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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
番外編・2
502/547

37『悪夢きたりて。』

 

【銀星王国】の探査システム局の協力要請で、ボク達は海を越えて他大陸へとやってきたよ。




「やっぱり自分自身に超長距離遠隔操作魔法ブイツーロケットを掛けると楽だね、信太兄ちゃん」


「仁一郎爺ちゃんと源太ちゃんが空はダメだから、この手段で家族旅行は無理だけど」


「あやママもクワガタの来れる距離じゃ無いだろ、信太兄ちゃん、恵太兄ちゃん」




文明のブレイクスルーを安易に起こすべきじゃ無い───と判断したママ達や【人土】達により、未だこの世界に空を飛ぶ乗物はないんだよね。


・・ん?

なんか、向こうから魔力が飛んできた。

風魔法かな?

毒やウィルスを乗せた魔法・・じゃなくて、コレは───




≪・・何をしに来た?

英雄ヨランギの直系を名乗る、【銀星王国】の豚どもめ≫




「ナニこれ? 声? 誰だろ?」


「・・ああ、【黒剣教国】の声魔法だね」




ココは上空4000m。

周囲に誰も居ないのに、声がしたよ。




「≪ 君、だぁれ? ≫」


≪ぬぉ!?≫




声を掛けてきたから御返事してあげたのに・・何でか、慌てた声が聞こえてきたね。

「 何故ヤツ等がこの大儀式魔法を使える!? 」 とか何とか騒いでいるよ。


・・こんなの、ただ声を風に乗っけるだけの魔法だからねえ。




「≪この魔法は、かんママが83年前に作った魔法だよ≫」


≪て、適当を言うな!?

・・そうか、我等から秘奥を盗んだのだな!?

神に選ばれし英雄の言葉から耳を塞ぐ、不届きなる【銀星王国】の犬めが!≫


「英雄?」


「恵太兄ちゃん、ココ(黒剣教国)も【旧・銀星王国】と同じでヨランギの子孫が作った国だぜ。

確か、どっちが直系かで戦争してたんだ」


「本当かい、甚太?

やっぱり他国って馬鹿ばっかりだなあ」


「噂だと、未だにヨランギの事を信じてて・・男尊女卑をやってんだ」


「「 うわ・・ 」」




家族仲間以外に興味ないボク達だけど・・ソレでも80年前の、ボク達が生まれる前の話を聞くと───男尊女卑をするヤツ等が馬鹿馬鹿しく思えるよ。




「≪えーっと・・ボク達は男尊女卑を許さないから。

女性たちを開放してよ≫」


≪女ぁ? 女だと!?

英雄の言葉も知らぬ不徳の豚が!≫


「英雄・・ねえ」


≪英雄は申された!

女は汚らわしいモノ(・・)だと!≫


「≪ヨランギの言葉は全部、終わった事だよ。 ウィン(空の口)さんは今───≫」


≪【銀星王国】の豚が、言うに事欠き・・もうよい、尋問も必要ない!

国防陣・・展開!!!≫


「国防陣?」


「あ、信太兄ちゃん、アレじゃね?」


「ん? あー・・無意味なのになあ」




【黒剣教国】から、かんママの非爆発型貫通魔法スナイパーライフルみたいな魔法が沢山きたよ。

・・たった4000mぽっちが届いてないけどね。

───仕方ないなあ。




「≪非人道的な、【黒剣教国】に告げるよ。

国際法により、不当な男尊女卑は禁止されているんだ。 貴国は法を犯している。

直ちに国内の女性を開放し……≫」


≪汚らわしき神の怨敵が、国内に居る訳ないだろう!?

ヤツ等は収容所で生涯、子を産むだけの───≫




非爆発型貫通魔法スナイパーライフルは・・こう打つんだよ!」


「あっ、こら恵太!?」




あー・・恵太がやっちゃたよ・・。

【黒剣教国】のお城の上の方を消しさっちゃった。




「恵太、一応バツね。

寄生虫探査魔法で、収容所ってのを探して」


「ご、ごめんなさい。

アイツ等が、あんまりにもクズだったから・・・・・・南に12km、それらしき反応があったよ」


「甚太、探査システム局からの依頼目標は?」


「えーっと・・信太兄ちゃん、アッチに有ったぜ。

『 歪み 』 だ」




全力・(フル・)防壁魔法トーチカ

コレ以上、吐き気のする雑音は耳に入れたくない。

『 声 』 は、「 城破級 」 がどうこうって騒いでたけど無視。

どーせ、もうすぐ静かになる(・・・・・)しね。




「じゃあ行こうか」



◆◆◆



「うわっ・・!?」


「じ、地震か!?」


「「「 お邪魔しまーす 」」」


「あ?」




収容所って所に到着。

・・・・・・・・うわあ。


よく羅佳ちゃんがボク達の事を、「 なんちゃって幼児 」 って呼ぶけど・・こうゆうの(・・・・・)を見ちゃうと、大人に成りたくないって思っちゃうよね。




指向性面制圧魔法クレイモア、弾丸特種指定(・・・・)バージョン」




大人の男の人達(・・・・・・・)が、僕達の入ってきた入口から出ていくよ。

出て行く時だけ皆揃ってて、御行儀が良い(・・・・・・)ね。




「ごめんなさい」


「・・・・」




ボク達に感謝の目を向ける人も。

ボク達を憎悪の目で見る人も。

虚ろな目の人も。


取敢ず収容所を持ち上げ(・・・・)つつ、『 清潔な建物 』 に変え 『 菌糸で作った綺麗な布 』 と 『 御風呂 』 を用意する。

ボク達は、かんママ程トラウマを癒す魔法は得意じゃ無いしね。



◆◆◆



「───ん?」


「信太兄ちゃん、アレって・・」


「歪み、だね。

しかもトンでもない大きさだなあ」




()・収容所を浮かべ、【黒剣教国】の外れに来たボク達は・・魔力とヴォイドがぶつかり起こる 『 歪み 』 を確認したよ。

今まで、歪みってのを映像でしか見たこと無かったけど間違い無い。




「恵太兄ちゃん、あの歪みの真ん中・・何か、機械が見えないか?」


「んー・・? あ、ホントだ。

・・【黒剣教国】って、異世界にほんと何か取引あったっけ?」


「リャター商会もパラヤン商会も、会長が女の人(・・・)だからね・・。

まず有り得ないかな」




つまり、あの機械は不正組織の物だよ。

『旧世代』と関係あるか・・は、現時点じゃあ分かんないな。




「よぉし・・恵太、『 彼女達 』 をお願い。

甚太、『 合体技 』 をやろう」


「『 合体技 』 かぁ・・みんなに怒られないか?」


「・・今更だよ。

かんママが寝ている間、みんな経済とかの方にばっか気にするようになったんだ。

だから【黒剣教国】なんて───」




ボク達は、魔力を火球に込める。

うんと、うぅぅんと───




「かんママのと比べたら、多少ちっちゃいとは言え・・この程度の誤差は」


「じゃあ、いくよ」




ボク達は、超長距離遠隔操作魔法ブイツーロケットを解く。

地上へと落下しつつ、大きな火球を産む。




「「「 ───(ダブル)()全力・(フル・)極大爆発魔法バンカーバスターっ! 」」」




かんママの極大爆発魔法バンカーバスターは、颯太さんに投げてもらわなきゃいけない。


けどボクたちは上空で極大爆発魔法バンカーバスターを生成。

そのまま落とす。




「【黒剣教国】・・もう、要らないかな」




着弾する前に、自分達に超長距離遠隔操作魔法ブイツーロケットを掛け直して離脱。 遥か後方、全てを飲み込む轟音だけが響く。

 

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