52『食事休憩。』
「ハァ・・ハァ・・」
半日魔力を使い続けた後の全力全開。
流石に眠うございます。
でも、目の前の敵・・『反』は、眠いどころじゃ無さそうだ。
「───ぶ──ぐブブ───」
「あ・・『反』よ!?
『反』よぉぉ!??」
『反』は、三つの灰塊に成っていた。
大きさは、一つがデカくて60cmぐらい。 残りの小さい二つがサッカーボールぐらい。
「『反』・・いえ、『 魔王の粘土 』 と呼ばれた生物、かしら?」
「・・・・・・・・違うってさ。
俺ん中の魔女が言っているよ、ウィンが造った 『 魔王の粘土 』 の劣化版に過ぎないとさ」
「そうなの?」
魔力とヴォイドを両方使えたウィンが造りだした 『 魔王の粘土 』 。
魔力生命体にヴォイドを浴びせ続けた結果産まれた『反』。
似てはいる・・けどな。
「精度と練度が違う。
仮にも、相手は二千年君臨し続ける事の出来る魔王が造りだした存在───」
『 ───違う! 』
・・あ?
突然の怒声。
振り返ると、『反』の仲間。
貴族のオッサン。
オッサンが『反』に駆け寄る所だった。
「私の、私の『反』は、劣化版などでは無い!
魔王の粘土と違うと言うのであれば、魔王の粘土より優れた存在なのだ!」
「うわ・・」
このオッサン・・『反』を抱き抱えて泣いてるよ・・。
「【人花】の先祖である聖者が作った 『 誘蛾灯 』 をパクった薬も、其処から送られてきたヴォイドも・・ムラが酷いんじゃないかなあ?」
「ムラ・・だと?」
「ヴォイドの量・・総量は、ひょっとしたら【空の口】を上回ったかもしれんけどさあ。
全然安定してなかったんだよ」
「安定・・」
たぶん・・『 地球の科学 』 と 『 貴族の魔法技術 』 を合わせても、ヴォイドを無から産みだせはしないハズ。
きっと誰か。
『 魔王 』 や 『 英雄 』 のように、ヴォイド使いの 『 誰か 』 を利用したんだろうな。
しかも、彼等が協力的だったとは限らない。
無理矢理だった可能性が───
「か、幹太!」
「んぁ?」
「き、貴族と『反』が・・!」
彩佳の慌てる声に、『反』等の方を見ると・・。
「「が・・ガボッ・・ごぱっ!?」」
「・・・・っ」
『反』が、貴族を食っていた。




