表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
番外編・2
535/547

70『る○ぶ、異世界にも進出。』

 

「幹太さん、お久し振り」


「お久し振りです。

・・最近はどうですか」


「景気()、御陰樣で良いよ」


「・・そう(・・)、ですか」




半グレ共以降は、特に問題なく旅に出れた。


土魔法にて秋原家を歩かした魔法で、家と土台と足を作って旅開始。


足は移動速度を重視して、蜘蛛タイプ。

チホさんは、ずっと遠い景色だけを見てる。


うんうん。

俺も初めて異世界を旅してた時は、例え何でもない景色であっても見飽きなかったなあ。


・・で、【 国境の村 】。

その商工ギルド会長。

83年前、物流の止まった世界にて物流回復の旅をしたが・・その頃に世話になった人だ。


彼のお父さん、先代会長はディッポ団長と仲が良かった。

そして彼自身は、ジキアと仲が良かったのだ。


商売人としての裏表を感じさせない、気持ちの良い人なんだけど・・あまり体が強くない。

偶に俺ん中に来て、商談とかしてるからまだ健在だけど・・本来ならとっくに───




「コッチに・・永住───」


「───幹太さん」


「は、はいっ!?」


「貴女たちと共に居るのは楽しい。

・・けどね、最近は父さんやジキア君の夢ばかり見るんだ」


「・・・・・・。

・・・・。

・・。

───分かり・・ました」




彼は魔法使い。

魔法使い同士の会話に、嘘も御為ごかしも通用無い。




「・・・・はい、通行許可書だよ。

───良き旅を」


「───良き旅を」




たぶん、コレが最後の会話。

お互い笑顔だから、良い別れなんだろう。



◆◆◆



「そうですか、会長は・・」


「ええ」




【銀星王国】から【国境の村】を通りすぎ、【連合】へ。

飲食料を求め向かったのは、複数の小さな国が集まって出来た【連合】内では、比較的大きな村。


この村の商工ギルドで会長をしているのは、俺たちの仲間で83年前共に旅をしていた人だ。

縁の下の力持ちとゆうべき彼には本当に御世話になった。




「貴方も、ギルドの後進がたいぶ育ちましたし・・」


「ハハ、未だ未だですよ」




彼も50代の見かけながら、100歳を超える。

なんか俺ん中の世界には・・色んな企業が、色んな施設を建てており、彼も時々は俺の中へ来ている。

中でも温泉施設が御気に入りらしい。




「ですが、妻は【人土】ですしね・・」




83年前の旅で、【人土村】から付いてきた女性【人土】の一人と・・何らかの再縁が有ったらしい彼は、俺の80年の眠りの間に彼女と結婚していた。




「・・いずれ、妻と共に御伺いしますよ」


「・・はいっ、お待ちしています!」




やった。 人生の仲間をゲットだ。

正直・・もう、知り合いに先立たれるのは辛いからな。



◆◆◆



昔馴染みと久方ぶりの再会、そして再び共に歩むと誓い・・『 最後の 』 村を目指す。




「みんな。 次の村にリリさんと共に居るハズの源太ちゃん、あと何でか『三者を越えし者』や・・・・羅佳?

え? 何で羅佳が?」


「あの子も『旧世代』相手にコソコソしてたっぽいしね。『アンチ』のヴォイドを止めたパーティ・・じゃないかしら?」


「あー・・なるほど」




俺たちと、颯太との再会の邪魔になる一切のモノは持ち歩かないよう───と言われたので通信機の類いは持っていない。

魔力パスのみ。


魔力パスも、プライバシー侵害しないように普段はほぼ完全に閉じ・・今も位置と感情が分かる程度に薄ボンヤリとだけ繋げている。


だから、詳しい事情は分からんが───




「まあとにかく、もうすぐリリさんたちの居る村へと着く」


「リリ・・」


「基本みんな、歓迎ムードだけど・・完全には喜びきれてない感じかなあ?」


「リリに何か有ったんでしょうか!?」


「嘘は吐きたくないから正直、その可能性は有る。

ただ、重ねて言うけど深刻な感じはしないし・・打ち身程度の怪我か、軽い風邪程度だと思うよ」


「汚物? は消毒です」


「もちろん、リリさん以外の可能性も有るわ。

傭兵団が数人付いてってるみたいだしね」


「チホちゃん、大丈夫だよー」


「そうだぜ、リリ姉ちゃんは魔法使いなんだろ?

だったら自己再生魔法が有るから、そんぐらい直ぐ治るさ」


「これから行く村は、料理が有名で体力回復効果も高い・・って、【国境の村】で買ったガイドブックにも載ってるしねぇ」


「みんな・・そうですよね!」




チホさんが擬似魔法使いになったのはリリさんと別れてから。

魔力パスは、ココに居るメンバーとしか繋げられていない。


心配だろうけど・・もうすぐ会えるんだ。

仲間とは・・ずっと一緒に居て欲しい。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ