6『おっさん・a2ルート ( a1ルートは18禁、bルートはBADEND )。』
『『『 ・・オンナァ・・・!! 』』』
一番最初、奴等犬ゴリラが現れた方角から・・他の犬ゴリラが走ってくるのが見えた。
───群れで。
「か、幹太兄ちゃん・・」
「・・・・クソっ!!」
魔力切れにより、身体はまだ動かない。
一度魔法を使ったからか?
今まで分からなかった方が不思議な位、『魔力』ってやつを自分の体内に感じる。
魔力が回復してる感覚は有るが・・回復した端から、両腕の火傷治療に回っている感じだ。
魔力には、リジェ○みたいな自己再生効果が有るっぽい。
身体動かし用に魔力を廻したいが・・生命維持に直結するからか、炎魔法を操るより遥かに難しい。
「・・颯太は怪我してないんだろ?
そろそろ動ける筈だ・・。
行け、直ぐに追いつく・・」
「そ、そんな・・ヤダよ、一緒に逃げようよ!?
それかココで戦うっ!」
「馬鹿!
魔力の回復とか・・分かるだろ?
一匹二匹と戦える魔力は回復するかもしれない・・けど、それだけだ」
「でも・・でもォ・・・」
「安心しろ・・漫画じゃ殺されたりはしないしな・・」
『 女・・女・・ 』 っつう化物に捕まって───
暫くは生きれる・・はず。
そうすりゃ、いずれ魔力は回復する。
───大丈夫、大丈夫だ。
『ヒュカッ』
・・と、一矢。
先頭の犬ゴリラの額に、突然・・矢が突き刺さる。
「・・えっ?」
『安心しなァ・・御姉チャンッ!
魔物相手に遠慮するこたァ無え!!』
掛け声と共に、人の乗った馬群が丘の別の場所から駈け上がってきた。
俺と颯太が混乱している、その間に・・俺達をかばう形で馬軍が陣形を組んでゆく。
総大将らしき一番の年寄りを中心に、三人が弓矢を、三人が剣を構え、四人が戦闘組の補佐をする。
「ヒトゥデ・シャッコ・アナナゴ!
弓を構えろォ!
3・・2・・1・・ブチ込めェ!!」
一番の年寄りが号令を出すと、三人が弓を構え・・犬ゴリラめがけ、矢が一斉に飛んでいった。
凄い・・!
矢のスピードは、颯太のは勿論・・俺の蹴石より遅いのに一矢の無駄も無く、犬ゴリラ達の急所へ突き刺さる。
「イエカ・ウーニ・クラッゲ、突っ込めェ!」
剣を構えていた三人が、射ち漏らしに斬りかかるが、コッチも凄い。
技というより筋力で叩き切る感じだが、位置取りや連携が上手い。
コレが実戦で鍛えた歴戦の戦士ってヤツか。
「観と射・・僕もヤる!」
僅かばかり魔力の回復した颯太が何言かを呟き、端の犬ゴリラへ。
武術と通じるモノが有るのか?
引き、放たれる矢の如き緩と急で・・攻撃魔力と回復魔力のバランスを取っている。
「おーう、御嬢チャン強えェな!」
やっぱ颯太は天才だな。
一対一なら魔力切れを起こしたりはしないだろう。
それに比べて俺は、たった一匹の犬ゴリラ相手にこんなボロボロで・・。
颯太にばっか戦わせて・・情けない。
俺も参戦したいけど・・未だ再生中の腕が、身体の動きを奪う。
「クソッ、クソッ・・動けよ!」
「御姉さん、無茶しちゃ駄目ッスよ!」
「タゥコ・ナムァコ・クジャラはバリケード!
ジキアぁ!
コッチはイイから、その御姉チャンに付いてやりなっ!」
「了解ッス!」
矢束や予備弓の準備をしていた四人のウチの一人、『ジキア』と呼ばれた一番若い・・中学一年生ぐらいの少年がアセる俺を制止し、安全な場所まで引きずってゆく。
シートの上に寝かし、仰向けにして・・慌てて毛布をかけてくれた。
「・・すまん」
「あっ、いえッス。
・・・・・?
こ、この腕・・自分の魔法で・・!?」
こんな年下にも呆れられて・・クソっ!
火傷した両腕だけ出して、腕にほんのり青い何かを塗ってくる。
冷たくって気持ち良い。
・・・・ん?
この薬・・ほんの僅かだけど魔力を含んでる!?
魔力の回復がちょっと速くなった!
「あ、有難うっ!」
「え? あ、うん、ど・・どう致しましてッス!」
何故か顔を赤くして、シドロモドロになっているが・・関係無い!
コレでもうすぐ俺も参戦出来───
「よーし、掃討完了ぉ!」
───ええ・・?
・・ま、まあ・・颯太も俺も無事なんだ。
最上の結果じゃないか。
「やったあ!
僕、アイツ等をもっと観察してくる!」
「あっ!?
お、おい御嬢チャン!
掃討と警戒は別───」
「えっ?」
『・・・オンナぁ!!』
頭の半分と腕を失って尚、颯太を襲ってきた犬ゴリラ。
僅かに動くクチに、残る全魔力を集め・・極細に圧縮して撃ちだすっ!!
「レェェザアァァーーッ!!!」
犬ゴリラの、残った半分のアタマを放ちぬく!
「颯太・・無事か・・・。
良かっ───」
ソコで俺の意識は暗転する。
・・だから、俺の耳には届かなかった。
「魂のセーフティを討ち破って魔法を・・!?
一体どれだけの魔力量が・・・!?」
という、彼等の言葉が。