97『性別的には正しい使い方ですよね?』
【ビッグボア】【アルラウネ】【ワーム】【スライム】、か・・。
【ワーム】は下手に切り分けて運ぶ事も出来ず、一匹丸毎を苦労して運んだそうだ。
( むしろ森を整備したのは殆んど【ワーム】の為と言っても過言じゃないはず。)
【ビッグボア】はもっと森の奥、あえて行く必用のない場所がテリトリー。
「って訳で、【スライム】んトコに行こうか」
「うんっ!」
「うむ」
「ええ」
「「「「はい」」」」
・・正直あまり気乗りしないけどな。
◆◆◆
【スライム】プールに到着。
・・うーん、最後に見た時の半分無いぐらいかなあ。
≪・・オ・・ァ・アア・・・≫
「あれっ?
今、御姉様に反応しませんでしたか?」
「気のせいじゃない?」
時期的にも残っている量的にも、な。
まあ、そんな事はとてつもなくドーデモイイ。
たぶんコレ、活動期・・と、いうか・・記憶の奥底からナニヤラ訴えかける『今は止めとけ』感が半端無い。
「・・近よりたくねー・・」
「まあねぇ、【スライム】は女性はねぇ・・オホホ・・・♡」
「「「???」」」
とにかく、普通【スライム】は柄杓みたいなんで、ひたすら掬うしかないらしい。
取敢ず【スライム】プールの淵ごと土魔法で持ち上げ───られない?
「うーん・・確かに土魔法は炎よか苦手だしデカイけど、持ち上げられないって程じゃないしなあ?」
「・・お、御姉様の【魔力吸収】って【スライム】がオリジナルです・・よね?」
「あー・・なるほど、そういう使い方も有りそうか」
周囲の土を操作しようと魔力を込めた瞬間、その魔力を吸われる訳ね。
「一応、【魔力譲渡】でコイツ等を満足させられるけど・・」
「・・何だかコイツに御姉様の魔力を食わせるの・・嫌ですわ」
「俺も正直ヤだ。
───けど、しゃーない・・皆を危険に晒すわけにはいかん」
てな訳で【魔力譲渡】・・っていうか【ワーム】にやった、魔力汚染を考えず、 ( コレで魔力汚染されるなら以前プールに落ちた時の魔力送出は、もっと汚染されているハズ。) むやみやたらに魔力を送り【スライム】を鎮静化させる。
後は柄杓でひたすら掬う。
・・けど、コレ女の子の作業じゃないな。
地味にチカラ作業だ。
颯太と源太ちゃん以外 ( 言うまでも無く俺も ) 腕力自慢だった女生徒でさえあまり役にたってない。
「コレ・・俺達は哨戒・護衛に徹底して、掬うのは男連中に頼んだ方が効率良いかも」
「そうねぇ」
「じゃあ、僕達が運んだら言ってくるよ」
「有難う、頼むよ。
颯太、源太ちゃん」
「うむ」
約一時間後、颯太と源太ちゃんが素材回収班を10人程連れてきた。
魔力による身体強化に ( リャター夫人のスピードや颯太と源太ちゃんのパワーと比べて ) 頼らない、いわゆる、マッチョと呼ばれる方々。
「ウホッ! いい男♡」
物凄い小声なのに何か聞こえた。
ウエスト傭兵団のイケメン組に反応しなかった娘達だな。
・・まあ良いけど。
「えっ!?
たったの一掬いで、そんなに掬えるんですか!?
すごーい♡」
「お、おう!
見てな、こんなモンじゃねぇぜ!?」
・・傭兵は男社会なうえ、命を奪うこともある所以に、男尊女卑も手伝い特に女性から忌避されやすい。
( 女学園の女生徒も出会った当初は傭兵=野蛮人と思ってたし。)
なんで、こんなハッキリチヤホヤされるのは少ないらしいな。
男達は頑張って【スライム】を掻き出し、女生徒達は頑張って応援と警護で二日後にはプールが空ッポになった。
◆◆◆
「次は【アルラウネ】だね!?」
颯太が目をキラキラ輝せて行動指針を示す。
・・ああー、来たなあ・・来ちゃった。
「幹太、ちょっと来い」
源太ちゃんが呼ぶ・・けど、なんだ?
ちょい怖い感じ───
怒ってる?
「御主・・自分のその腕ぇ治すんを、躊躇っとらんか?」
「うっ」
「あらあら~やっぱり?」
「・・御姉様」
颯太以外みんな睨むか見詰めてくる。
あれ?
バレてるっぽい?
「そん腕になる事情はディッポ殿から聞いたがの。
自分を罰っしとるつもりか知らんが・・意味無いぞ」
「ソウタさんを危険に晒したとか思っているんでしょうけど・・違うわよ?」
「いや・・その・・吸着魔法が便利で・・」
「幹太?」
「カンタさん?」
「御姉様?」
「カンタ先生?」
「な、ナニ? 幹太姉ちゃん何かしたの?」
うー・・あー・・・。




