61『ヤバイ噂ばかり有る人間に、手ぇ出してしまった・・!?』
「こんにちは」
「あら、貴女・・先日は受付ありがとうね。
今日は何の用かしら?」
俺を、傭兵学校の入学式受付に採用した傭兵ギルド総本部の新人女性。
人が大量に集まる上、幾つかのトラブルが多発し・・オロオロしていたので雑務を手伝ったのだ。
バイトだな。
「今日さっき、【人茸化】された暴漢がコッチに運ばれたハズなんですけど?
彼女等が被害者で」
「あら、大丈夫だった?
ちょっと待っててね、え~っと・・」
女性が、職員のチームリーダーに渡されているタブレットを操作してチェック。
俺は馴れたけど・・チホさんは異世界人がタブレット操作するのを、珍しげに見ていた。
何となく気持ちは分かる。
「・・ああ、コイツね。
外部の人には余り詳しく言えないんだけど───今、傭兵ギルドは有る作戦中で・・その犯人、もしくは情報所持者と目されているみたいよ」
「そうですか・・。
チホさん、どうする?
まだ心の整理が付かないなら、俺たちだけで事情聴取を・・・・」
「いえ、大丈夫です」
「なら行こうか、俺たち全員が付いているから!」
「ヨーが守るよ!」
「オレも守ってやるぜ!」
「チホさんに何か有ったら、源太ちゃんや父さん母さんも悲しむしねぇ」
「ま、同じ日本人として異世界をクソ犯罪者如きの所為で嫌いになって欲しくないわね」
「みんな・・有難うございます」
てな訳で、女性の案内で取調室へ。
こういうトコは文明のブレイクスルーとか気にしてもしゃーないし、ガチの鉄板入り壁とか強化ガラスにマジックミラー等々地球の技術をふんだんに採用している。
マジックミラーを挟み、隣の部屋で取り調べを受けている犯罪者の様子をチェック。
・・やや、頭のオカシイ感じがするなあ。
言動が支離滅裂だ。
と、ここまで案内してくれた女性が俺たちの居る部屋をノック。
「か、かかか幹太様・・し・・資料をどうぞ」
「あ、どうも」
「でではしし失礼しますす・・!」
途中ですれ違った御偉いさんが俺に低頭してきたのを見て、彼女が俺の役職名を聞いてきたんで素直に答えたら・・土下座してきた。
人目の多いトコでは勘弁して戴きたい。
・・んで、犯罪者の資料。
「───っ・・颯太、彩佳、コレ」
「んーっと・・・・ああ」
「・・なるほどね」
二人も、資料を見てゲンナリ顔。
コイツ、『反』になった下種傭兵団ABCの部下だった傭兵団の子孫・・新生【銀星王国】に叩き潰された奴だ。




