57『【頭文字ザ】・・ザの付くキャラ多すぎた。』
幹太達が北の村へと行く数日前。
「───つまりゲンタ殿は広域指定盗賊団を追っていると」
「うむ」
「・・このデロス、心当たりが無い事も無い」
「な、なんと!?」
「リャターという女が経営する学園の様子が最近怪しくてな」
「デ・・デロス!?
貴様、誰に向かって言っている!?
リャター夫人はこの国において、上級貴族も一目置く御方だぞっ!!」
「・・ザーロス殿、少し静かに話を聞かせてくれんかのう」
「しかし───」
「ザーロス殿?」
「くっ・・」
「今あの学園の生徒は『対、村破級』だそうだ。
・・おかしくは無いか?
なぜたかが一生徒を『対、村破級』に育てる?」
「ふむ」
「そっ、ソレは・・一般庶民に蔓延する男尊女卑を『対、村破級』の権力で───」
「今まで、自分の会社に入れるか騎士団入りさせるかしていたんだ。
急に生徒を危険な目に会わせてまで育てる・・訳有りと見ないザーロス、貴様の方がおかしいぞ?」
デロスは盗賊云々はともかく、リャターと女学園が怪しいと思っているのは事実である。
真実を見抜く魔法使い眼にかけて。
ただ、数多の可能性を・・悪意を持って限定しているだけ。
・・『善悪の感情を見抜く魔法』でも持たぬ限り、その無味無臭の毒に気付く者はいない。
◆◆◆
「そんなに奥まで行かないのですから、まだ時間があるのではなくって?」
「不足の事態は常に想定しなきゃならないッス」
「慣れないウチはこの時間が無駄に感じるんだよなあ」
「準備をよりたくさん出来るんだって思ったら良いよ」
行商人の母親から買った『ミック』という、コッチの愛玩動物の糸ぐるみをキュッと抱くザレ。
北の村の時みたいな、ヤバい暴走はなりを潜めたっぽい。
元々、男嫌いをおして女学園の外に、ディッポファミリー傭兵団に会いに来たんだし根が生真面目なだけなんだよな。
( 暴走の切っ掛けも・・ジキアとの初対面が悪かったと言えなくも、ない?)




