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第7話 カーチェイス

彼女は、幸男の得意料理を注文してなぜか楽しみ待った。


ユキオには言ってないから…。

ま、客席は覗かないでしょ。


お…来た来た。これこれ。


ん…。うん…うん…。


ん??


ユキオの…味と…ちょっと違う…。


彼女は、二口ほど食べてナイフとフォークを置いた。

そしてナプキンで口を拭いて、ウェイターを呼んだ。


「すいません。シェフ呼んで頂けます?」


「あ、はい」


いくらなんでもフヌケになりすぎ…。

あの味が食べたくて来たのに…。

ちょっと叱ってやらないと。客として。


しばらく待つと…


「どうも。いかがでしたか?シェフの笹井です。」


顔を上げると幸男ではなかった。全然違う男…。

彼女は驚いたが、平静を装って


「あ…。大変おいしかったです。」

「そうでしたか。よかった。今日の羊肉は…」


と、話そうとするシェフをさえぎって


「あ…いえ…あの…青田さんは…?」

「あ、青田ですか?本日出勤していたはずなんですが…急に姿が見えなくなりまして…」

「え?」

「普段、サボるなんてしないんですがね。今日はなぜか…。」

「あ、そうなんですか…。」

「で、ソースなんですが…」


「いえ…もう結構。」


と言って、バッグをとって立ち上がった。


「え?」

「ごちそうさまでした。」


彼の説明も聞かず席を立ち、勘定をすませ、路地裏に入り、携帯をとる。


どういうことなのかしら?ちょっと…かけてみよう…。


………


………


………


でない…。


「オラ!さっさと乗りやがれ!」


ん?なんの声?


覗いてみると、ハイエースに…連れ込まれる、ガムテープで縛られた幸男の姿。


はい!?

ちょっと待ってよ!


走り去る、ハイエース!


え?え?え?


ジムに行くから、スポーツタイプの靴で良かった!


走る、弓美。

しかし、車に叶うはずがない。


ダメだ。タクシーもいないし…どうしたら…?


そこに、軽自動車が止まり、窓が開いた。

「あれ?弓美さん?どうしたの?」

「お!カズちゃん!いいところに漫画みたい!」


友人の和斗の車に乗り込む弓美。

助手席にはチャイルドシートが設置されていたが、強引に引きはがし後部席に投げやった。


「え?そんな乱暴にケイトのチャイルドシート後ろに放り投げないでよ…。」

「カズちゃん。いいから、前の車追って!」

「追ってって、もう、ずいぶん離れちゃったよ?」

「早く!」

「ハイハイ…。」


彼女を乗せて、走り出す和斗の車。


「ちょっと何事?早く帰ってケイちゃんとケイトの顔見たいんだけど…。」

「いいから行け!!」


「(男の声だ。ヤバ。)了解。」


アクセルべた踏みでハイエースを追う、和斗の軽自動車。


「全然追いつかないよ…。」

「いいよ!見失わなければ!」

「訳を…訳を聞かせてよ…。」

「道中!」


ハイエースを追いながら、車の中で説明する弓美。

ハイエースは港の中に入って行く。


「えーーーー!!危ない匂いがプンプンする~!」

「オラ!黙って!ハイエース、次曲がったら、こっちの車のライト消して追うのよ!」

「ハイハーイ!」


自分のライトを消して、気付かれないように追跡。


ハイエースは、倉庫の前で乗り捨ててあった。


「ここね。カズちゃんはここで待ってて。」

「はい。まだ子供小さいので、危ないのは遠慮したいです…。」

「うん。大丈夫。でもちょっと待ってて。」



車から降りて、倉庫の入り口を探す弓美。


あ…ここ??


一呼吸し、扉を静かにあけると、中には、縛られた老人と幸男の姿。

周りには十人ほどの暴力団員。


「オヤジさん…。」


ん?一番偉そうな人が、老人に話しかけてる…。


「麻薬やっちゃだめなんて、どうやって資金かせぐんですか?こういう時代なんですよ?まぁ…もうじき聞こえなくなっちゃうかもしれないけど…。」


あ…あのおじいちゃん、父ちゃんの店にも来たことある…。

侠栄組の前の組長だ。


「さて、このお兄ちゃんも一緒に海に放り込んでやるか。聞かなくても良いこと聞きやがって…。」

「殺すなら殺せ!思い残すことなんか…ない…!」

「オイ!望み通りにしてやれ!」


「ハイ!」


言われたチンピラは、縛られた幸男の体に触れた。


「ん?…組長…コイツ…女ですぜ?」

「なに?ほー男の格好をした…女…。」


「オレは男だ!!」


「こりゃいい。マリオに売り渡そう。向こうの国にはこういうのも売れるだろう!」


焦る、幸男。

その時、キュッキュッと床の音が響く。


全員がそちらに目をやった。

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