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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
プロローグ
6/547

6『おっさん・a2ルート ( a1ルートは18禁、bルートはBADEND )。』

 

『『『 ・・オンナァ・・・!! 』』』




一番最初、奴等犬ゴリラが現れた方角から・・他の犬ゴリラが走ってくるのが見えた。

───群れで。




「か、幹太兄ちゃん・・」


「・・・・クソっ!!」




魔力切れにより、身体はまだ動かない。


一度魔法を使ったからか?

今まで分からなかった方が不思議な位、『魔力』ってやつを自分の体内に感じる。


魔力が回復してる感覚は有るが・・回復した端から、両腕の火傷治療に回っている感じだ。

魔力には、リジェ○みたいな自己再生効果が有るっぽい。


身体動かし用に魔力を廻したいが・・生命維持に直結するからか、炎魔法を操るより遥かに難しい。




「・・颯太は怪我してないんだろ?

そろそろ動ける筈だ・・。

行け、直ぐに追いつく・・」


「そ、そんな・・ヤダよ、一緒に逃げようよ!?

それかココで戦うっ!」


「馬鹿!

魔力の回復とか・・分かるだろ?

一匹二匹と戦える魔力は回復するかもしれない・・けど、それだけだ」


「でも・・でもォ・・・」


「安心しろ・・漫画じゃ殺されたりはしないしな・・」




『 女・・女・・ 』 っつう化物に捕まって───

暫くは生きれる・・はず。

そうすりゃ、いずれ魔力は回復する。


───大丈夫、大丈夫だ。




『ヒュカッ』




・・と、一矢。

先頭の犬ゴリラの額に、突然・・矢が突き刺さる。




「・・えっ?」


『安心しなァ・・御姉チャンッ!

魔物相手に遠慮するこたァ無え!!』




掛け声と共に、人の乗った馬群が丘の別の場所から駈け上がってきた。

俺と颯太が混乱している、その間に・・俺達をかばう形で馬軍が陣形を組んでゆく。


総大将らしき一番の年寄りを中心に、三人が弓矢を、三人が剣を構え、四人が戦闘組の補佐をする。




「ヒトゥデ・シャッコ・アナナゴ!

弓を構えろォ!

3・・2・・1・・ブチ込めェ!!」




一番の年寄りが号令を出すと、三人が弓を構え・・犬ゴリラめがけ、矢が一斉に飛んでいった。


凄い・・!


矢のスピードは、颯太のは勿論・・俺の蹴石より遅いのに一矢の無駄も無く、犬ゴリラ達の急所へ突き刺さる。




「イエカ・ウーニ・クラッゲ、突っ込めェ!」




剣を構えていた三人が、射ち漏らしに斬りかかるが、コッチも凄い。

技というより筋力で叩き切る感じだが、位置取りや連携が上手い。


コレが実戦で鍛えた歴戦の戦士ってヤツか。




「観と射・・僕もヤる!」




僅かばかり魔力の回復した颯太が何言かを呟き、端の犬ゴリラへ。


武術と通じるモノが有るのか?

引き、放たれる矢の如き緩と急で・・攻撃魔力と回復魔力のバランスを取っている。




「おーう、御嬢チャン強えェな!」




やっぱ颯太は天才だな。

一対一なら魔力切れを起こしたりはしないだろう。


それに比べて俺は、たった一匹の犬ゴリラ相手にこんなボロボロで・・。

颯太にばっか戦わせて・・情けない。


俺も参戦したいけど・・未だ再生中の腕が、身体の動きを奪う。




「クソッ、クソッ・・動けよ!」


「御姉さん、無茶しちゃ駄目ッスよ!」


「タゥコ・ナムァコ・クジャラはバリケード!

ジキアぁ!

コッチはイイから、その御姉チャンに付いてやりなっ!」


「了解ッス!」




矢束や予備弓の準備をしていた四人のウチの一人、『ジキア』と呼ばれた一番若い・・中学一年生ぐらいの少年がアセる俺を制止し、安全な場所まで引きずってゆく。


シートの上に寝かし、仰向けにして・・慌てて毛布をかけてくれた。




「・・すまん」


「あっ、いえッス。

・・・・・?

こ、この腕・・自分の魔法で・・!?」




こんな年下にも呆れられて・・クソっ!


火傷した両腕だけ出して、腕にほんのり青い何かを塗ってくる。

冷たくって気持ち良い。


・・・・ん?

この薬・・ほんの僅かだけど魔力を含んでる!?

魔力の回復がちょっと速くなった!




「あ、有難うっ!」


「え? あ、うん、ど・・どう致しましてッス!」




何故か顔を赤くして、シドロモドロになっているが・・関係無い!

コレでもうすぐ俺も参戦出来───




「よーし、掃討完了ぉ!」




───ええ・・?

・・ま、まあ・・颯太も俺も無事なんだ。

最上の結果じゃないか。




「やったあ!

僕、アイツ等をもっと観察してくる!」


「あっ!?

お、おい御嬢チャン!

掃討と警戒は別───」


「えっ?」


『・・・オンナぁ!!』




頭の半分と腕を失って尚、颯太を襲ってきた犬ゴリラ。

僅かに動くクチに、残る全魔力を集め・・極細に圧縮して撃ちだすっ!!




「レェェザアァァーーッ!!!」




犬ゴリラの、残った半分のアタマを放ちぬく!




「颯太・・無事か・・・。

良かっ───」




ソコで俺の意識は暗転する。

・・だから、俺の耳には届かなかった。








「魂のセーフティを討ち破って魔法を・・!?

一体どれだけの魔力量が・・・!?」




という、彼等の言葉が。

 

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