42『アホと天才 ( 災 ) は紙一重。』
お昼ー。 屋上でお弁当ー。
ちょっと一人に成りたかったからねー。
タコさんウインナーは正義!
「いやー、人妻だというのにモテモテ過ぎて・・ヨーは罪づくりな女ー」
≪君は、時代が時代なら 『 英雄 』 に成れる逸材だからな≫
「照れちゃいますなあー♡」
どの教科も、ヨーは100点満点!
計算も簡単だし、世界中の【人土】達のリーダーたる旦那様と一緒だから世界中の言葉も喋れるんだよー。
( 消滅した国の言葉は、国と一緒に消滅しちゃったけどねー。)
運動も得意だしー。
身体強化魔法無しで、鉄棒の大車輪を決めたら・・色んな運動部から勧誘受けちゃったぞー。
「───でも・・チホちゃんと、仲良くなれないなー」
≪彼女はまだ、マフィアの影響を完全には受けていないようだ≫
「感情レーダーでも、善意が見えるしねー」
≪善意は人を殺せる。
そちらはあまり、頼りにしない方が良いな≫
「世知辛いねー」
≪それが奴等の手でもある。
少女達本人は、善行をしているつもりなのだから≫
チホちゃんは、暫くしたら戻ってきた。 でも授業が終わったら、サッとどっかに行くんだよー。
だから、ちゃんと話せてない。
「マフィアの方はどうなってるのかなー?」
≪【人土】が24時間体制で監視しているよ。 だが、まだ拘束はしない。 泳がして、情報が欲しいらしい≫
「チホちゃんの家族はー?」
≪本人達は、ミチヨの旦那の母国で平穏に暮らしているようだ。
・・が、チホ視点からは人質に取られている可能性は否定できない≫
マフィアをヤッつけるのは、さいしゅーしゅだん・・って訳かー。
魔法使いの目を持ってしても、難しーみたいだねー。
「ヴォイド? だっけ?
いま幹大ちゃんを苦戦させてる機械とチホちゃんが、どんな関係か調べる方が先かなー」
≪・・・・≫
「あれ? チイちゃーん?
他のみんなー?」
アタシが 『 ヴォイド 』 って言った途端、みんな黙っちゃった。
んんー?
≪・・ヨー、君の旦那も言っているだろう? 魔法使いにとって、ヴォイドは危険だ。
近付くのは賛成できない≫
「で、でも幹大ちゃんは 「 いざという時は、俺が何とかするから手伝ってくれ 」 ってー・・」
≪飽くまでも 『 いざという時 』 は、だ。
今はまだ、その時では無い≫
「う、うん・・」
・・どうしたんだろー?
なんか、今までとフンイキ違うなー・・。
「・・ん? あ、チホちゃんはっけーん!」
校舎裏・・焼却炉だっけ? 魔法が使えない人用のゴミを焼くとこで、誰かと遊んでるー。
・・むー、アタシとは遊んでくれなかったのにー。
≪ヨー、四階校舎から飛び降りてはいけないぞ。
一応、魔法使いである事を隠してはいるんだから≫
「はーい!」
てなワケで、校舎内をイッキ降り。
たぶん金メダリストもビックリなスピードは出てないハズー。
「チーホちゃん、遊ぼー!」
「ヨー!? あんた、こんなトコまで・・!?」
「おっ? 噂の転校生か?
スゲェ可愛いじゃん」
「なに? チホ、こんな娘と仲良くなったんなら・・ちゃんとオレ等に報告しなきゃ駄目っしょ?」
「違っ・・私はこんな奴と仲良くなんかなってないわ!
寧ろ、邪魔よ・・!」
むーん・・今までお母さんも、旦那様も、幹大ちゃんたち秋原家の人も、お屋敷のメイドさんたちも、みんな優しかったからねー・・ちょっとヨーのハートはブロークン。
ををっ、カッコいい!
「ほーほー、邪魔・・ね。
ならオレ等が、転校生を良い所に隔離しといてヤんよ」
「なっ・・!?」
「ホラホラ、悪い娘はアッチに行こうねぇ」
チホちゃんと一緒にいた四人の男の子が、アタシの肩に手をまわす。
うー・・旦那様以外の男の人にこんな───・・悪い娘ー??
「ヨーは悪い娘じゃないよー?」
「ウルセェなあ、良いから黙って付いてこいっ!」
痛っ!
なんか、強く引っ張られた。
ど、どうしよー!?
魔法使いってバレたら駄目だから、魔法は駄目だし・・そもそも、怪我させたらカワイソーだし・・。
「ちょっと!? その娘は私と関係無いって言ったでしょ!?」
「っせえな! もう、んな事どうでもイイんだよっ!」
あっ・・チホちゃんが叩かれて───
「う、ううぅ・・うわああぁーーん!!!」
「うをっ!? なんだコイツ!?」
「へっ、ソイツも一発ケリ入れりゃあ大人しく・・ぐほっ!?」
「なんつう怪力だ・・そういや、転校生が体育でメチャ凄かったとか噂が・・」
「ちっ・・覚えてろよ!?」
男の子たちは去っていった。
でも・・でも・・・・。
「うわああああぁああん!
チホちゃんが・・チホちゃんがあ・・!?」
「───ヨー・・?
・・ハア、私は大丈夫だから」
「ホント!? ホントに!?」
「ホントにホントよ・・。
・・ハア、私ってこうゆうお人好しに好かれるタイプだったのね・・」
なんかチホちゃんが困った顔で、「 私にそんな資格は無いっていうのに・・ 」 とか、よくわかんない事を言ってたけど・・アタシでもチホちゃんを助けられて良かったー。




