34『母親の栄養信仰なみに。』
「客人がた、此方へどうぞ」
「わあ・・凄い御馳走!」
「この村の料理人は、料理の腕はモチロン・・全員、付与魔法の使い手ですので体力回復効果もバッチリですよ」
久喜さんのお母さんが助けた、300人の魔法使いの子孫で溢れる【連合】の村。
【ジート砦】での連戦の疲れを癒すために料理屋に連れて来られたんだけど・・。
「付与魔法?」
「コレも女王が広めたんだぜ」
「また女王様ですか・・」
女王様に 『 魔法の母 』 って別名が有るのは聞いた事が有るけど、ソレは単に魔力が多いから・・だと思っていた。
けど、数々の新魔法を産み出したから・・かもしれないな。
「あっ。
先輩、美味しいですね」
「ソレに体力が、凄い勢いで回復しているのが分かるぞ」
「魔力も回復していってるわ!?」
最低三日は残るであろう疲れが、殆んど取れちゃったよ。
凄いなあ。
他にもこれだけ魔法使いが多いと空気中の魔力が濃くなり、一時的に身体強化魔法も強くなるらしい。
「女王が魔力付与料理の練習に、オレの従兄弟を使ったんだが・・最終的には、大嫌いなイスカンダルをパクついてたなあ」
「異世界でいう、ピーマンですか。
僕も苦いのは苦手なんだけど・・」
「ゼレバ、旅人の主食を食えずに傭兵には成れないぞ」
今はカ○リーメイトやレトルト食品が有るんだから、昔ほど旅の食事に野草を頼らなくても良いのにな。
先輩も教師も、結構イスカンダル信仰が凄いって言うか。
「・・懐かしいな」
「はい?」
「女王が魔力付与の練習をしている時・・その従兄弟も、爺さんに同じ事を言われて怒られていたんだ」
「へー」
クジャラさんは懐かしむ顔。
・・だけど、少し哀しそうな顔。
「その、従兄弟さんは?」
「老衰死を選んだ」
「そう・・ですか」
「実は、女王と従兄弟は・・相思相愛だったんだよ」
「えっ!?」
「女王は魔王討伐の最後、色々あって80年眠ったワケだが・・」
「そ、そうだったんですか!?」
とにかく、表舞台に現れない御方だからな・・。
御自分が女王と知らない事とか含め、影武者も多くて謎が多い人なんだけど・・。
「ジキアも・・ひょっとしたらディッポ団長でさえ・・・・幹太ちゃんが眠りさえしなきゃ、今も───」
『クジャラ』
2000年生きた・・という『三者を越えし者』さんが、複雑そうな表情でクジャラさんに声を掛ける。
100年以上生きるっていうのは・・そうゆう事なのかな。
「・・と、たらればを言ってもしょうが無い。
みんな、疲れは取れたか?」
「はい」
「ああ」
「魔力もバッチリです!」
「じゃあ行こうか」
クジャラさんが気を引き締めて、号令。
羅佳様の元へ。
「羅佳さん、アンタが一番魔力を消費しているハズなんだが・・」
「この身体は魔力回復能力も高い。
数10分ほど寝ただけで大部回復した」
「す、凄いですね・・アタシ30000人分くらいの魔力は消費してたハズなんですけど」
「所詮、母から得た魔力だよ。
・・では行こうか。
目的地の森はもう直ぐだ」
「森?」
「私の母は、元日本人なんです」
「ああ、久喜さんの名前が」
「その母が、日本から転移してきた森・・ソコが目的地です」
「ソコぁ・・世界の壁が弛いね?」
「おそらく」




