81『悪の天才科学者がメカカンタを作ろうと、パラレルワールドからダークカンタが来ようとも。』
「チホ・・」
「リリ・・」
チホさんが日本に変え帰る日。
一泊二日の検査入院の後、幾つかの書類云々があって家族が迎えに来た。
大扉の向こう側にはチホさんの家族が待っている。 親交がある父さんと母さんと、何やら会話中。
「リリは・・まだ暫く此方に居るのね?」
「まあ、ね。
一応傭兵団の資格 ( 補助 ) は取っちゃったし。
初仕事があんなだし・・もうちょっと楽な仕事をしよっかな。
薬草採取とかゴブリン退治とか」
「薬草採取は薬師ギルドの仕事だし、ゴブリンはそもそも存在しないぞ」
「えっ!?
そうなんですか!?」
渡界管理局の人の話だと、異世界と日本と繋がって・・こうゆう人は案外多いらしいんだよな。
あと、チート。
言語チートは今でも手に入るが、戦闘チートはもう魔女が皆集まっているので基本は有り得ない。
アイテムボックスやステータスプレートを欲する人も、ガッカリしているそうだ。
「まあ、『 道破級 』 の仕事を頑張るんだな」
「はいっ」
「リリちゃん、頑張ろうね」
「ええ」
リリさんは、ゼレバくんと正式にパーティ契約を交わしたらしい。
同じ傭兵団という訳ではないけどな。 ( 俺と颯太の姉妹傭兵団と、ディッポファミリー傭兵団の関係に近い。)
「あー・・その・・・・今度は、安全な世界を案内する」
「・・・・アンタが日本に用が出来た時は、私が案内するわ」
チホさんとアロス。
あのジレジレ感がタマリマセンなあ。
「チホちゃんの事は任せてー。
アタシたちはマブダチだぜー!」
「お願いね、ヨー」
「ま、これからも宜しくね、ヨー」
「合点承知の介ー!」
ヨーも、チホさんと同時に日本へ。
日本で活動する【人土】が迎えに来ていた。
「・・いいのかしら?
日本に帰しちゃって」
「いいさ」
ヨーは───実は、皆が心配していたヴォイドの封印が解けている。
『反』がヨーのヴォイドを奪い、ソレを取り戻した時、なんの作用だか・・封印が消滅したのだ。
今のヨーは、莫大な魔力とヴォイドを操るチカラを有している
・・その事に、危機感を懐いている人は沢山いる。
隣の彩佳もそう。
「結局、今までアンタの勘に頼ってココまで来た・・みたいなトコは有るんだし、アンタの決定に文句は無いわ」
「済まんね」
再封印しろって人も・・まあ居るんだけど、一度こう成ってしまった以上───再び何処かで、解ける時が来るハズ。
なら、その度にヤキモキするよか慣らす方が良い気がしたのだ。
旦那に母親、部下の人たちにチホさんたち。 もちろん、俺たちも。
ヨーに、沢山の仲間が居れば・・排他主義のアイツなんか、近寄ることすら出来ないさ。
「まあイザという時は何とかなるよね、幹太姉ちゃん」
「ああ」
死んだ仲間も居る。
けど、子供たちといった新しい仲間も居る。
本日は快晴。
曇りの日も雨の日も有るだろうけど、いずれ晴れる。
その日その日を精一杯生きてゆきゃあ良い。
人生、そんなモンだ。
< 完 >




