73『『アキハラカンタ、貴女の部屋に「こんな」漫画は無かった。もっと見識を広めるべき』「やだよ」』
前話にて、【ファフニール】と【アジ・タハーカ】を間違えておりました。
済みません。
「───って訳───黒剣教───麗嵐───」
「───分か───ママには───」
子供たちとクジャラさんが小声で会話。 たぶん、ヴォイド源破壊に関する彼是の結果報告。
微かに外国の名前が聞こえた。
【麗嵐国】は確か、俺が80年寝ている間にディッポファミリー傭兵団が男尊女卑から救った国。
ディッポファミリー傭兵団の面々を救国の英雄として深く奉っている国で・・近くに【人花の巫女】ビタの姉ピヒタが治める【人花の里】が有る関係から半【人花の国】でもある。
ピヒタはディッポファミリー傭兵団の一人、アナナゴさんと結婚しているしな。
【銀星王国】とは強い友好関係を結んでいる。
黒剣教団は確か最近見つかった国で、【旧銀星王国】と同じく 『 英雄ヨランギ 』 を国父とする国。
男尊女卑が厳しい筈なので、【銀星王国】国内の魔物退治を終えたら行きたかった国だ。
信太たちが笑顔なので、ヴォイドを片した序でに何かしたのかも。
女性たちに善き事となるなら・・ソレこそ滅亡させたって良い。
屑に慈悲なし。
「皆の用件は、大体終わったか?」
「うん」
「そうじゃの」
子供たちや源太ちゃんの返事。
他の皆も、反対意見は無いみたいだ。
「じゃあ、ゼレバくん」
「はっ、ははは・・ハイっ!」
「君の【巫女】に成るから」
「・・・・は?」
「序でにリリさんのにも成ろうか。
チホさん、良いよね?」
「ええ、リリには事情説明しましたから」
「じゃあ───」
「ちょ、ちょっと待て!
説明ぐらいしろっ!」
俺がゼレバくんに手を伸ばすと・・部屋の隅にいたガタイのいい男が反論してきた。
「君は?」
「俺は・・アロス。
ゼレバの保護者がわりで───裏切り者だ」
「裏切り者?」
その言葉と同時に、子供たちから殺気が膨れ上がる。
けどまあ、信太たちは俺や彩佳が。
理太くんは颯太が止める。
クジャラさんが片手を挙げて一言。
「アスェベタ家の息子だってさ」
「アスェベタ家・・まさか、ザーロスさんの孫?」
頷くアロス。
ザーロスさんの息子の一人が、魔法使いで無かったと聞く。
その息子は・・魔法使い至上主義では無くなった世の中、表面上は大人しくしていたけど───悪意を喰らう魔物【ファフニール】に喰われたデロスと同じ感情に囚われたのかもな。
おそらく『旧世代』に居たんだろう。
息子であるアロスは、父に付いたか。
「んぅ・・でもココに居るって事は、そうゆう事、なんでしょ?」
颯太の、9歳女児っぽい仕草。
・・ふり、なんだろうか。
天然っぽい気もするが・・。
「───ゼレバに、救われた」
「なら良いじゃん、序でにアロスの【巫女】にも成るよ」
「はあっ!? だからオレは裏切り者で・・」
「アロス・・言ったろ?
ウチの大将は、敵だろうと気に入ったら仲間にするってな」
「クジャラさん」
なんか分からんけど、アロスとクジャラさんとで男同士の友情っぽいのを育んでいる。
リリさんが「 腐ッ・・ 」 と、良い笑顔で微笑んでいた。
ソッチの人?
「じゃ、成るぞ・・えゃ!」
「うわっ!?」
「きゃっ!」
「こ・・コレは・・!」
「説明するよか、成った方が早い」
彼等から魔力が盛れだす。
擬似的な魔法使いに成った証拠だ。
ゼレバくんの体内からはヴォイドが消滅してゆく。
ココに居た皆の話だと、強い歪みは電波のみならず脳波にまで影響を及ぼすらしいけど・・ゼレバくんの体内に残っていたヴォイド量だと問題無い。
「目眩が・・治った」
「うんうん、良かっ───」
『 ───た、などと・・思うなよ、アキハラ カンタあああぁぁぁぁ!!! 』
「は?」
「「「「 ぐぅう・・!? 」」」」
突如響く、男の声。
苦しみだす、我が子たち。
何が・・一体・・・・!?
「お前に潰される寸前に、体の一部を分離させておき・・お前等にへばり着いていた。
魂も、体内の扉が消滅する寸前に一部を扉から逆流させて・・偶々流れ付いた先、このガキに寄生していたんだ!」
「この声───」
「肉体と魂が揃ったこの場に・・御丁寧にも、俺のヴォイドと微かにパスが繋がったガキ共まで居る。
【 魔王の粘土 】としてコレ程吸い易い魔力はない!」
超重力で本体を潰した事で、油断していた・・あまりに極小で、肉体にも魔力にも魂にも気付けなかった・・。
「───『反』か!」




