74『魔王と英雄とスライムと。』
「くうぅぅ・・こりゃあイカンのう」
「お、お母さん・・!」
「み・・【巫女】様・・」
源太ちゃんが、久喜が、【人狼】たちが。
「幹太ママ・・!」
『魔王の粘土・・いや、コレは?』
「ちっ・・サッサと逃げときゃ良かったね・・」
羅佳が、『三者を越えし者』が、ヒューたち魔女が。
「リリちゃん・・先輩・・!」
「ゼレバくん・・」
「ゼレバ・・!」
「ちっ・・大先輩が情けねえぜ」
ゼレバくんが、リリさんが、アロスが。
「かん・・ママ・・」
「あ、あやママ・・」
信太が、恵太が、甚太が、純香が、邦花が、美結夏が。
『反』の、各地ヴォイド源を対処したメンバーが・・次々と倒れてゆく。
「幹・・太、姉ちゃ・・ん」
「颯太・・婆ちゃん」
「颯太!? 理太くんっ!?」
颯太たちまで!?
二人はヴォイド源と関係無いハズなのに!?
「くくく・・ソイツ等が倒した 『 ドリーβ 』 は、ある意味でオレの兄弟だからな!」
「下種ヤロウが・・」
「───はっ!
83年前のテメエも、自分勝手な正義を押し付けてオレたちをスライムプールの中に落としやがっただろう!?
自業自得だぜっ!
くくく・・はーはっはっはっ!」
───コイツは。
コイツは。
コイツは・・殺してやる。
絶対に、コイツは、殺してやる・・!
「全力全開」
「はっはっ・・は?
───っ、な・・何・・・・は?」
身体の半分以上がスライム体と成った俺は・・83年前の最終決戦より、無茶できるようになった。
・・絶対に、殺してやる。
「なっ、何だ、この魔力は・・!
お・・オマエは───これだけの規格外の魔法使い共から、魔力を集めているというに・・!?」
「───ふひっ。
規格外、っつうの・・は・・その馬鹿娘の事を言う・・ね」
「黙れ!」
「ぐぅ・・!?」
『反』が、ヒューに向かって手を振ると・・ヒューが苦しみだす。
更なる魔力を絞り盗られているようだ。
「ヒュー!
貴様・・!!」
奴の魔力が膨れ上がる。
「もっと・・もっとだ!
もっともっともっと魔力を寄越せぇぇ!」
「りっ、リリ・・」
「チホちゃん!?」
今度はチホさん!?
「ソッチの女・・オマエは、オレのヴォイド源に成っていた女だな?
薄ッペラい味だが・・オマエのも吸っといてやるよ!」
「このー・・リリちゃんを離───せ・・・・はレ?」
「金髪の方は、ヴォイド源の女と長く居すぎたなあ・・くくっ。
仲良しゴッコなんかやっているから、そんな目に合うんだぜ!
───ん? んん??」
「ち、チホちゃん・・リリちゃん・・アタシ・・・・」
「その金髪───この潜在力───」
「───全力全開・大小自動追尾魔法っっ!!!」
ヨーの秘密に気付きかけた『反』。
完全に魔力を溜めきる前に放った一撃だったが───
「───素晴らしい」
爆炎が晴れる。
その先には・・無事な『反』。
「莫大な魔力と・・ヴォイド・・。
しかも完璧に融合している・・!」
嘗ての・・ 『 アイツ 』 と同じ以上のチカラを持った敵が、復活した───




