52『様々な視点・特別編⑥ なんか、こう・・思春期の少年の甘酸っぱい恋心を書くつもりが・・。』
「団長!
向こうから変な魔力乱が見えるッス!」
───一生忘れられないあの日、オレは運命の女性に出会ったッス。
両腕を犠牲にして尚、妹を気遣うその心意気。
目を惹きつける、この国の女性には珍しい短髪黒髪。
時に女性的美貌の中に見える・・男顔負けの凛々しさ。
・・そして、つい見えちゃた───
ま、まあソレはイイッス。
莫大な魔力を持っているのにその使い方を全く知らない彼女の様子を見て、両腕の使えない彼女を介護する、その内に・・オレは、オレ達は虜になったッス。
◆◆◆
「じ、上達早いッスね・・」
「あー・・漫画、いや、魔法使いのお芝居とかは見たことあるんだ」
頑なに自分達の過去・・特に何故この国に来たか・・って話はしてくれないし、ごく・・ほんの極僅か嘘が混ざるッス。
オレも無理に聞くつもりはないんで、出来るだけこの話はしたくないンスけど・・ドコに種があるか分かんないッスから。
そのたびに泣きそうな顔で
「・・済まん」
なんて言われたら───
◆◆◆
ある日、彼女が新魔法を開発したって言ってきて・・その日からオレ達は相思相愛になったッス。
でも・・御互い、相手のことを殆んど知らない───
想定外でなった相思相愛・・。
「これは本当の時間じゃない」
・・って分かってたッス。
だから、焦ってたオレ達みんなでプロポーズしたッスけど、故郷が忘れられない二人はオレ達ディッポファミリー傭兵団の元から旅立つそうッス。
・・そうッスね。
こんな若造、こんな素晴らしい女性に早すぎたッス!
オレはこのヒトに相応しい男になるンスから!!
◆※作者注・ココからはセンチメンタル的なナニカはブチ壊れます※◆
「た、大変だ・・!」
なんスかね?
どちらかと言えば大人しいウーニ兄さんが凄い形相で走ってくるッス。
「ひ、久々の川だから・・洗濯物を洗おうとしたら───」
兄さんが取り出したのは・・あのヒトのぱ、ぱぱぱパンツ!?
彼女は発見した時、下着姿で───
上は自らの炎で焼いちゃったッスけど・・下は・・!!
「コッチのパンツは蒸れるからって、運動する時は蒸れないコッチを穿いてて・・洗濯物に出してそのまま忘れてった、らしい」
「デ、ディッポファミリー傭兵団の衣類修繕担当者として、異国の・・その伸び縮みする布地は気になっていた!
俺が研究する価値はみんなにもある!」
「狡いぞ!?」
「「そ、ソウタちゃんのパンツは?」」
「うるせえ!」
あのヒトへの愛でもの凄い強くなったオレ達の絆は・・あのヒトのパンツで瓦解したッス。
「『ジャンケン』でもしてろ馬鹿ガキ共っ!!」
団長の一声で解決策が出てまた仲良しッス。
( ジャンケンってのは二人がたまにやってた一瞬で決着がつく遊びッス。)
◆◆◆
『───ラ・・んた・・コチ・・応答せ・・!!?』
ビクゥ・・ッ!?
な、なンスか・・今のは?
あのヒトの声みたいだったッスけど・・。
『バタバタッ』『ガチャッ』
「貴方が御姉様の仲間・・ですわ・・ね・・・!?」
『───ぴゅっ───』
「あっ」
「・・・・」
「・・・・」
「ぎ」
「ぎ?」
「ぎぃやああああぁぁああっっ!!!?」
『───コチラ幹太、コチラ幹太!
応答せよジキア!
風で俺の声を届ける新魔法を試している。
もし、ハッスルダンスしてるなら今すぐ終えてくれ!
───コチラ幹太・・!』
ボクサーブリーフ。




