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第6話 ジレンマ

それから…幾日かたった。

弓美は会ってくれない…。

電話にはでてくれるが…。

明らかにすぐ切りたそうな雰囲気。


…ダメ…なのかな…。


自室のベッドで天井を見ながら考えていた。

そこには、幸男の妹もいた。机のイスに腰を下ろして幸男を見つめていた。


「ふーん…。じゃ、アレだ。今までとおんなじだ。」

「いや、違う…!ユミはそんな女じゃない!きっと…」

「きっと…なに?」


「…黙ってたから…心の整理がついてないんだと…思う…。」

「…そうだね…きっと…。」


と言って、フゥと息を細く出した。

呆れているわけではない。なんとか兄と同じ気持ちになってやりたいのだ。

一緒に信じてやりたい。

ただ、無理であろうという気持ちが彼女に自然に息を出させてしまったのだ。


「うん…たぶん…。」


幸男はそのまま目を閉じて次第にまどろみに溶けて行った。

不都合なことを眠って忘れようと体がそうさせたのかもしれない…。



一方、弓美の部屋…

彼女も同じくベッドの上で天井をみつめていた。


最近、仕事も休んでる。

やっぱショックだよ…。

ユキオが女だったなんて…。


…でも…あたしも…一緒か…。


最高の男だと思ってたんだけどなぁ…。

あたしを好きになってくれて…

あたしも好きで…


でも、女とオンナで…。

男とオトコで…。


あーあ…なんなんだろ…

なにがダメなの?整理がつかない…。


ユキオしかいないという気持ちと…

それを思うと、テンションが下がる気持ち…。


ユキオはあたしにキチンと打ち明けてくれたのに…。

受け入れられない罪悪感…。


モヤモヤ…クヨクヨ…サメザメ…


数日くさってもなんの解決にもならない。

失恋とも違う…。

なんの気持ち?

どうにもならない気持ち…。


…あ…


今日…ジムの日だ…。


ちょっと体動かせば…

ストレス解消になるかな…??



その頃幸男は、仕事場に来ていた。

今日はディナー番だ。

ただ一心不乱に料理を作る。

しかし、少しだけの合間が弓美のことを思い出させるのだ。

厨房からでて、スマホを見て見る。だが…


ユミから連絡なし!


あは…。もう…ダメかも…。

最高の女性だったのになぁ…。


ユミと北海道…行きたかった…。

一緒に暮らしたかった…。

こんなだから…結婚とかはあきらめてたけど…。

一生をともに暮らせる人と一緒になりたかった…。


どうして…小さな幸せすらつかめないんだろう…。




くそっ


ここも…辞めよう…。


別な街で…ユミを忘れて…

別なレストランに行こう…。



休憩時間にオーナーの部屋の前に立つ幸男。


ん?中から、話し声が…オーナーだけじゃないのか…?

出直すか…。


偶然、部屋の中の話し声が聞こえた。


「今回も、チーズの輸入にまぎれさせて麻薬を入れられましたな。」

「さすが、侠栄組さん。うまくさばいてくださいね。」

「君が、マフィアのマリオさんとつながりがあったからだ。これからもよろしく頼む。」


え?え?侠栄組?イタリアンマフィア??


麻薬??

この店で??

まずい!ここにいたら!!


グイっと肩を掴まれ、驚いて振り返ると


「ん?あんた何やってんの?」


う!チンピラが…。


ガラの悪い男にムリヤリ部屋の中に入れられてしまった。


「組長。部屋の外で、こんな奴が立ち聞きしてましたぜ?」

「なに?警察??」

「いや、ウチの店の青田です。うーん。青田君、まずいところにいたね~。」

「ちょうどいい。今日の取引先に連れて行こう。もう一人始末しなくちゃいけないのがいるからな。」


幸男は驚いて逃げようとするが、掴まれてガムテープで体をグルグル巻きにされ、口にも貼り付けられてしまった。


そのころ、弓美はジムからの帰り道だった。


はぁー!良い汗書いた!

ストレス発散と…。


ん…。おなかすいたかな…?


あ…そういえば…ホルマジオ…この近くだな…。


ちょっと食べてくか…。ユキオ出てるよなぁ…。

シフト覚えちゃってるし…。ふふ…。


うん。料理には罪ないし…。

ユキオの味も食べたいしね。寄って行こう。


弓美は彫磨汐ホルマジオのドアを開けた。

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