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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第一章 古文書の謎
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第14話 タラスクの居場所

キーワードは『コント』。

第14話 タラスクの居場所

「恐らくだけど、そのビーレイクの住人は全員そのユニーク個体の赤いドラゴンとやらに喰われているだろうね。」

とマグローシャが言った。

今回のクランズの目的のひとつとして、ビーレイク村の人間の所在を明らかにして元に戻すことというのが、ひとつの目標でもあった。

だが、それが、マグローシャの一言で無惨にも打ち砕かれてしまった。


「それは、どうして、どのような根拠があってそう言われるのでしょうか?」

ヘルメスが、マグローシャの言葉に納得が出来ず、食い下がろうとする。


「ああ、その事だがね、まず、私達、森の魔女の事を説明しておかないとわかりづらいんで説明しておくよ。私達は自分達が思っている通り、四つの森に広大な結界を張り巡らして、外部からの侵入と内部からの魔物の流出を防ぐためにいる。そして、ヨル達、アズマン様から使命を受けた『四獣』はその森の中に作られた『マリガトリアン』の鍵を護る番人となった。一般的にはアズマン様ではなくタイトバイトス皇国が私達に命令して森を守っているとかという事になっているがね。それで私達はアズマン様の『時の魔法』の効力が薄くなる1000年から2000年の周期で、定期的に開く魔女専用の転移門から帝国に帰り、アズマン様の魔力で再び若返らされ、森に戻される。

彼女、つまりサンマーサが『マリガトリアン』を他人に託したこと、これは、本当はサンマーサ自身が帝国に戻れないことを意味している。誰かに『マリガトリアン』を託して他の魔女に渡してもらうことを前提としているからだ。そして、サンマーサは帝国に戻ることなく『東の森』を赤のドラゴンから守り続け『時の魔法』の魔力切れで、結局、この世界から消滅してしまったと思われる。また、サンマーサが消えた日以降に森の近くの人間、つまりビーレイク村の人間が消えたことは偶然ではない。それはどういうことかと言うと、その住民達は、サンマーサが消えた事により、彼女が張っていた『東の森』及びその周辺に住む村等に張っていた結界が解けて無くなったことにより、村の中に侵入してきたドラゴンなどの魔物に食べられてしまったと考えるのが妥当だと思うからだよ。」

とマグローシャはそう結論付けた。

マグローシャの家の中がシーンとなり、外の小鳥の鳴き声が聞こえてくる。


「あの、『マリガトリアン』という物は本来、何をするものなのでしょうか?」

とヘルメスはマグローシャに尋ねる。

「あれはね、アズマン様曰く、帝国に神を招き入れる為の『転移門』の場所を示すものが書かれているらしいよ。」

「『転移門』?」

「ああ、四つの鍵で『マリガトリアン』を開ける資格のある者が現れる時、それが帝国の救世主が現れる時であり、長く続く地下帝国の戦争を終結させる事になるであろうと言われていて、『転移門』はその帝国に渡るためのゲートとなる門の事を言っているのだよ。だから、それを開けることが出来る人間を、私達は『マリガトリアン』を持って、森の中で待っているのさ。」

「ふーん、で、それが開けられる可能性はあるのか?」

とゼリーが聞くと、

「わからないね。アズマン様は異世界の住人なので、あの人の考える事は全くわからないのだよ、『転移門』の場所は私達も知らないし、第一私達、魔女らでもあの文字が読めないからねえ。」

「あの文字って『日本語』のことか?」

とゼリーが聞くと、マグローシャの目が大きく見開く。

「お、お、お前、あ、あの言葉がわかるのかい?!」

と驚いて聞き返し、隣にいたチョッコもその場に立ち上り、

「日本語って何の事や?誰が書いたんやって?」

とゼリーに聞き返すがゼリーも、

「ちょ、ちょっと、待ちいな!二人同時に話をせんといてくれ!」

と二人を制する。


ゼリーは二人に、『マリガトリアン』から出てきた文字の事や、『東の森』の巨木の扉の中に書かれていた文字が『日本語』であったこと、そして、その問題を解いて、四つのうちのひとつの鍵を見つけ出し、『マリガトリアン』の鍵をヨルに開けてもらったことなどを話した。


「ま、まさか、あ、開けたのか、あの『マリガトリアン』の錠を!?」

「開けた。」

マグローシャの問いにゼリーが平然と答える。


「ちょ、ちょっと、待て、アズマン様が言っていたが、もし、あの文字を読める者が現れたとしても普通の者には絶対にわからない、わかるのは『神』しかいないと言っていたのだが…」

「うーん、『神』というか、あれが、わかる者をあの文字の前に立たせる事自体が『神掛かっている』とは思うけどな。」

とゼリーが言うと、チョッコが尋ねる。

「一体、何の事を言ってるんや?」

「ああ、書かれていた問題の話やけどな、『シッポリ亭のシングルの値段はいくら』という問題なんやけどな。」

「そんなもの、簡単やないか『10万イエーン』やろ?」

とチョッコが即答する。

まさにゼリーが巨木の扉の前で答えた答えと同じであった。


そのやりとりを見ていた、蔵光やヘルメスが、

「いや、なんでそんな訳のわからない問題が簡単に解けるのだ?それは日本という所では有名なのか?」

「『しっぽりてい』とか『しんぐるのねだん』とかって何なんだ?」

と聞いてきた。


「いや、有名とか有名でないとかは関係ない。あの文章を書いた奴は、『クリム&カリスマ』を知っている奴、それもかなりコアなファンや。」

とゼリーが言う。

「えっ?えっ??『クリム&カリスマ』?コアなファン?」

蔵光やヘルメスはエイダー伯爵の船の中で一度、ゼリーが転生者としてのカミングアウトをしたのを聞いたが、その時に、チョッコ・クリムとカリスマエージは、日本という国で『クリム&カリスマ』というコンビで、コントとかいうものをやる芸人というものであったと聞いていたが、再び、その話が出るとは思わなかった。


「そのコアなファンと、古代文字『ニホンゴ』の問題が何故か繋がっているという事なのか?アズマンは『クリム&カリスマ』のコアなファンという事なのか?」

と蔵光が言えば、

「いや、それはちょっとわからへんが、それよりも、7000年も前に、それも、恐らく日本からの転生者であるアズマンが、何故、どうして、7000年も後になる現在に『クリム&カリスマ』がこの魔法世界『マーリック』に転生者として現れることを知っていて、ワイらでしか解けない問題を扉の中に用意していたのかという事や。」

とゼリーが冷静に分析して説明する。

マグローシャはそれを黙って聞いている。


「アズマンってマサやんかな?あの時、ワイらの車の運転していたから…エージと同じように時間のズレで、大昔に飛んで転生したとか?」

とゼリーが言うと、チョッコが、

「いや、マサやんの本名は木村マサトシやからアズマンと言うのはかけ離れすぎとる。違うんとちゃうか?」

と分析する。

「ほんなら、誰なんや?あのネタを知っとるんは内輪の人間か、小さな劇場で数回やっただけでそれを見てたヤツくらいやで。」

「わからんなー若返ったら頭の回転がさらに良くなって当時の事を思い出すと思うねんけんどなあ~。」

「そしたらアズマンに若返らせてもろたら?」

「ほんまやな、ってアズマンに会うたんやったら、本人に直接聞いた方が早いやろ!」

「そらそうや、ワッハッハ!」

ゼリーとチョッコの関西弁の応酬である。


「チョッコが二人いるみたいで何か怖いな。」

とそれを見ていたマグローシャが身震いする。


「とりあえず次の魔物の王『タラスク』の所在を教えてもらって会いに行かなくては…」

とヘルメスが言うと、マグローシャが、

「タラスクの正体は、その目に見えているが、まるで見えないモノというのが答えだ。」

「なんやそれ?謎かけみたいで意味わからんわ。」

ゼリーとチョッコが同時にツッコミを入れる。

「奴を表現するには、それが適当なんじゃよ。」

とマグローシャが空を見る。

何かにおびえるように。


「でも、ヨルの話では普段は人間の姿をしているんだろ?」

蔵光が聞くと、マグローシャも、

「ああ、そうだが、ここの森では違う。奴は結界を守るために魔物の姿になっている。」

と答えた。

「あと一つだけ教えてもらいたい。アズマンは『マリガトリアン』の解除を望んでいるのか?」

蔵光が最後の質問をする。


「それはどうかな、アズマン様の考えは我々には遠く及ばないからな…あと、帝国は今も長く果てない戦いが続いている。それを止められるのがチョッコ達転生者ならば解除した方がいいだろう。だが、彼等は強い、神クラスと言っても良いだろう。そんな者を相手にしてお前達が勝てるとは到底思えないんじゃが…」

とマグローシャがため息を吐く。


「とりあえず、タラスクの居場所を教えてくれ。」

とゼリーが言うと、マグローシャも、

「仕方がない、アズマン様があの『マリガトリアン』を開けることが出来る者が戦いを止められると聞いているからな。」

と前置きをして、

「奴は、『東の森』と同じ様に、森の中心にいる。ヨルと違って、奴は人間を憎んでいる。いや、アズマン様でさえ殺そうと思っているだろう。そんな奴をお前達が何とか出来るのなら、帝国の戦いを止めることも夢ではないだろうな…」

とマグローシャがタラスクの居場所を教えてくれた。


蔵光達はマグローシャの家を出ると、一路、森の中心部に向けて再び歩き出した。




ト「こんなに早く物語の核心を出して来ていいんですかね?もしかして、すぐに終わらせるとか?」

(;´゜д゜)ゞ

マ「それは有り得る。この物語の神は異世界の住民の声を聞いて文字を打っているだけに過ぎないらしいので…聞こえなくなれば終わる可能性は無くもない。」

(´・∀・`)

ヴ「えー、私の世界一の魔法使いの夢は?どうなるの?」

( ´゜д゜`)エー

マ「まあ、立ち消えでしょうな…」

┐( ̄ヘ ̄)┌

ヴ「イヤーーー!!」ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ


まあまあ、落ち着いて、まだ終わるとは決まっていませんので、慌てないで下さい。

(*・∀・*)ノ


じゃあまたね。(* ̄∇ ̄)ノ

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