62『水平線までは約4.5kmなので、山の上 ( 高層ビルとか無いから ) でしか練習出来ません。』
女学園は【ゲラェブ領】辺境にあり、周囲には何も無く馬群の現在位置・進行方向から別の場所へ行くとは考えにくい。
女学園への客も、会社と元所属騎士団の人間は専用の馬車、ソレ以外の客は年に数度位らしい。
「武装してるよ」
「考えられるのは───
・・まさか、デロス?」
「お、御姉様・・ソウタ様・・!?」
「───っ・・!
・・ジキア・・すまんが、ザレと一緒に【モスマン】のマユを北の村に送ってくれ!」
「カンタさん!?」
「御姉様・・!?
ワタクシも行きます!」
奴等を追いかけて行ってたら・・行商の母娘からの依頼期限が間に合わないかもしれない。
どうしてもココで二手に別れないとマズい。
「ううん・・幹太姉ちゃんも、ジキアさんとザレさんと一緒にいて?」
「そ、颯太!?」
「ジキアさんとザレさんの二人だけだと、万一『魔物の群れ』や『村破級』と遭遇した時に危険でしょ?」
「だ・・だけど!!」
傭兵の仕事の誇り。
今まで世話になった人達への信頼。
颯太を一人にする───
・・そんな!?
「───な、なら俺が女学園の方に・・」
「本気で走った僕じゃないとコッチは間に合わないよ」
「・・・・ぐっ」
颯太の強さは知っているけど・・そういう事じゃない。
俺は・・俺は・・!
「カンタさん、ココから奴等のトコまで攻撃は届くッスか?」
「と、届くけど・・俺のパンチくらいの威力しかないぞ?」
「と、届くんスか・・。
ならギリギリの時間まで、ココからソウタちゃんのサポートに回るしかないッス」
「で、でも・・細かい狙いが」
「カンタさんとソウタちゃんの魔力間パスの強さは、そのまま絆の強さ、っていうぐらい強いッス。
攻撃が届くならパスも届くッスよ!」
「ソウタ様自身を指標にする訳ですのね」
「幹太姉ちゃん、ソレしか無いよ!
どっちも無視出来ない大切な事なんだから!」
───超長距離魔法は以前から試していた。
颯太との絆の強さなら自信がある。
やるしか無いのか・・!




