはあるだろうか、硬質の羽で覆われた巨大な体躯に鋼鉄でできた刃物の様な、嘴と爪を持っていた。
さらに、この魔物は『超速度』と『気配遮断』のスキルを持っていた。
また、そのスキルを使用しながら、無数の強力で鋭い魔力の羽を、翼を羽ばたかせる力で高速の矢礫の様に飛ばしてきた。
この階層はダンジョンとは思えないほど巨大なドーム状の部屋であり、その高さは数百メートルにも及んでいると想われた。
その中で『エトン』は自由自在に飛び回っていた。
速さだけで言えばオルトロスよりも速いであろう。
そんな奴が気配遮断して、攻撃してくるのだから、相当質が悪い。
魔物は魔力値が高くなればなるほど、その魔法やスキルの能力が高くなる。
従って、『エトン』の使用する『気配遮断』は強力で、蔵光も気配を捉えるのに苦労する。
だが、半分はその状況を喜んでいた。
というのも、地上の魔物は彼にとって、物足らない存在であり、戦うというよりは駆除に近い。
そういった意味でも、このダンジョンのボス魔物は彼にとって自分の力を試すのに丁度良いレベルなのである。
だが、いつまでも楽しんでいる訳にはいかないので、そろそろ倒すことにする。
蔵光はエトンの攻撃を全て躱し切り、如意棒を高速に伸ばしてエトンを空中から叩き落とす。
この一撃でエトンは再び飛び上がる事は出来なかった。
魔法ではない、何度も言うがスキル『超剛力』の力だ。
全ての身体能力が異常な程、強力であり、五官についても鋭敏な感覚を持つ。
移動の速度は音速に近く、腕力は200mを超す古龍の巨体を上空高く投げ上げる程である。
当然だが、衝撃や高低温にもかなりの抵抗力や耐性がある。
また、彼の持つ『如意金箍棒』、通称『如意棒』も神から与えられた道具であり、重さも自由に変化させられ、破壊することは不可であり、先端の金箍という輪っかの飾りは『破魔特性』を持ち、魔法や魔力、魔法を付与された道具の力を無効化することができるというチート武具である。
また、久しぶりに話が寄り道をした。
話を戻そう。
蔵光は現在『エキドナのダンジョン』の59階層にいた。
そこは、広大な砂漠地帯となっている場所であった。
砂漠というだけあり、そこの温度もかなり高温で、地上の温度も60度以上はあるであろうと思われた。
ゆらゆらと陽炎が立ち上り、地平線が見えるが、どこに向かって歩けば良いのかもわからない。
だが、もう間もなく節目となる60階のゲートが現れるはずである。
ゲートとは各階に移動する時に必要な門で、いずれも各階層の奥に存在する。
その場所まで到達すればゲートが開き、次の階層に進む事が出来るが、10階層毎にボス魔物の階層が存在し、その階層だけは、ボスを倒さなければゲートは現れない仕組みとなっている。
今のところは、全てのボス魔物のいる部屋のゲートは現れ開いている。
しかし、ここはそのゲートとなる目標物がないのだ。
59階層に降りた瞬間に、階段は消え失せ、周囲が砂漠と化した。
行けども行けども砂ばかり、普通の人間なら熱と渇きで直ぐに終わっている状況である。
当然ながら蔵光とゼリーもこの事態に困惑している。
「なあ、ゼリー、これってどうしたらいいの?どこに向かえば良いのかもわからないな。」
と蔵光が言うとゼリーも、
「ホンマやなあ、どうしたらエエんかわからんなあ。」
と答える。
途方に暮れている様であったが、その態度は全く違っていた。
二人は、ゼリーが空間魔法から出してきた、大きめの小屋の中で、そこの室内に置かれたビーチチェアに座り、蔵光が『水魔法+温度変化』で作った『かき氷』を食べていた。
小屋には『海の家』という看板が取り付けられている。
ここは海ではなく、砂漠なのだが…
ちなみに『かき氷』を入れている食器等はゼリーの体内の空間魔法に多量に入っているのでそこから取り出している。
ゼリーがいれば、この様な局地的な場所であっても何年でも暮らすことが出来るくらいの食料や物資が体内にあるので、先ず遭難や飢餓状態となる事はない。
それに、この様な場所においては、ゼリーの建物の中に、蔵光の水魔法のうち、『水球』の『沸、暖、冷、寒、凍』等と呼ばれる温度変化を伴う魔法と、『水恵・膜』といわれる水魔法を併用して室内に張り巡らせて展開すれば、外気温を遮断し、室内の温度変化を緩和させ一定の温度に保つ事が出来るため、普通の人間であってもそこで暮らすことが出来るのだ。
それにプラスして、『海の家』の室内は当然ながら、魔改造の馬車並みの設備がしてあるので、いくら外が灼熱の砂漠であっても快適な砂漠ライフが出来る様になっているのだった。
蔵光が建物の中から外を見ている。
砂漠は太陽が照り付けている訳ではないのだが、かなり明るくて、薄い曇り空という感じであり、地面は平地ではなく、起伏があって、高めの砂の山の上に登ると、遠くまで見通す事ができた。
「でも、俺って砂漠を見たの初めてかも…」
蔵光が外の景色を見ながらボソリと呟く。
「えっ、そうなんか?」
「うん、ジパングを出たことは何回かあったけど、人工とは言えこんな大きな砂漠は初めてかな。」
「ホンマか、そら良かったな。エエ経験が出来て。」
とゼリーがニヤリと笑う。
「ははは、そうだね。でもちょっと困ってるけど。」
と蔵光も少し表情を崩して笑う。
「せやけど、今のところは打つ手無いからなあ、飯でも食うて、ちょっと休憩しよか?」
とゼリーが言うと、部屋の中に置いたテーブル上には、ゼリーが空間魔法に入れて一緒に連れてきたコックゴーレムが作った料理が置かれていた。
蔵光もそれを見て。
「うん、わかった。少し休もう。」
と頷く。
砂漠にはダンジョンの外の時間と連動しているかの様に段々と薄暗くなり、まるで、夕焼けを思わせる様なオレンジ色の空になった後、次第に暗くなっていった。
マ「蔵光さんて、確か使える系統魔法は『水』だけなんだよね?」
(-ω- ?)
ヴ「そうだよ、それ以外は神様から使えないように制限がかけられているみたい。」
(・д・)ノ
マ「だとして、考えたら『水』魔法って最強ということですか?」
((( ;゜Д゜)))
ヴ「うーん、それはね多分、水魔法が強いのではなくて、蔵光さんの魔力値が高過ぎるので、強く見えるんだと思う。魔力値が高過ぎてメチャクチャ干渉力が凄いから。普通、相手の体内に魔力というか魔法は展開出来ないからね。」
(*´・ω・`)b
マ「なるほど。じゃあ『火』の魔法でも同じ事が言える訳だ。」
( ゜Д゜)ノ
ヴ「そうなんだけど、火は水みたいに応用力が少ないかも…水球とか、かなり凄いからねえ。」
ヽ(;´ω`)ノ
マ「へえ、俺も魔法使えたらなあ。」(/。\)
ヴ「じゃあ一度蔵光さんに言って、体全体の魔力操作でも受けてみたら?」
ヽ(´・ω・`*)
マ「うーん、考えとく。」(*´,_ゝ`)ノ
ト「マッソル、ビビったな。」(。-∀-)
ヒ「何なら、我がやってやろうか?命の保障はしないが…くっくっくっ。」
(  ̄ー ̄)
マ「け、結構です!ヒー!」((゜□゜;))
まあ、魔法でも何でも要は使いようでしょ。
(* ̄∇ ̄)ノでわでわ。




