85『打ち上げとかで初めて見る、チームメイトにこんなん居たの!? って時があります。』
【銀星王国】。
今、この国は未曾有の御祭り騒ぎとなっている。
暫く前に【連合】にて、
『ペリオラ傭兵団』が
たったの1800人で
『街破級【ニーズホッグ】』を倒した、というニュースを世界中が駆け巡った。
ところが、今度は
『リャター商会混成団』が、
たったの1000人で
『街破級【ファフニール】』を倒した・・というのだ。
【ファフニール】の残骸となった巨石を観光しに世界中から人が集まっていた。
◆◆◆
───あの時。
俺達が追い付いた時には全て終わっていた。
リャター夫人が核たるデロス ( の、記憶をコピーしたデロスの残骸 ) を、斬った・・らしい。
リャター夫人には子供は居ないそうだ。
何時も女学園の生徒と卒業生はみんな私の子供だと言っているが・・デロスはひょっとしたら───
馬鹿息子だったのかも。
・・で、「コレで女学園のみんなは『対、街破級』ね~!
少なくとも今の子達は不当な男尊女卑を受けなくてすむわ♡」
と言っているリャター夫人に、ザーロスが待ったを掛けた。
「いくら何でも成果が派手すぎる」と。
・・まあなあ、確かに【ケルピー】なら何時でもイケる程の実力と装備は身につけてきた。
伝承の【ファフニール】より小さかった ( =たぶん、弱かった )。
【デロスファフニール】が余りにも単純な行動パターンしかなかった。
魔力付与という魔法使い疑似増産戦法があった。
───でも総勢、実働部隊の40足らずってのは流石になあ・・。
「武具や医薬品等を用意した『リャター商会』と『白百合騎士団 ( リャター夫人が所属してたトコ ) 』も、サポーターとして頭数に入る。
後は私の黒薔薇騎士団も一応手伝ったので、つけよう」
ソレでも総勢700人前後、しかも実働部隊70人ってとこらしい。
「【デロスファフニール】が80mじゃなく30mぐらいだったって事にするとか?」
「その辺が落とし処か?
・・だがいずれ他の貴族にバレるしな・・」
って、会議をしてたらいろんな傭兵団が女学園へ来た。
◆◆◆
ディッポファミリー傭兵団にウェスト傭兵団・・黒い川や魔物の森の素材回収班その他───
あの街ほぼ全ての傭兵団だ。
黒薔薇騎士団の一人に【北の村】にて【モスマン】のマユを依頼してきた母娘にマユを届けて貰ったついでに援軍要請 ( ザーロスさんはコッチが本命 ) し、ソレを受けて来たそうだけど。
「『街破級』が出たって聞いた時ゃあ・・この世の終わりかと思ったが・・」
ディッポ団長が・・俺と目が合ったと思ったら、遠い目をする。
「中心に御姉チャン達っぽいのが居るって聞いた時ゃあ・・『あ~あ』としか無かったな」
「ちょっ・・何ですか。
いきなり褒められても・・♡」
「褒・め・て・ね・ぇ!」
ディッポ団長が俺の顔を見るなり、何時もの感じでくる。
あ~、やっぱこの人達と居ると落ち着くなあ。
「・・で、だ。
『街破級』退治要請で来て、肝心の『街破級』が居ねぇんだけどよ・・」
言ってジキアをチラリ見て、ジキアが無言で頷く。
ディッポ団長が溜め息をつく。
まだ、つく。
・・深くない?




