51『大ダメージ。』
「───ぐ──ぐか───か、かかがか───・・・・ッッ!?」
・・ん? どうしたんだ?
妹に、颯太に会うため・・我が奥様である彩佳とともに旅をしていた途中、訳分からん敵に襲われたワケだが───
もう半日以上、ヴォイド使いである敵に魔力を送り続けた結果・・敵の様子が、『反』の様子が変わったぞ?
トイレか? トイレなんだろう?
俺もそろそろヤバいから、一旦休憩しませんか?
「───ご──ごがかっ─がかぁか、かか───」
「・・?
ど、どうした? 『反』よ!?」
『反』と共に表れた貴族も、随分テンパってらっしゃる。
小刻みに震えながら・・呻き声をあげている『反』。
───大きい方で在れ。
「幹太!
何が有ったの!?」
「いや・・ちょい分からん。
彩佳の方で、何か分かんないか?」
「アンタが分かんなくて、アタシに・・あ」
何か思いついたらしい彩佳に、「 どした? 」 と聞く前に───
「ごボォボボぅエろろロロロ・・!?」
「ぎゃあ!?」
突然、『反』が血ヘドをはく。 大量。 くっさい。
あ、隣に居るハズの彩佳を見ると・・メッチャ距離を取ってた。
「83年前、体内の 『 扉 』 が閉じた【 オウゾク 】が・・血ィごぱって、そんな感じで吐いたから~!」
「・・・・」
終わって、共に御風呂に入ったら・・覚悟せよ。
弱点は知り尽くしているんだ。
堪能しまくってやる。
( 俺の弱点も知り尽くされているから、負けるのは俺だけど。)
「と、扉が閉じただと!?
て・・てて、適当を言うな───」
「───ごっ、ごぽ──ぽ───」
んん? ・・んんんー??
そういや血を吐くコイツからは、さっきまで感じていた 『 薄氷の上を渡る感覚 』 が・・どんどん無くなってきているなあ。
コレが 『 体内の扉が閉じてゆく 』 感じか。
83年前は・・【 レッサーハウンド 】のトラウマに囚われてて、よく分からなかったからな。
何故、突然 『 こう 』 成ったかは分からんが───
「───取敢ず・・消えろ、時代遅れの老害!
全力全開・異世界物質迎撃魔法オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっっ!!!!」
「─────────ッ・・」
『 魔力 』 の 『反』 が。
『 魔法使い 』 の 『反』 が。
『 魔力世界 』 の 『反』 が。
『 俺 』 の 『反』 が。
ヴォイドの塊である 『 生き物モドキ 』 を構成する全てが・・次々と消えてゆく。
『 世界 』 にこびりついた 『 シミ 』 が、剥がれ・・消えてゆく。




