50『様々な視点・特別編④ 全三話で終えられるからって特別編を始めたド素人が居たんですよ~。 な~に~!? やっちまったなぁ!!』
「魔物を操る・・組織───」
とある山奥。
一人の男が息を殺し、佇む。
殺意を圧し殺し、佇む。
黒髪に浅黒い肌・・30代後半の戦士が佇む。
「ゲンタ・・来るのか───」
◆◆◆
・・男臭いのう・・。
盗賊団アジト、ダミーを含め全18箇所を同時に攻めるため、人数が必要じゃった。
しかも『村破級』がどれ程おるんか分からん。
なんで、多数の『対、村破級』傭兵団を傘下に持つ、世界に10組も居らんらしい『対、街破級』───
ペリオラ傭兵団1800人が呼ばれたそうじゃ。
「よう、誰かが呼んだ娼婦かあ?
ぐへへででで痛でッッ・・は、離せ!?」
・・今までの経験上、自分をしっかり持っとる男はあんまり差別的ではないんじゃがの・・ 「離せよ・・殴・・っ」。
ま、こんだけ居ったら馬鹿も混ざるか「分かっ・・謝るから・・!」。
よう見たらアチコチで詰まらん喧嘩をしよる馬鹿が居るな 「ゴメ・・」。
『静粛に』
───ほう・・?
一声で喧騒を止めよったか 「・・(ブクブク)」。
舞台上に獅子の鬣の如き髪形の、2mを超える筋肉大男。
団長かの?
マイクなんぞ無く、叫んだ訳でも無いのに、地声だけで会場の隅々まで声を届かせおった。
かりすま、っちゅうヤツか。
横の男も大した使い手の筈じゃが・・霞んどる。
魔法使いではないが、『お~ら』みたいなんが見えよるわ。
・・前も一度見たの。
ああ、国境の村で孫を・・まあエエか。
◆◆◆
「スミマセン」
「うん?
ああ、霞んどった方か」
ソコにはさっきの筋肉の横の男。
・・こっちは魔法使いじゃな。
「霞ん・・まあ、当たってますけどね。
ペリオラ傭兵団・副団長アッドといいます」
「何用じゃ?」
「貴女が単独で『村破級』を撃破した方ですか・・まさかこんな美しい人だったとは」
「魔法使い同士、おべんちゃらに意味は無かろう。
さっさと用件を言え」
「・・ですね。
貴女には19箇所目を攻めて貰いたいのです」
「うん?」
「此処は、直前に見つかった拠点でして・・。
団長や私は既に決まっている作戦の指揮で手一杯ですから。
量を送るより質を送った方が良いかと」
「まあ、儂も『多 対 多』より『個 対 多』の方が得意じゃし、あまり目立つんは好まんでの。
良かろう、引き受けた」
◆◆◆
「此処が19箇所目か」
とある山奥。
洞窟が見えよる。
成程、大した魔気じゃの。
さて、下手にああだこうだと悩むよりさっさと行くかの。
「ぎゃあっ!」「ぐへっ!」「誰・・!」「行けっ【カーシー】【ノズチ】【アルラウネ】【ワイバーン】!」
狭い洞窟の中に出るわ出るわ、盗賊共と魔物共。
こりゃ人数が来てもその利を活かせなんだろうの。
「くっ・・上手いこと連携しよる・・!」
犬ッコロの気色悪い声で攪乱され、草女が踊ると辺りの草葉が手足に絡み、地下から毛玉が空中から鳥擬きが体当たりを繰り出しよる。
やっと動きの遅い草女のヤツの首を落とし、地中から体当たりしてきた毛玉の攻撃をあえて受け止めて犬ッコロにブン投げる。
残った鳥擬きは、毛玉が掘り起こした地中の岩を蹴飛ばし撃ち落とす。
「ふぅー・・コレで終わりかの」
「まだだぜ」
「うん?
・・御主は」
ソコに居ったんは、黒髪に浅黒い肌の30代後半の戦士。
「──ザラクス殿・・」
次回で・・次回で終わらせます!




