91『食中毒は時間が経って発症するモノも有りますので御注意下さい。』
「さあ皆さん!
【ケルピー】を食べたいかー!?」
「おおーっ!」
「お風呂に入りたいかー!?」
「おおーっ!」
・・ナニこのノリ。
確かに【ケルピー】は旨かったし、俺達が居る間は何かとお風呂を含め、麗水は頼まれた。
今や皆も温水のお風呂好きだ。
楽しみなのは解るけどさ。
次は俺が運動場の校長が立つ例のアレに上がらされ、演説する事になる。
「颯太のチ───
【ケルピー】型巨石の訓練は覚えてる?」
「はいっ!」
「颯太のチ、とは何じゃ?」
「・・俺の模擬津波訓練は覚えてる?」
「覚えてますっ!」
「颯太のチ、とは何じゃ?」
「・・・【デロスファフニール】よか攻撃の種類もパターンも多いけど、今の君たちなら落ち着いていけば大丈夫!」
「・・チワワ? ・・チクワ?」
◆◆◆
以前、【ケルピー】が居た湖に到着。
水を操作する感じで湖に魔力を巡らせてゆく。
・・うん、いるいる。
「颯太ーァ、源太ちゃーん?」
「大丈夫だよ!」「うむ」
女生徒達を挟むように颯太と源太ちゃんを配置する。
万が一の時は瞬時にフォローを入れられるよう。
適当な一匹に水で軽くチョッカイをかけると・・陸の俺達人間に気付いたみたいでユラリユラリと近づいてきた。
慌てて女生徒達の後ろ、小高い丘まで超速歩魔法まで下がる。
勿論、俺も偉そうに命令するだけじゃなく既に操作型火球を天に地に展開してある。
「後は俺達は君たちのピンチ以外、手助けも助言もしないから!」
「はいっ!!」
そして【ケルピー】が大量の水飛沫を上げて俺達の目の前に現れた・・。
◆◆◆
「鯉洗いいぃぃぃぃっ!!」
「・・ほら、カンタ先生の御家族だから素材の味重視の───」
まな板上の【ケルピー】を見た源太ちゃんが、魚部分が鯉だと知ってちょいブッ壊れた。
・・まあ、分かるっちゃあ分かるけど。
「あ・・でも、コッチの『マリネ』の方は想像より生臭さがなくて・・美味しいですわ」
最近研究している寄生虫限定の探査魔法 ( 仕組みそのものはさっき湖を探査した魔法に近い。) で、ついに実現した生食。
毒や菌は未だ判別不能という事を強く念押して ( 「なら儂が毒見してやるわいっ!」と、やや血走った目で責められた ) 実食する。
───旨えぇえ・・。
暫くして源太ちゃんと顔を見合せて・・「・・・良し!」という言葉にザレが自分も食べたいと言ってきた。
流石に日本人以外は刺身鯉洗いは厳しいかな、と、香草のマリネを用意すると六人がおそるおそる食べてくれた。
・・美味しいと言ってくれたのは二人だけだけどね。
( 魔法使いに御世辞は通用はしないから。)
「・・えー軽傷とはいえ怪我人は出たけど、俺達の補助無く【ケルピー】を倒せた皆はコレで本物の『対、村破級』です。
外で何らかのイサカイが在っても、女だからって下を向くことなく大手を振って歩けます!
───乾杯!!」
「「「乾杯!!」」」
ちょっと泣いてたのは内緒だ。
( バレてた。)




