72『暴走しやすい人間ほどイザという時、もの凄い小心者になります。』
≪コ"ォ・・コ"ァ"ア ア"ア・・・!!!!≫
山全体に響く咆哮。
恐怖の顕現。
暴虐の悪夢。
意思持つ天災。
───『街破級【ファフニール】』。
・・分かってる、分かってるよ?
今、トンでもない事態だって。
チートでも勝てる見込みの無い敵だ。
恐ろしいさ。
・・でも───
「───【スライム】という魔物も、捕食した獲物を最終的に【スライム】にするが・・まさか【ベビー】の役割が取り込んだ人間を核に新たなる【ファフニール】へと───」
絶望の表情を浮かべるジキアとザレと貴族ザーロス。
「───そ、ソレでね?
デロスを食べた【ベビー】の泥が天井の穴に入っていってね───」
「あー・・【ファフニール】ね、【ファフニール】。
うん、いや~大変だなァ。
・・ところで、騎士達は【モスマン】のマユをちゃんと『北の村』の母娘んトコへ届けてくれるかなあ!?」
「う、うん! そーだねー!
間に合うと良いねー!?」
「───・・あー・・ごほん」
しかし自分達の雰囲気とは明らかに違う俺達の様子に、三人は戸惑っている。
「カンタさん?
ソウタちゃん?
どうかしたッスか・・?」
「・・・・」「・・・・」「・・・・」
「・・ぅあの・・・っ!?」
「なんっ!?
なんじゃねっ!?」
「・・い、いえ───」
貴族ザーロスと一緒にいた女性と俺。
御互いが御互いをチラチラ見るだけで終わってる。
多分向こうも、相手の状況を知りたがっている筈。
だけど。
だけどもし・・予想と違っていたら?
・・ずっと・・ずっとずっと、会いたかった家族なんだぞ?
なのに、源太爺ちゃんじゃなかったら───
・・ソレは【ファフニール】より恐い。
◆◆◆
≪コ"ァ"ア ア ア"ァ"ァ ・・・!!!!≫
山が割れる。
古い【ファフニール】が割れる。
天と地の全てを埋めるかのような巨人が立ち上がる。
≪ォ・・オ"・・・オ"ン ナ ァ"ァ"・・?
───リ"ッ・・、
リ"ャ タ"ァ"ァ"ァ"ッ ッ!!!≫
「───ん・・?
今、何つった・・?」
「お、御姉様?
アイツ・・女学園の方角へ向かっていませんか・・!?」
「えっ!?」
「む・・デロスの執着がリャター夫人に有るとしたら───
・・可能性は高い」
確かに、【デロスファフニール】は俺達を一瞬見た。
目が合った。
でも・・奴は興味無さげに無視した。
しばらくキョロキョロし、女学園の在る方角に向くと・・『ニタアァ』と、笑い───
悪意が爆発する。
「「「「ぐうぅ・・!?」」」」
かなり気持ち悪い。
「ザレ、確か伝承だと【ファフニール】は『欲深い人間が変身』して『毒を吐く』んだったよな?」
「は・・はい、御姉様。
そう習いましたわ!
この気持ち悪いのがそうなのでしょうか・・!?」
「分からないけど、みんな消耗がヒドイ。
幸い【ファフニール】の歩きはメチャクチャ遅いし、女学園に先回ろう!!」




