72『この後5年、気付きません。』
「幹太ママ、彼がゼレバだ」
『( くっ・・ )』
「( ぷふーっ、ラカが! 嘗ては数多の魔女を率いていた、あのラカが・・『ママ』!
あー・・駄目ね、お腹痛いね! )」
羅佳に連れられ、皆を助けてくれたゼレバという新人傭兵の下へ行く途中───なんか『三者を越えし者』と・・確かポロヤンさんとこで働くヒュー、二人の魔女が声を殺して笑う。
確かに羅佳の前世は・・俺たちの敵として現れ、敗れた後は【ファフニール】を率いて地球を攻撃。
人類を滅亡寸前まで追い詰めた。
まあ羅佳───って言うか、ラカたち魔女の話を聞けば・・地球人の自業自得って感じも有るし、俺からどうこうは無い。
「うー・・あっ、羅佳さま・・申し訳───あれ、どちら様ですか?」
「秋原 羅佳の母で、秋原 幹太と言います」
「羅佳さまのお母さん・・・・・・って!?」
「羅佳や源太、久喜、クジャラさん、『三者を越えし者』、ヒュー・・家族や仲間を身を挺して守って貰って頂き感謝します」
「じ、じょじょ・・女王さ───」
ゼレバくんに礼を言うと・・なんか彼が吃りだし、慌てて自らのクチを塞ぐ。 なんなん?
「羅佳、彼の症状は?」
「タンポポの根がヴォイドの発生源と気付たゼレバは、根を掘りおこして根を破壊した。
その時、大量のヴォイドを浴びたらしい。
幸い彼は魔法使いでは無いので、命に別状は無いが・・」
「一応魔力世界の住人だしなあ。
ヴォイド中毒とでも言うべき状態なのか───」
───といった所で更なる客。
「「「 かんママ! 」」」
「「「 あやママ! 」」」
「信太、恵太、甚太!」
「純香、邦花、美結夏!」
我が子たちが空から降ってきた。
たぶん、『反』のヴォイド源を対処して帰っている途中で俺と彩佳とイーシアが、羅佳たちの所へ向かっているのに気付いたんだろう。
ひさびさにファミリー集合。
駆け寄り、抱擁。 号泣。
「いや、ソレもう良いから」
「彩佳もやりたいクセにー。
なー?」
「「「「ねー?」」」」
「はいはい」
実際、彩佳の目はちょい潤んでいるしな。
ううう、ソレにしてもやっぱり我が子は可愛いなあ。
颯太と理太くんも、我が子と挨拶。
颯太とは、何度か会ってる。
というか・・80年寝てた俺よか付き合いは長いんだよな。
クジャラさんに、俺がヴォイド云々を気付いている事を言わないよう素早くアイコンタクト。
「颯太叔母さん、お久しぶり!」
「君たちは・・まあ、変わってないね」
「みんなは幹太姉ちゃんの子かあ・・。
えぇっと、颯太婆ちゃんの姉ちゃんの子供だから───」
「まあ細かい事は良いじゃない、理太お兄ちゃん!」
「お・・おう!
何でも言えよ、お兄ちゃんが守ってやるぜ!」
「わあい!」
理太くん・・颯太の孫で一番小さいって事は、自分より下は居なくて・・。
イーシアはちょい下過ぎるから、直接的な弟みたいで嬉しいんだなあ・・。
その子、6歳ぐらいの見た目でも実年齢は32歳だけど・・。
まあ精神年齢は姿のままだから良っか。




