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73『いかな魔物が横行する世界とはいえ、武器はともかく兵器は極一部の国立機関しか設置許可は下りません。』

どうしても書きたいトコまで書いたので、やや長めです。


【デロスファフニール】はニタニタしながら、たまに酷くクチを歪ませて笑い『悪意の毒』を振り撒きつつ・・真っ直ぐ女学園へと直進していた。


身長は80mちょい。

旧【ファフニール】より、一回り大きいか。


俺達は貴族の馬車に乗り、『毒』のやや範囲外を並走している。




「か、幹太・・姉ちゃん。

僕・・一番疲れてないから、走りながら石蹴りしてみる・・ね?」


「あ? あ、ああ・・・頼む・・。」


「わ、儂も───

・・あ、いや・・どうせ効かん。

治療をうけてからにしよう・・」




───実際、『街破級』に颯太の攻撃は・・ほぼ通用しなかった。



◆◆◆



女学園に到着し、みんなが迎えにきてくれた。

地響きがココまで来てたらしく、一塊で居たようだ。




「あらあらァ・・。

そんな事が在ったの・・」


「申し訳ない、リャター夫人。

愚兄デロスが、御迷惑を御掛けした。

当然、学園の修繕費に生徒達の引っ越し代と生活費は全て私が出そう」


「あら~、なんでかしら?」




場の皆の視線が、ポヤポヤしながらも底の見えない笑顔のリャター夫人に集中する。




「はっ?

あ、いや、愚兄の責任を弟である私が───」


「そうじゃ無くてえ。

出てもない被害の責任を取る必要無いでしょう?」


「・・あの?

仰る意味が───」


「あの『街破級【ファフニール】』、私達で倒しましょう♡

そうすれば私達、『対、村破級』を通り越して『対、街破級』よ♡」


「「「「はあああああァッッ!!?」」」




リャター夫人が、何時もの調子で微笑みながらブッこんできた。



◆◆◆



俺は魔力を。


颯太は比較的マシだけど、ココまで一人だけ走ってきたりの行ったり来たりを繰り返し、【ファフニールベビー】30匹以上を倒してソレなりに体力を消費している。


あの人は───

俺の炎魔法の中を突っ切った怪我がヒドイ。


再生魔法で血止め鎮痛は効いてるらしいけど、このレベルの怪我は初めてだそうで再生魔法と身体強化魔法を同時使用が出来無い ( 試したこと無い ) らしい。


俺達が治療や食事をしている間に、女生徒達が慌ただしくも準備を整える。


医薬品。

衣類や武具。

防護柵。

対【ケルピー】に用意したバリスタ。

あと、平衡錘投石機こうじょうへいき


コレ・・貴族に見せて大丈夫な奴か?

と思ってたら、ザーロスが後ろを向いて「あ~あ~」歌ってた。


チラリ、リャター夫人を見ると

「うふふ♡」と笑っている。




「あの・・逃げなくて大丈夫なんですか?」


「まあねえ」




微笑んでいたリャター夫人が、不意に悲しい顔をする。




「───デロスの事、もし・・騎士時代に教育出来ていたら・・こんな風には成らなかったでしょうねえ」


「・・ああ」


「それに・・きっと逃げられないわ。

デロスは『女学園』を追っているんじゃなくて『私』を追っているんだもの。

魔法使いじゃ無くても・・なんとなく分かるのよ」




最初はデロスもリャター夫人も魔法使いじゃ無いんで分かり辛かったが、【ファフニール】が近づくにつれて、リャター夫人と繋がった魔力のパスが見えてきた。




「・・生徒達が逃げないって言っているんだもの。

なら、逃げちゃダメよね♡」




そしてリャター夫人を通じて女生徒達とも繋がっている。


・・コレは何処に逃げようと追ってくるかなあ・・。


みんな・・割と素直に『街破級』と戦う決意をしたのは薄々、ソレに気付いているから・・なのか。


・・リャター夫人が、フと微笑み───




「私がデロスにして上げられる事はもう、ゆっくり眠りにつかせてあげる事だけだろうけど・・カンタさんは後悔しないようにね♡」




言って、準備する女生徒達の方へ行くリャター夫人。


───逃げちゃダメ・・かあ。



◆◆◆



「【ファフニール】、見えて来ました!」




たっぷり食って、仮眠をとって。

ほんのちょっととはいえ、魔力が回復している。

樹脂油は両腕両足の水筒は勿論、予備を俺よりデカイ樽で用意されていた。


颯太は、ほぼほぼ全快だそう。

・・そして。




「───うむ。

『エリ草』っちゅう奴は凄いのう」




学園秘蔵の『エリ草』で、あの人は完治していた。




「───そ、ソレじゃあ行こうか・・の」


「う、うん・・はい」




・・ぎこちない。

こんなんじゃ勝てるモンも勝てない。




「ああ~~、もう・・ッ!

『逃げちゃダメ』かあ・・・!!」




突然叫ぶ俺に、颯太はビックリ顔。

他のみんなも。


俺は颯太の下へ歩みより頭をポンポンと叩き、颯太は俺の服をキュッと摘まんできた。




「スウッ・・───

俺はっ! 秋原 幹太、16歳っ!

・・日本人ですっ!!」




突然始まった俺の自己紹介にポカンとするみんな。

意図を掴んだのか、流れ的に自分の番と思ったのか、




「あ・・秋原 颯太、9歳日本人です!」




ジキアが一瞬、えっ!? 自分の番!? とキョドって───




「あ~・・秋原 源太、歳は・・乙女の秘密で日本人じゃ」


「「「・・・・はい?」」」




場の皆の目が点になる。

・・なるよなあ。


爺ちゃんが泣いてる。

颯太も。

多分・・俺も。




「幹太と颯太・・なんじゃ、な?」


「ああ、幹太だよ・・爺───

婆・・えー・・・げ、源太 ( 爺 ) ちゃん?」


「あはは♡

流石に姉ちゃんって歳じゃ無ゥィニニニニニニニニニニニニニッッ!!?

ごめんなひゃぁい~!?」


「お、御姉様・・? ソウタ様・・?」


「し、知り合い・・ッスか?」


「ああ・・家族だ!」


「うん!」


「ゲンタさん?」


「まあ・・そうゆう事じゃな」




───・・ふう。


取敢ず、今はコレで良い。

後は【デロスファフニール】に集中するだけだ。


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