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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
番外編・2
530/547

65『「どすこい」の語源は「どっこいしょ」だそうです。』

 

「───ふう・・。

幹太さん、美味しかったです」


「そ、そう・・良かった」




チホさん───というか日本人を、狙っていた『旧世代』に憧れる馬鹿ガキ共。

コイツ等に襲われたチホさんは、そのトラウマを払拭するため自ら対処する事にした。


・・が、戦闘経験など無い彼女は相手に大怪我を負わせてしまった。


割と殲滅主義の俺たちからすりゃあ、グッジョブだったんだけど・・チホさんは顔を青くして震えていたのだ。


生まれて初めて見た大怪我した人間、しかも敵とはいえ原因が自分・・ショックを受けていた。

俺たちには理解し難い感情だけどな。


慌てて近くの食い物屋に入り、厨房と食材を借りてちょい早めの昼食を作る。 魔力タップリ乗せの、癒し(せんのう)料理だ。


83年前の、男尊女卑を正す旅で効果は確認済み。




「幹太さんの料理を食べていたら・・悪い人とはいえ大怪我を負わせた事、多少は気が楽になりました」


「この街に住んでる【人花】に治療依頼は出した。 奴は問題ない。

チホさんは悪く無いよ」


「───はい。

・・こんな世の中、相手は危険な犯罪者だったんです。

自衛は当然ですよね」


「ああ」




「( わぁーお、幹太ちゃん悪い顔しってるぅー! )」


「( そりゃね。 紛う方無き洗脳だもの )」


「( でも事実じゃん )」


「( この集団で唯一、自衛の手段を持たないチホさんの事を考えるとねぇ・・ )」




みんなは色々言ってくるが・・まあしゃあない。

未だこの世界は魔物は居るし、傭兵は需要のある商売。


そんな世の馬鹿は・・日本と比べたら若干、度が過ぎている。

俺自身、地球じゃ日本以外に住んだことは無いんで銃社会の国の犯罪者とは比べようが無いけどな。




「よし、【連合】へ出発するまで、ちょい間が有るな。 今のウチに馬鹿を釣れるだけ釣っとこう。

チホさんはヨーと。

皆は一人で大丈夫か?」




頷く皆。

こんな連中の所為で後続の日本人たちに迷惑は掛けらんないし、コチラの世界の人間にも迷惑だ。


チホさんも、さっきのでコツは掴んだらしく・・馬鹿ガキに怪我を負わせず捕まえられるようだ。

警備傭兵団の皆さんに捕縛連行は任せて俺たちは【銀星王国】全体で釣り開始。


何人か捕まえて分かったのは・・コイツ等は『旧世代』に入り損ねた、『旧世代』に居てもおかしくない人間ばっかだった事。


というのも───俺が眠ってた頃に、腐った傭兵ギルド職員や傭兵団を傭兵関係から廃除した。


ディッポ団長やジキアたちと共に旅をしていた時代、傭兵団は畏怖の対象だったけど・・今や【銀星王国】において傭兵はスター職業の一つ。


廃除した連中は ( 自業自得とはいえ ) 今のスターダムに乗れず、無念のウチに死んでいったのだ。


馬鹿ガキ共は、ソイツ等の子孫。

『旧世代』の思想と噛みあう訳だ。

( アッチはオマエ等なんか要らん、となったが。)


で・・そこそこ馬鹿ガキを釣ったころ、捕縛を任せていた傭兵団の方々が調書を持ってきてくれた。




「幹太の姉御、コイツ等の何人かに共通点を見つけやした」


「それは?」


「チーム 『 ドスコイエンペラーズ 』 ってのに、所属してんのが多いみたいですぜ」


「「「「「「 ドスコイ 」」」」」」




六人の声がハモる。

中々ねいよ?




「日本の暴走族とやらに憧れて、日本風のチーム、日本風のチーム名にしたらしいんでさ」


「日本風・・つーか」




日本の戦士がクチにする勝鬨かちどき・・みたいな認識だそうだ。

間違っちゃいないんだろうけどさ・・。




「ココのボスが、大扉が通行禁止に成る前に来ていた日本人観光客に笑われたらしく・・」


「そ、そんな下らない理由でチホさんが苦労したのか・・」




チホさん、微かにクチ端がヒクついてるよ・・。

まあ・・ドスコイの先祖や『旧世代』のアレコレで、ドスコイが苛ついてた時に───観光客の言葉がトドメと成った 『 だけ 』 、だと思いたい。




「姉御たちは、そろそろ出発時間なんで・・オレ等で勝手にコイツ等を絞めとこうかとも思ったんですがね」


「チホさん、どうする?」


「やります・・最後まで」




怒ってるなあ。

まあ、ソレは俺ふくめて全員だけど。




「ソイツ等の居場所アジトは?」


「今は廃墟に成っている一画にたむろっているそうですぜ。

今すぐ行きやすか?」


「そんな疲れちゃいないし、準備も必要無いし───」


「───たっ、大変です!」




傭兵団の一人が、ギルドから何らかの連絡を受けた・・かと思ったら、慌てふためきだした。




「ど、どうしたんでい!? 『旧世代』でも出たか!?」


「い、いえ・・イーストの野郎から」


「イースト?」




一応、イーストと彼等は上司部下の関係だけど・・同年代もしくは彼等の方が年上だ。


チホさんが 「 誰ですか? 」 と聞き、颯太が 「 幹太姉ちゃんの元旦那 」 と答える。

チホさんが驚き、咄嗟に彩佳を見て・・彩佳のメンチビームにビビる。

一応、「 現 」 だよ?

彩佳と父さんからは、そんな扱いだけど。


で、イースト。 彼が動くなら、かなり重大事件の可能性が高いが・・。




「あの・・その・・・・『娘が拐われた』、と」

 



は?

 

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