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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
ディッポファミリー傭兵団
9/547

9『昔のアニメは、声と口の動きが合ってなくてねぇ。』

 

「───う、ううん・・?」




んー・・?


何時の間にか気絶していたのか・・?

目覚めると、颯太と・・他に何人かが俺を覗きこんでいた。




「あっ!? 目が覚めた!?

大丈・・・僕・・ゴメ・・油断・・・うわああーんっ!!!」




秋原家の自室でもなければ、道場でもない青空の下。

うーん、本日二度目の気絶かあ。

全身の倦怠感が酷い。




「・・まあ俺も殆んど颯太に守ってもらってばっかで、戦えてないし・・次は、大丈夫だろ?」


「・・・・うん」


「おーう、美しい姉妹愛だな。

ガッハッハッ!」




頭だけを動かし、声のした方を見ると・・さっきの戦闘で指揮をしていた、60歳位の爺さん。


後は、3~40歳位のオッサンが四人。

大学生ぐらいのが五人。

俺を助けてくれた、中学生ぐらいのが一人。

( 日本人じゃないんで多分、だけど。)


爺さんは盗賊系、中学生は可愛い系の顔だけど・・何となく全員似ているし、祖父・父・子の家族っぽい。


そういや、彼等の喋る内容とクチの動きがなんか違うのに言葉が通じてる。

・・翻訳チートかな?




「だがよぅ御姉チャン・・。

その腕は感心しねぇな」




言われて思い出す。

・・そうか───俺は自分の魔法で、腕を火傷したんだっけ。

痛みがまったく無いから、忘れていた。


再び頭だけを動かし、掛けられた毛布の上に出された両腕を確認すると・・肘までは大きな怪我など無し。

肘から先は───

両腕が包帯でグルグル巻きだ。


ただ、腕にしては・・細く短い。

手は完全に。

残りも一部骨まで炭化していて、削り取ったら・・辛うじて『腕の原形』が残るのみとなったらしい。

───神経の感覚は・・無い。


・・そして変わり果てた自らの腕を見ても・・特に感慨は、無い。

自分の身に起こった事が信じられない・・とかじゃなく、冷静に受け止めている。


なんだろな、コレ?




「御嬢チャンを護る為っぽいから、責める気はねェが・・」


「・・すみません。

颯太の事になると・・つい」


「まァ、魔法使い共は飯食って薬塗っときゃあ大概の怪我が治るらしいけどよ」




魔力の流れは『元の腕の形』で流れている。

無いハズの手や指を、魔力が象っているのだ。

この形で、再生されていくのかね?




「ど、どうも助けて頂き有難う御座いま───」


「わあ、胸!?」


「「「 オホッ♡ 」」」




何とか魔力を絞って身を起こし、礼を言おうとしたら毛布がはだけて・・おわっ!?

シャツの胸んトコが、破けているじゃんか!?


───あっ・・。

腕と一緒に、シャツの繊維もグズグズに焼けたトコロを・・あの中学生に安全な場所まで引きずられた時に・・!?


上着を着てなかったから・・。

うっわ、メチャクチャ恥ずかしいぃっ・・男なのに!


オッサン世代はイヤラしいニタつきで笑顔を浮かべ、若い 世代は顔を真っ赤にし、慌てて背ける。




「ガッハッハッ!

良いモン見して貰った礼だ、護衛代やら薬代やらはサービスしてやるぜ。

オウっ、仕入れ品の中に丁度いい服が有っただろ?

アレも御嬢サン方にくれてやれ!」



◆◆◆



颯太に支えられ、荷物用馬車で着替える事に。




「有難う、颯太」


「ううん」




家が武術をやってるんだ。

俺も颯太も両腕使えなくなった事は何度かあり、お互い介護をするのもされるのもソレなりに馴れている。


ココまで酷い怪我 ( と、魔力欠乏 ) は初めてだけど。


着替えようとして───

ふと魔力の流れから、節穴に気付いたんで・・足の指を突っ込む。


にゅ。




「うおっ!?」




と、馬車の向こうから。

外に出た指から極小のファイヤーをボボボと出すと、「 分かった、ゴメン! 」 と、謝ってきた。


アレ?

なんか・・俺、楽しいぞ?

 

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