63『普通のパンチが無○波になったり、割とガチの竜○旋風脚を出せたりします。』
僕の名前は『秋原 颯太』。
幹太姉ちゃん ( 元兄ちゃん ) と一緒に女の子になって、この【異世界】ってトコに来てもうすぐ三カ月になるのかな。
【前の世界】に居た時も、学校と彩佳姉ちゃんと遊ぶ時以外は、幹太姉ちゃんと一緒に居たけど、コッチに来てからはもっとずっと一緒に居たよ。
( ディッポファミリー傭兵団のみんなとお風呂に入った時以外ね。)
・・でも、今日初めて別々になる。
幹太姉ちゃんは僕を心配して、二人で行こう・・って言った。
けど・・ザレさんの女学園と、行商人さんの依頼、とっても御世話になった人達の大切な二つの物を守るため、今日初めて別々になる。
魔力のパスから、僕を心配してくれている幹太姉ちゃんの気持ちが伝わってくる。
今・・僕が向かっているのは、前に女学園にイジワルしにきた奴等のトコ。
またイジワルしに来たのかな。
20人位の騎士と、魔法使いが二人いる。
一人は大した事無いけど、デッカイ剣を担いだ方は・・強いな。
僕も魔法使いだけど、幹太姉ちゃんみたいに凄い炎をイッパイ出したりは出来ない。
だから秋原甲冑柔術 ( と、幹太姉ちゃんから習ったプロレス技とか漫画の技とか ) を合わせた魔法をイッパイ修行して、今の僕はメチャクチャ早いんだ。
イッキに近付いてイッキに倒してやる。
そうしたら幹太姉ちゃんも心配しないよね!
◆◆◆
儂の名は『秋原 源太』。
死にかけのジジイが、年若く母ソックリの姿でこの彼岸と見間違う世界に来て、もう二カ月半になるんかの。
そん時に出会うた仲間、行商人の親子と・・殆んど動かんようなっとった身体を存分に動かす楽しみを教えてくれた傭兵の男。
儂は彼等の想いに応えねばならん。
行商人の親子には良き旅をさせて貰ったその礼を。
傭兵の男には・・儂の血をたぎらせ、勝手に去りよった無念の想いを。
この先の女学園とやらに、キナ臭い何やらが在るという。
年端もいかん娘達が奴等・・魔物を操ろうとせん者共の尖兵だという、デロス殿の言葉そのままを信じる訳ではないがのう。
確かめねば・・うん?
「デロス坊っちゃん!
向こうの山から・・物凄い砂埃が・・!」
「何だ!? 魔物か!?
『村破級』にも、こんな速い奴は居ないぞ!!」
「ひいぃ・・!?
何だってこの学園に近付こうとすると何時も問題ばかり起こるんだ!!?」
「デロス・・唯の魔物かもしれんだろう!
何でも学園のせいにするな!
───やはり付いてきて良・・」
「ザーロス殿、『唯の魔物』ではないぞ・・。
少なくとも『人間』じゃ。
・・『唯の』、かは分からんがな?」
儂等の前にはフリフリばかりの服を着た6歳程の愛らし気な幼女が立ちはだかっとった。
───見かけに似合わぬ恐るべき魔力と殺気を吹き巡らせて、の。
姉妹の母は祖母方の顔ツキで、祖父方の顔ツキは源太しか知らない ( 源太の母の顔を知らない ) ので気付きません。
また源太もこの三カ月でだいぶ女顔 ( と、醸し出る女の子的雰囲気 ) になった颯太が分かりません。
お互い、『まさか』とも思っていないから・・という事で。




