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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第一章 古文書の謎
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第12話 古文書の使い方

古文書の錠がひとつ外れます。

第12話 古文書の使い方

蔵光の考えた作戦が開始されることになった。

始めに、蔵光達は、エージに預けていた『古文書』を再びこちらへ戻してもらうことにした。

というのも、中を開けられないまま、ずっとジパング王国に置いておく必要が無いからだった。

また、今回の作戦では、その都度、『古文書』が必要となる恐れが十分に考えられたからだった。


「ゼリー、頼む。」

蔵光が言うと、ゼリーは飛行船内で、空中に展開した亜空間の入口に入って行った。

そして、しばらくすると、再び同じ場所に亜空間が船内に現れ、ゼリーが中から戻って来た。

その手には『古文書』が抱えられていた。

亜空間を通じてジパングから持ち帰ってきたのだった。


「これ持って行くっちゅうことで、ええんやな?」

そう言うとゼリーがその古文書を上に持ち上げる。


「よろしく。」

ヘルメスもゼリーに声を掛ける。


魔導飛行船『プラチナスカイドラグナー』は、実はあれからずっと『東の森』の上空で待機をしていた。


再び、蔵光、ヘルメス、ザビエラ、ゼリー、そして、ヨルの五人が、飛行船から飛び出して、扉のところまで戻ることになった。


相変わらず結界が掛けられていたが、ヨルが森に近付くと結界は薄くなり、消えていく。


再び結界が張ってある巨木の扉までやってきた。

これも森と同様にヨルが近付くと扉に掛かった封印結界が薄くなって消えていった。

さらにヨルが扉に手をかざすと、扉が光り輝いて開いていく。

すると、目の前には入口の様なものはなく、木の幹が現れた。

「何だこれは?この扉は帝国への入口じゃあ無かったのか?」

とザビエラが言うとヨルも、

「へぇー、初めて封印を解いたけど、ここってこんな風になってたんだ。」

とヨル自身も初めて見たようで驚いている。


そして、その幹の表面をよく見ると、そこには何やら文字が書かれている。


それを見てヘルメスが唸る。

どうも読めないようだ。


「うーん、何だこれは?古代文字なのか?」

ヘルメスは世界各地の言葉をある程度知っている。

それは貴族として最低限の教養として教えてもらっているものであり、特にタイトバイトス皇国など隣国の言葉はある程度わかっているつもりであったが、今、目の前に書かれている文字は、同国の言葉ではなく、全く知らない言語であった。

古代言語をある程度理している、ザビエラも、

「こんな文字は見たことはない。」

と言う。

しかし、ゼリーは違っていた。

パッと見て直ぐに何が書いてあるのか理解した。


「何や、こんなもん、誰でもわかるやないか…って…ウソやろ?マジか?」

「もしかして、ニホンゴというやつか?」

とヘルメスが尋ねると、ゼリーもそう言われてハッと気付く。


「そ、その通りや…その通りなんやけど…いや、まさか…」

ゼリーがその文字列にかなり動揺している。

その様子を見てヘルメスが尋ねた。

「で、ここには何て書いてあるのだ?」

「………」

「何だそれは?」

ヘルメス達は言葉の意味すら全くわかっていない様子であった。


「ちっ、しゃーないな、ワイが答えたるわ。」

そう言うとゼリーは、

「答えは『ジュウマンイエーン』や!」と叫んだ。


すると、文字が書かれている部分から光が溢れだし、それが治まると、木の幹に10㎝四方の四角い穴が空いていた。

そして、その穴の奥に小さな鍵が置かれていた。


「やっぱりあの問題…マジか…まさか…いやそんなはずは…」

ゼリーは、その後もぶつぶつと言っている。


「あった。」

蔵光がそこに置かれていた鍵をつまみ上げる。

それは、長さが3㎝程の小さな鍵であり、古文書の錠前に合いそうなサイズの鍵であったため、一応確認することとなった。


「じゃあ、古文書を…」

蔵光がそう言うと、ゼリーが収納していた空間から古文書を取り出し、蔵光のところへ持ってきた。

蔵光はそれを受けとると、適当な鍵穴にその鍵を差し込む。


そして、その鍵を回す。

だが、鍵は回らなかった。

「え?どうして?」

蔵光がカチャカチャと回すが、鍵は半分も回らない。

蔵光はその他の鍵穴にもとりあえず鍵を突っ込み回してみたが全く回転せず、どの錠前も解錠されなかった。


「どないしたんや?回らんのか?」

「うん、駄目みたい。」

「想定外やな。」

ゼリーが呟く。


「何か、仕掛けがあるのか?」

蔵光はその鍵をじっくりと見たが全くわからない。


「ちょっと、貸して。」

横からヨルがやって来て、その鍵を受けとり、蔵光と同じ様に古文書に取り付けてある錠前のひとつに差し込み回した。

すると、鍵はクルリと回り、カチリと音を立てて解錠された。

鍵穴の横の宝石が赤色から緑色に色が変わる。


「おおー!」

全員が声を上げる。

()()()()()の鍵やったんやな。」

とゼリーがそれを見て納得する。

どうやら、ヨルも鍵の一部だったようである。


「でも、ゼリー、よくあの言葉の意味がわかったよね。『答えは』とか言ってたけど、ニホンゴというやつで問題でも書いてあったの?」

「えっ、あ、ああ、まあな。」

蔵光の質問に答えるゼリーであったが、何か歯切れが悪かった。


再び、皆が魔導飛行船に戻ってきた。

何だかんだしていると、お昼になっていたので、飛行船の中で昼食を取ることにした。

お昼ご飯のメニューは船内のコックゴーレムが料理を担当、ホストゴーレムがそれを配る。

船内のドーム客室は再び、配席が変化し、ドーム室内に円卓が現れる。

そして、その周囲にぐるりと座席が移動した。

本日の料理は中華()料理のコースである。

前菜から始まり、炒め物やフカヒレ()スープ、餃子や春巻き、酢豚、中華焼そば、四川風麻婆豆腐、叉焼炒飯、肉焼売やエビチリ、エビマヨ、回鍋肉など足らなければテーブル上のメニュー表を見ていくらでも注文出来る。

また、クランズのメンバーは元々から大食いが多いので飛行船には普段から大量の食材を載せているため、食材が足りなくなるということはまずない。


なお、これらの料理はゼリーがこれまで旅をした先の料理店で出会った一流シェフの『料理の腕前(スキル)』を『スキルコピー』という魔法で複写してクックゴーレムに魔法付与しているため、作る料理は全て一流シェフと変わりなく目茶苦茶美味い。

ただ、これの問題点は、あくまでも腕前のコピーであって、全ての料理を再現できる訳ではない。

例えば創作料理などは、その料理人の考え出したオリジナル料理であり、発想と工夫があるので、それがないゴーレムには到底作ることは出来ないということである。

とは言うものの、一度、ゼリーが食べた料理の味は全て、更新すれば再現出来るので、恐ろしい呪文であることは間違いない。


食事をしながら、次の目的地の話題になる。

錠前はまだあと3つもある。

ある程度目的地の選定と予定を立てておかなければならないだろう。


「次は、『北の森』かな?」

とヘルメスが言うと蔵光も、

「そうだな。ゼリーというかチョッコ・クリムの師匠のマグローシャさんという人がいる森だからな。一度会いたいんだけどなあ、たぶん今は、彼女も帝国に帰っているんだろうな。」

と、ゼリーが告白した秘密の話を思い出しながら言う。

「チョッコさんは『北の森』の主に会ったことはあるのかな?」

とヘルメスが尋ねるが、ゼリーは、

「いいや、当時、子供は危ないからダメだとか言われて会ってはおらん。」

「でも、ヨル君を見ても森の主が危ないとは思えないんだけど?」

とヘルメスが言う。

確かに、その姿形、立ち居振る舞いから見ても、絶対に会わせてはいけないという程危険な生き物とは到底思えない。


「多分、それだから余計に会わせたくなかったんじゃないかな。」

蔵光がそう言うとヘルメスも、

「どうして?安全だったらいいんじゃないのかな?」

と言う。

「森の魔女は森の中にいて、危険な冒険者等を四獣に会わせないようにしていたとか…、確か、アズマンは四人の魔女に『四獣』が住む森の管理をさせて、良からぬ考えを持った人間を『四獣』に接触させないようにしたとかってセブレインさんが言ってたから。」

「ああ、なるほど、例え子供でもチョッコが、外に出たときに『四獣』がヨルのような余り、人慣れしていない子供みたいな存在であるということを、うっかり誰かに話してしまえば、それを悪意のある者が知ると、上手いことして、その力を利用しようとする者が現れる可能性があると思って、あえて近付けなかったと?」

「おそらくな。今から考えたら、そうやと思うわ。」

とゼリーもその考えには頷いて肯定の姿勢を見せる。

「とにかく、どちらにしても『四獣』に会って古文書の鍵を入手して、錠前を開けないといけないからなあ。さっきのようなユニーク個体の魔物にだけは会いたくないが、魔物の王は森の中をいかなければ会えないだろうし…」

とヘルメスがぶつぶつ言う。


何だかんだと言いながらも、結局、次の『四獣』の一体である、北の玄武にあたる『タラスク』という魔物の王に会いに行く事になった。

この『四獣』の名前はヨルが教えてくれたので直ぐに判明したが、やはり、ここにも『空中迷宮』の魔法が掛けられていた。


トンキの操縦でやって来たのは北の森の中央南側付近である。


森の入口近くにドラグナーを停める。

当然ながら今回も強者チームが船を降りていく。

森の入口前に着くと、そこは少し開けた場所であり、森の入口には大きな金属製の門扉が取り付けられていた。

四つの森には必ず入口というものが存在し、ちゃんと入口から入れば、必ず元の場所に戻る事が出来るようになっている。

だが、入口から入らなければ、二度と同じ場所には帰ってくることは出来ない。

それが『空中迷宮』であり、それでもその禁を犯して別の場所から入った者が、唯一帰ることが出来るのは、森の中にある『帝国の入口』の扉の前まで到達出来た者だけらしいとの古文書情報なのだが、強力な魔物が跋扈する森の中でそれが出来る者は先ずはいない。

昔、『四つの森』のことを甘く見ていた冒険者の一人が森の入口以外の場所から森に入り、二度と帰ってくる事は無かったということがあり、それ以降はそんな事をする者はいなくなって、皆、この森の入口から入るようになっていた。


「あら?昔はこんなん無かったんやけどなあ。」

とゼリーが門扉を見ながら言うと、蔵光も、

「ここの扉、結界が張ってある。」

とその門扉を触る。

(はじ)かれる事は無かったが、門扉は結界で封印されているため開かない様になっていた。

「しゃーないな。」

と言いながらゼリーは『結界透過』の呪文を唱えた。1-18

全員に魔法が掛けられる。

これはチョッコがマグローシャから教えられた呪文であり、大抵の結界は通り抜けることが可能である。


この呪文は結界に何ら影響を与えず、また結界を張った術者に感知すらさせずに通過することができる優れものである。


「よし、入ろう。」


蔵光達は入口の門扉に手を触れようとしたが、それは触れることもなく、手の指先から手、前腕、上腕部の順番で、まるでそれが幻影のように、実体を(とど)める事なく、滑り込むように飲み込んでいく。


こうして、全員が『北の森』の中に入って行った。

マ「うちの『べれり庵』にもクックゴーレムがいるんだけど、結構、料理は人気だよ。」

(о´∀`о)

ヴ「確かに、『すき焼き』とかいうやつ、すっごく美味しかった!」

(*>∇<)ノ

ト「そういえば、『松茸ご飯』とか言うやつ、すっげーいい匂いして、美味かったなあ。」

ヾ(´▽`*)ゝ

ヴ「なんでも、ゼリーちゃん師匠が言うには『和』の料理って言うらしいよ。」( ̄^ ̄)


和食はいいよねー。( =^ω^)

ではまたね(´・ω・`)/~~

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