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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第一章 古文書の謎
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第19話 ゼリーイモる

色々と考察が入ります。

第19話 ゼリーイモる

「という話だ!ゼリー、何か言うことはあるか?」

と誠三郎はアリオスタ・ヴィストゥラから聞いた話をゼリーに聞かせたのだった。


「あーようわかった。何も言う事はあらへん。その通りや。」

「何故、黙っていた?」

誠三郎が、ゼリーに尋ねる。

「黙っていた訳やあらへん。言う必要も無かったし、これはワイらマグローシャの弟子の系統魔法使いの間での問題やからな。」

「……なるほど、それは一理あるな。」

誠三郎はゼリーの言葉に納得する。


「あと、あれはワイの魔力では動かんかった。多分、大きな魔力があっても魔物の持つ魔力では動かんみたいや、人間若しくは神の蜂の魔力にだけ反応するんやと思う。」

「ふーん、何でだろうね?」

ゼリーが自分自身で分析した結果を聞き、蔵光が不思議そうに尋ねる。

「恐らくやけど、あの剣は『神の蜂の軍』、つまり魔物を動かす剣や、神の使いの魔物をそこら辺の魔物に配下の様に扱われたらプライドが傷付くからとちゃうか?」

「そんなものなのかな?」

「そら、そうやろ、ワイでもゴブリンなんかに顎でコキ使われたらホンマ、マジ、ムカつくで!HMMや!」

「わかった、わかった、で、あの剣はどうするの?マグローシャさんにこの事言ってないだろ?」

「忘れとったんや!」

「えー!ホントにー?」

「マジで忘れてた。また、次()うたら、必ず言うわ。」

「ほんとかな?まあ、それなら良いんだけど。」


蔵光がやや呆れたような表情となる。


そこにヴィスコがやって来た。

「調べて来ました~!ガルガード帝国が、これまでに獣人を使って何か事を起こしたかどうかという事なんですが、結論は、今までにありませんという結果でした。」

「ふーん、じゃあ只の考え過ぎということかな?」

と蔵光はヴィスコの報告に少しだけ眉を上げる。

「ただですね、ガルガード帝国には1000年前にブラキア神聖国を追われた獣人の末裔が多数居住しているようでして、現在、その獣人達の間で、『ブラキズム思想』とか言う思想と運動が起きているらしいんです。」

「何や、その『ブラキズム思想』とかいうんは?」

ゼリーがヴィスコの言葉に突っ込みを入れる。

「ええ、何でも、ブラキア神聖国を追われた獣人の末裔による『原点回帰』とでも言うのでしょうか?再び、ブラキアの地に自分達の生活の場所を復活させようという考え方らしいんです。」

「そんな1000年も前の話を持ち出してきて、どないするんや。」

「まあ、そこには先祖の墓があったり、信仰の対象があるんですかねえ?聖地とか?」

「まあ、それやったらあり得無いこともないか…」

ゼリーもそこは妙に理解が早い。

「それで、どうもその運動にガルガード帝国が力を貸しているという噂が出ているんですよ。」

とヴィスコが言うと誠三郎がピンと来たようで、

「なるほどな、今のヴィスコの一言で、ブラキアからずっと引っ掛かっていたものが取れて無くなったという感じだ。」

「引っ掛かっていたもの?」

「ああ、それはな、いくらワーウルフが人間を20年間喰い続けていたとしても、それは個人の罪であり、種族の罪ではない、ブラキア神聖国の亜人排斥や追放は過去の出来事ではあるが、ある意味、人間族のエゴによるものだからなあ。この運動にガルガード帝国が手を貸していたとしても、それは人道的な扱い方であり、戦闘行為に及ばない限りは、正当な思想であり運動と捉える事は出来る。もし、ガルガード帝国の指示により本当に攻め込んでいたとしても、ただ、単にこの運動により盛り上がった一部の気性の激しい者が突っ走っただけであると言い訳が出来る。まあ侵攻理由を隠す、良い口実という訳だ。」

と解釈を説明する。


「それが事実であれば、また同じ様な事が起こらないとも限らないな…」

ザビエラも魔力値が上がったため、高速思考が発動、事案の把握速度と、それに付随する問題が即時に理解がされていた。


「でも、今回、ガルガード帝国が獣人を使ってブラキア神聖国に攻め込んでいたとしたらなら敢えて自分達の国の物であることを証明するような装備を渡さなくても良いんじゃないんですか?…」

ヴィスコが口を開いた。

他にも何人かそう思っている者もいるであろう。

確かに、一部の人間の個人的な行動に帝国自ら、ガルガード帝国の物である事を裏付けさせる様なものを渡す必要は無いはずなのだが…


「いや、それを含めて奴等の狙いかも…」

蔵光がその事を肯定する。

「それって?」

「誠さんが言ってただろう?『ガルガードが武器、防具、金品等の返却要求をしてきた事や、その意図的なものについて、その辺りの事を聞いたが口が固くて喋らなかった』って…」

()()()()()ですか?」

ヘルメスがそれに気付く。

「だと、思う。1000年前の事は、今の俺達が客観的に見ても、かなり理不尽な理由であり、誠さんが言うように、獣人というか亜人全体が国を追われる理由にはならないはずだよ。それは今のブラキアに住む人間にも全てとは言わないがわかっている者はいるはずだ。自分達のご先祖様は人としてやってはいけないことをやってしまったという思いが…彼等に攻め込まれてもなお、そこの住民がガルガードの事を、と言うか獣人の事を言い淀んでいた意味が分かるような気がする。」

「なるほど、ガルガードはそこに付け込んでいるのだろう。ただ単に獣人が国を攻めたのではなく、他の国も『お前達の先祖が犯した罪を、お前達が赦しても、他の国は赦さない。獣人の気持ちは尊重されるべきものであり、そこに大義名分はある』と…なのでもし、それにガルガード帝国が絡んでいたと発覚したとしても、他の国からは非難される事はまず少ないだろうからな。まあ、それにもし万が一、国の一部が占領できた様な事態にでもなれば、今度は堂々と侵攻を認めて、しっかりと自分達の占領地だと言い張るかも知れないがな…ははは。」

と誠三郎が蔵光の言おうとしていたことを代弁する。


「あっ、それだと、昔、人族に手を貸したマグローシャさんも獣人追放の手助けをしたから非難される立場なんじゃないんですか?」

とヴィスコが言うと、

「それなんだが、あの人は、戦争を止めただけであり、人間側に手を貸した訳ではない様だ。途中で獣人と対立した格好となってしまったが、それでも中立の立場を堅持していたらしい。当然、『神の蜂の軍』の方も獣人の前に立ちはだかっただけで、マグローシャと同様に戦闘行為には加担していないと自分達は伝えられているとアリオスタが言っていたぞ。」

とヒダカが補足説明をした。

「まあ、マグローシャさんに一度会ったことあるから分かるけど、あの人がもし本気で魔法を使って普通の獣人達に攻撃したら、恐らく皆殺しになっていたと思いますね。 」

ヘルメスが言うとヴィスコが驚いて尋ねる。

「えっ?マグローシャさんて、そんなに凄いんだ?」

「そりゃそうでしょ、只でさえ、恐ろしい魔物が彷徨(うろつ)く森で、何千年も森の管理をしているんだから。」

「まあ、確かにそうだけど…元々は人間なんでしょ?そんなに魔力値が高いとは思わないんだけど…」

ヴィスコが再確認する。


「でも、7000年も生き続けていたらもう人間ではないと思う。」

とヘルメスが言うと、ヴィスコは、

「人間を辞めたってこと?では、何のために、そこまでして7000年もあの森を守る必要があったのかな?」

と、一番の謎に対して疑問を持つ。

「マグローシャさんが言っていた『神』を待っているんでしょうね。」

「神かあ、でも、今一番の『神』有力候補はゼリーちゃんでしょ?例の『ニホンゴ』の問題を解いて『古文書』の鍵のひとつを開けたんだし…」

「まあ、それはそうだけど、でも、まだ、鍵は3つあるし、それが全部開けられればの話だからなあ。」

「そんなの大丈夫だって!ねっ、ゼリーちゃん師匠!?」

「えっ?ああ、そうやな…」

ヴィスコの言葉に返事をするが、『神』と言われているゼリーの心中は穏やかではなかった。

なので、ゼリーはあることに挑戦することにした。


それは…

「オルビア、ワイの運命わかるやろか?」

とゼリーが聞く。


以前、ライズという街で有名な『アテーネの占いの館』において占い師アテーネから占ってもらった事があった。1-56

だが、この時は、亜空間に入っていたチョッコ・クリムと同調(シンクロ)させていたために、『この世に存在しない、幽霊のような存在である。』と言われてしまった事があったので、以後は占いや予言などを極力避けてきた。

だが、今はゼリーという自我を持った一個の生命体である。


だから、オルビアに自分自身の運命を聞いてみても良いかなと思ったのだった。

それを話すと、オルビアもあっさりと予知することを引き受けた。


そして…


「はあー、これは凄い。ゼリーさんにこの内容を伝えても良いのでしょうか?どうします?」

とオルビアが予知した結果を伝えるかどうかをゼリーに確認する。

「えっ?あ、いや、どうするって?」

「ですから、予知したことを告げても良いですかと聞いているんですが?」

「いや、ちょっと待ってくれ、さっき凄いとか何とか言っとったな?あれは何や?」

「それは気になさらないで下さい。」

「いや、気になるやろ?ああいうことを言われたら…」

とゼリーは予知の結果を聞こうか聞こうまいか、どちらにするか決めてしまおうと悩んでいた。

「とりあえず保留や!」

ゼリーはイモった。

※イモる…ビビる、怖がる、腰が引ける。




ヴ「ゼリーちゃん師匠も怖がる事があるんですね。」(о´∀`о)

ト「そりゃそうでしょ、私もライズでザビエラ様に再会したときは、殺されると思いましたもん。」

(´゜ω゜`)

ヴ「確かに、あの時の顔は一生忘れられないわ。」

( ̄ー ̄)

ト「うわー嫌なことを…そんな事は早く忘れろよ!」

(;-ω-)ノ

ヴ「で、マッソルが怖いものって何かあるのかな?」(-ω- ?)

マ「うーん、ヘルメスの姉御が怒った時かな?」

(*´・∀・)ノ

ヴトン「確かに、あれは怖い」(゜ー゜)(。_。)

マ「ヒダカさんは何か怖いものあります?」

ヒ「我にそのようなものがあると思うのか!」

((( ̄へ ̄井)

ヴ「蔵光さんとか?」(。-∀-)

ヒ「ぬな?!あ、あ、あれは、あの人は神掛かっているから対象外だ!」

(;´゜д゜)ゞ

まあ、人にはというか、生き物には怖いものがひとつや二つはあるものです。

私なんかは…ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァお金が怖いー!

札束なんかエコバッグに入れないでー!

((( ;゜Д゜)))


失礼しました。\(_ _)

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