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75『トリートメントはしているか?』


『街破級』を倒すには3000人必要だと言われている。


けど、この数字は100年に一度しか出ない『街破級』を退治してきた人達の『数少ない歴史の、平均値』だろう。


全ての『街破級』が、3000人じゃないと倒せない訳じゃない。



◆◆◆



【デロスファフニール】一番の狙いはリャター夫人。

なので、夫人自ら囮を買ってでた。




「よしっ! 自ら射線軸に飛び込んできたぞ!!」


「超憤怒地殻割り!!」


「フジツボ斬り!!」




颯太の、とあるゲームからパクった岩盤にダメージを与える技と源太ちゃんの───

なんでフジツボ? ・・の、W必殺技。


【デロスファフニール】表面の岩盤を一撃で破壊する・・が、どうしても『80m対2m以下』だとダメージ範囲がピンポイント過ぎる。




「───放てえェ・・!」




『毒』で、連撃を放てない二人が下がったトコロにザーロスの魔力が付加された石弾を投石器で撃ち込む。




「おお、効いてる・・効いてるぞ・・!

素晴らしい!

この武器に魔力付加する技術は・・コレからの魔物狩りに革命をもたらす!」




颯太の石蹴りですらダメージを受けなかった【デロスファフニール】の表面に僅かだがヒビが入る。




「──・・ッス・・──」


「──・・ですわ・・──」




すかさず、ジキアとザレのバリスタ隊が追射、【デロスファフニール】に更なるキズを与える。


魔力付加は、疑似的に魔法使いを量産する技術とも言えるかもしれん。

全身に細かいキズが付いていく。


例えば、明確な弱点のある『街破級』なら。


例えば、完全な行動パターンがある『街破級』なら。


例えば、事前準備が万全なら。


全ての『街破級』が3000人じゃないと倒せない訳じゃない。




≪リ゛ャ タ ア゛ア゛アァー!!≫


「・・よしっ、バン───」


「待ちたまえ、君は『切り札』なのだ!

ココで魔力を使いきってどうする!!」




俺の魔力は残り少ない。

中途半端な攻撃を2・3発撃つより、渾身の一撃を初撃で撃とうとして・・ザーロスに止められた。


リャター夫人を囮にする目論見は成功し、継続して囮を続けてもらっている。

リャター夫人が居ない今、この場の最高権力者はザーロスだ。


ソレなりに戦争指揮経験もあるらしく、実際ココまで作戦はバッチリ嵌まっている。




「でも・・『街破級』相手に出し惜しみしたって・・!」


「駄目だ。 許可出来無い!

何時でもどんな事態にでも対応出来るようにしておきたまえ!」




最大威力よりも皆との連携に徹しろ、との事。


一理ある。


・・あるけど。

その『どんな事態にでも』は、人の軍隊を想定してないか?


相手は『街破級』だ。

持久戦じゃ絶対敵わない。




「『切り札』を使う時は更なる『切り札』を用意してからだ!」




・・なんか、ドコかの狐様みたいな事を言いだした。


『切り札』とか『奥の手』とか・・個人的には物語や普通の人間同士の戦争だけの話な気がする。


ス○シウム光線はいきなり撃て!

と、いつも思う。

切り札なんか一つしか無いんだ。




≪リ゛ャ タ ア゛ア゛アァー!!

ニ ケ゛ル゛ナ ア゛ア゛ァ゛ァァ!!!≫




【デロスファフニール】が四つん這いになったかと思うと【ファフニールベビー】を生み出した。




「見たまえ、こういう不測の事態に備えなければ!

さあ、あの広範囲魔法を!!」


「・・・フル・クラスターミサイル!」




ベビーは全滅。

【デロスファフニール】は、せっかく増やした手数をイキナリ消滅させられ呆気に取られている。


その隙に、『毒』の影響から立ち直った颯太と源太ちゃんが岩盤に再び穴を開け、二人が引いたら投石器とバリスタで時間稼ぎをする。


ダメージは蓄積していってる。

『人間の軍隊』3000人なら・・致命的なダメージ。


・・だけどコレで最大威力の魔法は撃てなくなった。




「ベビーは・・颯太や源太ちゃんも倒せるんだし、どっちかに任せるべきだったんじゃ・・」


「御互いが全体を見渡せる位置にいる事で出来るだけ不測の事態を減らす。

コレが洗練された騎士の戦いだ」




全ての『街破級』が3000人じゃないと倒せない訳じゃない。


───でも、『軍隊』と『街破級』は違う。

魔物は残りの『1』で、大逆転出来る術を持ちうる。


「ダメージは最大限与えれる時に与えるべき、ソレで駄目なら逃げりゃア良い」

というディッポ団長の言葉を思いだす。


───そして・・【デロスファフニール】から血のように、穴からヒビ割れから『泥』が流れ始めた。


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