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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第一章 古文書の謎
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第16話 タラスクの正体

予想を翻す結果を常に出すように心掛けています。


第16話 タラスクの正体

ゼリーは高速思考を使っていた。

先程の自分の攻撃が全く効かなかった事から導き出される、相手のスキルの正体を暴き出そうとしていたのだ。


『さっきの攻撃が透過してしまったということは、奴の実体はここにはないということや、ということは…。』

ゼリーは、最初、自分達の周囲に拡げていた生命体感知に相手が全く反応しなかったため、相手は気配遮断と認識阻害の能力を持っているのではないかと考えていたが、先程の陽炎の様な姿を見せたことで、再び、考えをリセットしていた。


「ちっ、仕方がないなあ、ワイもプライドが無くなったのか、それとも高くなり過ぎたんか…」

ゼリーは、そう言いながら、あるものを手にしていた。

それは、ニューマソパッドであった。


この魔導機は気配遮断や認識阻害の魔法など全く関係なく対象の居場所と魔力値を正確に示す。

『G・M・C』plusのお陰で、その精度と正確さが向上した結果、高魔力値の生命体がどこに隠れているのかが一瞬で判明する。

ゼリーが自分の魔法を使わず魔導機の力を借りたのは、プライドが無くなった訳でもなく、プライドが高くなり過ぎて絶対に負けたくないと考えたという様な訳でもない。

『立っている者は親でも使え』という大阪人的な思考がそうさせていた。

つまり、便利なもの、使えるものは使うという考え方なのがゼリーであり、元々そこにはプライドというものの介在は全く無かったのである。


「ほら、()ったで!って言うか、何でこんなところにおるんや?」

ゼリーが直ぐに相手の場所を捕捉するが、かなり意外な所にいたようであった。


次の瞬間、ゼリーが手というか、手を触手状にしたものを、直近というか目の前の何も無い空間に伸ばした。


「よっしゃ!タラスク捕まえた!」

ゼリーの触手によって捕まえられたのは、なんと、『合成魔物(キメラ)』であった。

ベースは蜘蛛の様であり、後ろの方には(さそり)の様な毒針の尻尾もある。

体の一部には、エンペラースライムの様な特徴もある。

大きさは1mちょっとぐらいであろうか。

ゼリーの触手が拡がってタラスクの体全体を包み込んだ格好となっていた。

ゼリーは蔵光達に、大暴れをするので下がっていて欲しいと言ったにも関わらず、こんな結果となってしまった事に若干の後ろめたさを感じる。


「簡単に捕まえたし、めっちゃ、恥ずいやんか。何なんコイツ?」

ゼリーはタラスクを掴みながらも、タラスクから触手を毒牙で噛まれたり毒針で刺されたりしているが、元々毒無効の体なので全く動じていない。

それに気付いたタラスクは焦り始める。


「ちょ、ちょっと、やめて、殺さないで!」

タラスクが叫ぶ。

タラスクはゼリーにとって、その能力に反比例して、余りにも弱々しく感じられた。

ゼリーが触手で包んだ状態の『タラスク』を見て簡易で性別鑑定する。

「お前、雌か?」

「そうだよ!何か文句でもあるの?!」

スライムには本来、分裂で増えるため、雌雄の別は無いが、このタラスクには別の生物の分で性別があった。


「いや、別に文句は無いんやけど?それに、お前、キメラやな?何の能力を持っとるんや?」

とゼリーはタラスクに聞く。

「何で、お前なんかに自分の能力をしゃべらないといけないんだよ!」

とタラスクが叫ぶ。

確かに初対面の、しかも敵か味方かわからない奴に自分の能力を(さら)け出す馬鹿はいない。

「まあ、そらそうやな。」

ゼリーはそう言うと、包んでいた触手を外して拘束を解き、タラスクを自由にした。

「えっ?何で?」

自由になったタラスクが驚いてゼリーを見る。


「ワイらはお前の敵や無い、どっちかと言うたら味方やな。」

とゼリーが言うと、その隣でヨルが認識阻害を解いて姿を現した。

それに続いて蔵光達も現れた。


現れたヨルを見たタラスクが驚きながら、

「えっ?も、もしかしてヨルなの?どうしたの?」

と8個の目で認識する。

タラスクはヨルを認識すると自身も人間の姿に変化した。

「彼らは『マリガトリアン』の封印を解こうとしているんだよ。」

とヨルが話す。

「えっ?『マリガトリアン』って、魔女の持っているあの本の事?」

「そうだよ。」

「じゃあ、アズマン様が言っていた封印を解く者が現れたんだね?」

「ああ、サンマーサさんが亡くなってしまったので、僕は『東の森』を出たんだよ。それで、この人達の仲間になったんだよ。」

「サンマーサさんが亡くなった?」

「うん。」

ヨルは、赤いドラゴンの事、それからヨルと封印の扉をそのドラゴンから守るためサンマーサが森に残り、そのまま消滅してしまった事、そして、その後、蔵光達が扉の封印を解き、自分が自ら『マリガトリアン』の封印の錠を鍵で開けたこと等を話した。


「そうだったんだ。じゃあヨルはどうしても帝国に戻るつもりなんだね?」

とタラスクは聞いてきた。

「そのつもりだよ。」

ヨルは頷く。

「私は帝国に戻るつもりはないけど、ヨルには協力する。私はあんな恐ろしい場所には二度と戻りたくないからここにいるよ。あちらの人間は憎いが、こっちの人間には何も恨みはないからね。」

とタラスクは話した。

「アズマン様には、何か言っておこうか?」

「いらない。私がアズマン様の元から引き離され、ここに送られたこと…マグローシャさんが思っている程、私はアズマン様を憎んではいないよ、あの時は、『殺してやる』とか息巻いていたけどね。」

「そうか…わかった。」


こうして、タラスクは蔵光達に協力をすることとなった。


後で確認したところ、タラスクの魔力値はゼリーと同じくらいの一億五千万M位あり、スキルとしては、タラスクには『毒牙と毒針』という猛毒のコンボスキルがあり、併せてエンペラースライムの『霧風』も持っていた。

また、彼女には気配遮断はあったが、あの揺らぎとエンペラースライムの姿については認識阻害の魔法ではなく、彼女の能力『蜃気楼(ミラージュ)操り人形(マリオネット)』という能力(スキル)で、自分の姿等を別の場所に投射し、相手がそれと対峙している隙に背後から近付き猛毒の牙や針で止めを刺すというのが本来の戦い方らしい。

そんな強い彼女が嫌がる帝国の人間達とは一体どんな奴等なのであろうか?


「ここだよ。」

タラスクが案内してきたのは、森のちょうど真ん中にある小さなダンジョンであった。


入口部分は(ほこら)のように石組みがしてあり、両脇の石には何か紋章の様な模様が刻まれていて、周囲を木や草などが覆い、一見して気付く事はない。

場所を知っている者に案内されないと絶対にわからないレベルの小さなものである。


「このダンジョンは全部で100階層あり、一番下の階層に鍵が入った箱がある。だが、下に行くに従って出現する魔物は強さを増す。鍵の入った箱には鍵は掛かっていない。あそこまで到達出来る者に下手な錠は必要ないからな。」

とタラスクは説明した。


「ちなみにタラスクは下まで行けるのか?」

と蔵光が聞くと、

「さあな、アズマン様が作ったダンジョンだからな。行けないかもな…でも、小細工は無いはずたよ。」

タラスクがそう答える。

するとゼリーが、

「ここはかなりヤバそうやな。『東の森』では日本語の、それもかなりコアな質問やったけど、何とかワイのわかる質問で助かったからエエとして、ここは完全な実力重視のダンジョンみたいやな。森によって鍵を手に入れる条件が違うとは…一体、どうなっとるんや?他の森も別の条件とかあるんかいな?」

とぼやく。


「ちなみに、昔からこのダンジョンは、ミナヅキとか言う一族の人達が時々腕試しのダンジョンとして何度か来てるよ。」

とタラスクが言うとゼリーが驚いて蔵光を見る。

「えっ?じゃあ、(あるじ)のご先祖様は何回か来ているということかいな?!」

「そうなるね?でも、こんなところがあるとは聞いたことは無かったなあ。ところで、ご先祖様は最下層で箱の鍵を見つけていると思うんだけどどうしてるの?」

蔵光がタラスクに尋ねると、

「最下層までは確かに到達しているらしいけど、元々が腕試しだし、鍵も見つけて私に何に使うのか聞いてきたので一応は答えるけど、結局、『ニホンゴ』を読めずに終わったみたいで、全ての鍵は手に入れることは出来なかったみたい。なので、全員あきらめて、鍵を戻しに来たけどね。」

「そら、そうやろ、あんなもん知力、体力だけやなくて、時の運みたいな問題もあるからな。それに鍵だけあっても、どうせタラスクが開けないと開かへんねんやろ?」

とゼリーが言うと、

「そうだな。」

タラスクはニヤリと笑う。


「じゃあ、ここのダンジョンは俺が行くとしようかな。」

と蔵光が言うと、ゼリーが、

(あるじ)ぃ、このダンジョンは100階層もあるし、いくら主でも攻略に結構時間がかかるやろうから、一回出直さへんか?それで、他の森の方は別の者で手分けして探すとかしたらどうやろか?」

と提案した。

「確かに、慌てる事もないけど…でも『じゃあそうしよう』と言いたいところなんだけど、とりあえずここまで来たんだから例の『空間迷路』とかは無くなるんだろ?」

「ああ、それを言うなら『空中迷宮』やけどな。」

とゼリーがさりげなくツッコミを入れる。


「でもさ、『マリガトリアン』は一冊しかないし、開けられる者は一人だけだろ?ヨルは次の森に連れて行って、他の四獣との顔繋ぎくらいはしてもらえるだろうけど、タラスクはどうする?ここの鍵で解錠してもらう件もあるし、他の森に連れては行けないぞ?」


蔵光が『手分けして鍵を用意する作戦』の落とし穴を指摘した。


「それは、ワイの『水蓮花』と『空間魔法』を使うっちゅうのはどうなんや?ここにワイの分身を置いといて、鍵の準備が出来たら『水蓮花』で連絡をとり、その都度空間魔法の『転位』を使って人や物を移動させるっちゅうのはどうや?」

ゼリーが作戦の提案をする。

「なるほど!いい考えだ!」

ヘルメスも納得して頷く。


ということで、蔵光達は一度出直す事となった。


その日の夕方に蔵光達は、ギルレアンの『べれり庵』に戻ってきた。


「若!おかえりなさい!」

蔵光達を出迎えたのは誠三郎こと八鬼誠三郎(やぎせいざぶろう)と雷鳥のヒダカであった。


二人はブラキア神聖国の北側にある島へ鉱石や魔石の採取に行っていた。

かなり、成果があったようであり、かなり大きくて良質な魔石が手に入ったらしい。

「若、何か『古文書』の謎を追っているらしいですな?」

誠三郎が蔵光に尋ねる。

恐らく、Mr.Mにでも聞いたのだろう。


「うん、何か地下帝国とかの入口がわかる物らしいけど、俺一人では解読とか難しいし、それに、それに(まつ)わる事情も結構ややこしくて。」

と苦笑いをする。

「若が手こずるとは中々のものですな。」

「まあ、今回は事情のわかっているゼリーがいるから大丈夫だよ。」

「そうですか…」

「それより、セイさんの方はどうだったの?」

「ええ、マソパッドで連絡しても良かったのですが、直接お話しした方が良いかと思いましてな。」

「何かあったの?」

「ええ、実は…」

誠三郎は自分達に起こった出来事を漏らすことが無いように、ゆっくりと話し始めた。


マ「今回からヒダカさんに来てもらおうかなと思って呼んでみました。」

(o^-^o)

ヒ「おっ、あっ、我はここで何をしたらいいのだ?」

Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)

ト「とりあえず、適当に話をして、自由にその場を繋いでもらえれば結構です。」

(* ̄∇ ̄)ノ

ヒ「そんな…適当でいいのか?」ヾ(゜д゜;)

マ「多分、適当にやっていれば何とかなると…それに今回の終わり部分から誠三郎さんとヒダカさんの事に触れていくんで、その都度コメントを入れて貰えれば結構かと…」

ヾ(´▽`*)ゝ

ヒ「わかった、それでは宜しく頼む。」

(´・∀・`)

ト「こちらこそお願いします。ちなみに今回の誠三郎さんとの旅は如何でしたか?」

ヒ「えっ?いきなりもうしゃべるのか?」

(;゜∀゜)

ト「ストーリーに触れなければ大丈夫ですから。」

(。^。^。)

ヒ「いや、多分、我が話すことは全て本編に絡んでいくと思うのだが…」ヾ(゜д゜;)

マ「それなら、止めて頂きます。」

(ヾノ・∀・`)

ト「じゃあ、ヒダカさんの趣味とか?」

ヒ「しゅ、趣味?!そ、そうだな、雷雲の中で寝る事かな。」

( ̄^ ̄)

ト「はあ、天下の雷鳥様としては、あまり面白くもない答えですね。」

(*´,_ゝ`)ノ

ヒ「な、な、な、何だと!」ヽ(♯`Д´)ノコリャーッ

マ「そうですね、あんなに強い蔵光さんでも水魔法以外の魔法を見たり、聞いたりするのが好きとか…」

ヾ(´∀`*)ノ

ト「そうですね、誠三郎さんなんかも、剣術、鉱石、魔石の鑑定士の他に料理人といった一面もお持ちですからねえ。」(*´・∀・)ノ

ヒ「なー!!で、では、あの魔族の男、ザビエラはどうなのだ?あやつも趣味とか持っていないはずだぞ!」

(;゜д゜)ノ

ト「ザビエラ様は、今では定期的にお子様と連絡を取り合っていますし、今まで魔族として余り美味しいものを食べていなかったとかで、世界各地の料理店を訪れ、美味いものを食べるとか計画されていましたけどね。」

(。・д・)ノ

ヒ「な、何だと!?そ、そんな…我だけが、そんな薄っぺらな奴であったとは…」

!Σ( ̄□ ̄;)

薄っぺらな奴ほどこのコーナーで、その本質が露見すると大恥をかく事になる。

ヒ「うわあー!やめてくれー!ここが、こんな恐ろしいコーナーだとは思わなかったぞー!」

(゜Д゜;)ヒィー


それでは、またね、ヾ(o´ェ`o)ノ

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