5『本来の意味の魔法使い。』
俺は魔法が使える・・!
俺は魔法使い・・・・!!
体内の血液がすべて、魔力へと変化し・・血管を通して両腕に集まり、炎へと変換するイメージ!
「転移モノのォ・・魔法は大概ィィ・・イメージの力でェェェ・・魔法を打ち出ぁぁぁぁぁぁぁすっっ・・・!!!!」
熱い。
腕が焼けている。
手の平はもう痛すぎて何が何だか分からない。
でも、それは───予想が当たった証だ!
・・行くっ!
「ファイヤァァーーーッ!!」
『 ゴゥンッッ!!! 』
炎が、出た・・!
敢えて言うなら、俺の手から生えた炎の蛇を操る感じか?
腕回りの炎や熱を操れて無いんで、火傷しているらしい。
その分、火力は充分。
どんなに避けようと・・追いつき追いつめ、大柄犬ゴリラを焼き尽くす!
『グオァァ───!?』
「次はオマ・・エ・・・・?」
小柄の犬ゴリラも焼こうとして・・全身からチカラが抜けて動けなくなる。
魔力切れってヤツか!?
一方、颯太も互角・・とは言い難い。
秋原流甲冑柔術に、蹴技が無い ( 歩法のみ ) せいで攻め手に欠けている。
この手の作品を見たことが無い颯太に、下手なイメージを植えたら・・かえって魔法が使えなくなるかもしれない。
けど歩法だけじゃあ決定力が無いし・・消耗戦になれば、直にヤラれる。
・・せめて武器があと一つ欲しい。
「そ、颯太・・!
『足』のチカラは『手』でも使えるんだ!」
「えっ? えーと・・?」
やっぱり精細を欠いてきたか?
手の攻撃が微かに通用し始めた分、足の動きが悪くなる。
「『チートシューズ』と『チートグローブ』をはめたイメージだ!
後は、さっきの走りと普段の鍛練だけ考えろ!」
颯太は真面目で真っ直ぐだ。
才能もある。
俺みたいな、ヒネた発想は出来無くとも、鍛練で得たモノがある。
「ココは道場・・ココは道場・・!」
秋原流甲冑柔術と、先程の走りと、敵を弾く腕が、徐々に融合してゆき・・新たなる武術を産み出す!
「ぜいやああぁッッ!!!!」
颯太の十倍はあろう体重の犬ゴリラの、頭と足の位置が竜巻に巻き込まれたかの如く引っくり反り───そのまま両者の全体重が脛椎にかかるよう、犬ゴリラの首に肘を押し当てて投げ落とす。
前に父さんが息を飲んだ動き。
源太爺ちゃんはその日の夜、泣いていた。
俺は・・アレを見て己の才能の無さに気づいた。
「幹太兄ちゃん、やった・・よ・・・」
「ははっ・・しんどい、だろ?
多分魔力切れ・・MP:0ってヤツだ」
「僕達、魔法使い・・?」
「うーん、かもなあ」
酷く疲れながらも、御互いの戦果に笑いあっていると───
『『『・・オンナァ・・・!!』』』
───最悪の『声』が聞こえた。