55『たぶん元はMでしたが女体化し、Sになりました。』
「ジキアさん」
「・・はい」
「正座」
「・・・・はい」
こちらの世界 ( 国 ) にもある正座をジキアにも強要する。
「俺はジキアの善意を知ってます。
初めて会ったあの日から、沢山救われ助けられたから俺も颯太も今、生きています」
「あの・・敬語を止めて欲しいッス・・。
あと、その真顔・・」
「しゃーらっぷ!」
「何語ッスか!?」
俺も元男だからそういうのは分かる。
この国の多くの男みたいにゲスい方法で発散しないだけ良い。
「何時、人が来るか分からないのですから鍵くらいかけましょう。
そうすれば『ああ、今ジキアは致しているのだな』と、皆が分かります」
「どんな拷問ッスか!?」
「あ~ん、御姉様ァ~っ!
ワタクシ、こんなのから教わりたくありません!」
「あー・・よしよし、怖かったねー・・。
・・もう大丈・・んっ、ちょっ・・あっ胸・・・!?」
「御姉様ァ御姉様ァ~ハァハァ♡♡♡」
「んなっ、何やってるッス───」
『──バチイィィンッッ──』
「あ痛ァ!?」
「ザレさーん?
幹太姉ちゃん、困ってるよね?」
「はいっ!
ソウタ様!」
「・・何スかこのカオス」
◆◆◆
「魔法使いは自ら魔力を生みだせるんスけど───
・・そうじゃない人は空中にある魔力を自然吸収するしかないんス」
「へえ~、そうなんだね」
「魔力弁異常って病気・・ってか、体質があるんスよ。
魔力を吸収出来なかったり、吸収した魔力を排出出来なかったりするッス」
「手術とか・・必要なの?」
「身体の中にそういう弁があるんじゃなくて、あくまで全体的な体質でそうなるらしいッス」
「そっかぁ」
「・・・・」
村長の奥さんが
「お昼はまだですか?
よろしけれ皆さんの御食事も用意しますが」
と、幾つかの食材を運びながら聞いてきた。
「有難う御座います。
あっ、コレ今回お世話になる分です」
【ケルピー】のウロコも価値が高いらしいんで宿賃として ( 食肉は学園や孤児院行き。) 渡すと
「ハハ・・また『村破級』ですか?」
と、頬を引きつらせ喜んでくれている。
ついでにキッチンを借りて、皆でお料理タイム。
若干、場がグダグダになったし、ジキアとザレの仲が険悪なんで ( ザレの一方的なモンだけど ) 共同作業作戦に出たのだ。
「ざ、ザレ・・さん、の魔力流を見ると・・魔力が貯まる一方っぽい、んス」
「つまりソレって・・・」
「何よ、ワタクシが魔法使いではないと仰るの!?
御姉様、違いますよね!?」
・・確かにザレの魔力流れと、俺自身や颯太にジキアとかとの魔力流れは微妙に違い、魔力弁異常の話も頷ける。
けどなあ・・。
ザレは魔力の流れが見えなかったり、魔法使いとは言い難いが・・魔法使いじゃない、と断言出来ないナニカがあるんだよなあ・・。
魔力吸収力が異常に高い ( 体内の魔力量が魔法使い並み ) し。
「───っ・・!
なら勝負ですわ!!」
「な、なんでそうなるんだよ!?」
「修業が足らないだけで、もっと強くなったら魔力を自在に出来るんでしょう!?」
うーん・・アイデンティティー崩壊に近いし、暴走しかかっているな・・。
そしてジキアはドMです。




