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お願い女神様!!  作者: 女神監視委員会
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……できないみたいです

「えっと、自分の未練が何なのか分からない?」


一瞬女神の笑顔が引きつったように見えたのは気のせいか。


「えっと、はい。」


「おかしいわね。こんな……」


ん? 何か言ったか?


「あの、そう言えば俺なんで死んだんですかね? いつも通り学校へ行こうと家を出たところまでは覚えているんですけど…。」


「そ、そうでしたわね。 まだ言ってなかったかしら。しかし貴方の記憶はハッキリしているようですよ。」


なぜか俺はこの女神の口調がどうもわざとらしく思えて仕方がなかった。

まぁ、どうでもいいいけど。


「貴方は家を出たその瞬間にトラックにはねられ、ほぼ即死だったようですよ?」


「おおぅ……。」


これは逆に即死で良かったと感謝しておこう。

死に際の記憶なんて怖すぎてたまらん、俺の精神は繊細なんだ。


「あの、えっと……ちょっとお持ち頂いてもよろしいでしょうか?」


「え、あ、あぁ。 大丈夫です。」


「ただしちょっとお願いがありましてー、私が いい と言うまで耳を塞いでおいていただきたいのです。」


女神は手を合わせ、俺の顔をのぞき込む。


「も、もちろんです。分かりました。」


「絶対ですよ! 聞いたら死にますから!」


「し、死ぬ!?」


俺は慌てて耳を塞いだ。

すると、女神はニコリと笑って後ろを向いてしまった。


………何してるんだろう。

いや、つか俺が何してるんだろう。

よく考えたら俺もう死んでるじゃん。

なんだ、嘘か? だったらちょっと聞いてみても……いや、止めておこう。

憧れの異世界転生を目の前にして今更悪さするものではないな。

地獄へ行けなんて言われたらどうしようもない。

俺は指示通りに固く耳を塞ぎ、女神の背中を見守った。



(俺、耳塞いでます。)



「よし、あの生意気なガキにはちょっと耳を塞いでもらって……っと。

はぁーあ、あいつと話すのも久しぶりだなぁー。」


ほんと、どう言うことなんだろ。未練がないのならなぜココきたのかしら。

まぁいいわ、聞いてみよう。


「ねぇ、聞こえてるんでしょ? 返事しなさい!」


以前会話したのは100年ほど前だったかな。


「……ふぁーあ、まったくなんですの? こんな時間に、日本時間で10時ですよ?

もう寝ないと。」


どこからか聞こえてくるこの声。

いったいどこから話しかけてくるんだろう。


「早すぎよ。せめて11時ぐらいにしときなさい。

いや、そうじゃないの。 いま来てる子のことなんだけど、未練が分からないっていうの。 どういうことなの?」


「未練が分からない? 事故のショックで記憶が混乱しているんでしょうか。」


「いえ、記憶はあるみたいなの。割とハッキリね。」


「なるほどねぇー。私も初めてだわ、そんなこと。」


「ねぇ、どうするのよこの子。悪霊になることはないでしょうけど、未練を断ち切らないとどこへも行けないわよ?」


「そうね、じゃあ明日起きたら上へ相談してみるわね。 それじゃあおやすみ。」


「ちょちょちょ! だからこの子どうすんのよ!」


「解決するまでそっちで預かってちょーだい。ん、じゃあおやすみ。」


「お、おお待て! ココには次の死者がやってくるのよ?!?」


「だから? どーせ10、20の赤ちゃんなんでしょ? なんとかなるって。」


えええ、そんなこと言ったって。どーすれば!?


「まぁ、そのうち思い出せるでしょ。じゃあね、今度こそおやすみ。」


「あ! こら、待て!」


くそ、逃げられたか。

……私の《想像力》が無いの知ってて。

ったく。


あーあー、律儀に耳塞いでるよ。

もうやめだ、やめ!

女神は女神らしくだ? それ聞いたの700年ぐらい前だぞ。

取り繕うのはもういい。

猫かぶってるみたいで気持ち悪い…。



(俺、約束守って耳塞いでます。)



「ちょっと、耳あけていいわよ。」


近づいてきた女神が何か言ったようだ。

もう、いいのか。


「それで、えっと、転生できるんですかね。」


「残念ね、あんたはしばらくここで暮らすのよ。」


耳にほんわかと血が巡るのを感じつつ、女神を見つめる。


「……はっ?」


「あんたは現世に戻れば悪霊と化すわ。でもあんたは現世の未練を断ち切らないといけないのに、それが分からない。だから、しばらくココにいるしかないのよ。」


「………………誰ですか?」


「女神よ! 目はずっと開いてたでしょう!」


えっと、あれ?

さっきの優しくて穏やかな女神様はどこへ行ってしまったのか。

しかし、目の前にいるのは誰ですか、なんですか、こんな喋り方の人知りません。


「な、なに見てんのよ。」


やめて下さい、そんな蔑んだ目で見下ろさないで。

さっきの女神のような包容力のある美しい眼差しは何だったんでしょう。

俺は思わず顔を手で覆う。


「はああぁぁぁぁぁぁ……………。」


「ああああぁぁぁぁ!! 失礼なぁぁぁぁぁ!!

なによ、そのため息はぁぁぁ!?」


お願いです女神様! (……お前じゃねえ、俺が最初に会った優しい方の女神だ。)

次は幸せな人生を。

あわよくば、異世界への転生を!!

さっそくのブックマーク、感想ありがとうございます!

女神が変わりすぎて誤解があるようなので追加で説明します。


今のところ登場人物は『俺』『女神』『天の声(仮)』です。

女神の口調の変化は素の姿だと思ってください。


気になる点はズバッと言ってもらえれば、できる限り改善しますので、よろしくお願いします!

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