70『絶対に描写しませんが、某探検映画のテーマ曲を口ずさんでいます。』
「スぅ───
ちょっっとォォォォ!!
待っっってよォォォォォっ!!!」
・・聞こえてないかー。
あの女の人、僕より速いなあ。
あっという間に走っていったよ。
取敢ず拾った石を投げつけたケド、無視されちゃった。
幹太姉ちゃんの、あの炎だともう御仕舞いかなー。
「御嬢さァーん!」
「あ、ザーロスさん。
駄目だ、追い付け無いよ」
「・・仕様が無い。
ソレより、あの人と互角に闘う貴女を見込んで付いてきて欲しい場所があるのだ」
◆◆◆
「───そうか、ソウタさんも【ファフニール】を見たか。
此の山に【ファフニール】が埋まっている事は他言無用に頼む。
本来、高位貴族だけの機密ゆえ」
「うん、分かった」
目を覚まして、ロープでぐるぐる巻きにされたデロスや一部の騎士が【ファフニール】って聞いて息を呑んでるよ。
デロスは今や目を離す事が出来ない大罪人だから、他の騎士さんはお手伝いとして・・仕方ないって言いながらザーロスさんが連れてきたんだ。
今、僕達は【ファフニール】が居た山に繋がるっていう洞窟にいる。
「探検家みたいだねー。
終わったら幹太姉ちゃんも連れて来て良い?」
「貴女方が我家にきてくれるなら」
「じゃあイイや。
貴族の命令聞いてたら旅とか出来なくなるし」
「私も父も、『対、村破級』を何時までも拘束する気は無いのだがな」
『対、村破級』は閉じ込めるより、自由にさせる方がいっぱい御仕事するんだって。
あくまで、幾つかの契約を交わすだけ。
よく分かんないから幹太姉ちゃんに早く会いたいな。
───って話をしてたら・・うわあ、なんか気持ち悪いトコにきた。
洞窟はずっと綺麗な道なんだケド、ココは大きな部屋の真ん中に泥が溜まっている。
臭い。
「もしかして・・ウン───」
「レディがクチに出すようなモノではないぞ。
・・【ファフニール】の一部だ」
「えっ?」
「【ファフニール】を見たのならば【モスマン】も見たと思うのだが」
「見た!
幹太姉ちゃんがマユに魔力をアゲたら、なついて普通のマユよか白くて大きなマユを沢山くれたんだ♡」
「魔物が、なついた・・!?
・・あ、今はソレより【ファフ───
───なんだこの上質なマユは!?
以前国王に献上させて頂いた物が霞む程の・・」
「ざ、ザーロス様・・」
「ハッ!?
そ、そうだ、【ファフニール】は200年をかけて───
外部は【モスマン】がマユで溶かし、
内部は【ワーム亜種】が寄生し溶かしている。
・・何故なら【ファフニール】は、今だに死んで居ないからだ」
颯太の周りは、ほぼずっと年上ばかりなので小難しい言い回しなどはソレなりに理解出来ます。




