33『温い恋愛要素。』
「ゼェ・・ゼェ・・。
こ、この村が目的地ですか?」
「『旧世代』の起こした異変は更に先に成りますが」
久喜さんの案内で、とある村へ。
【連合】は【銀星王国】と比べ、かなり複雑な地形なので人間が通れる道はかなり限定されるとの事。
「だから、スピードが出せる」
『そう』・・言った羅佳様は、御自宅( ? )の歩行スピードを上げた。
慣性制御を完璧にこなされていたので、内蔵とか肉体的ダメージは無い。
・・けど、心は───ね。
たぶんだけど景色が歪んで見えるスピードって、軽く死ねるスピードだと思うんだ。
「ゼレバさん・・でしたか。
大丈夫ですか?」
「あ、あはは・・大丈夫ですよ」
久喜さんがヘタり込む僕達を気付かってくれる。
綺麗だし優しいし・・。
「素敵な人よね、久喜さん」
「・・うん」
「美人よね、久喜さん」
「・・うん」
「ゼレバ君・・あーゆー人が好みなの?」
「・・うん」
「・・ふーん、そっかぁ」
ん?
僕は、何て言ったんだっけ?
・・あれ?
リリちゃんが・・なんか不機嫌になってる?
り、リリちゃーん・・?
◆◆◆
「こ、この村・・魔法使いの比率が凄く高いですね」
僕は魔法使いじゃない。
けど・・村人のほぼ全員がライター感覚で火を出したり、簡単に魔法を使うサマを見るとね。
「ココは・・80年前私の母が、拐われた300人の魔法使いを保護した村なんです」
「さ、300人!?」
「彼等の子や孫が繁栄した村という訳です」
「はあ・・」
おそらく、一人一人はそう大した事ない。
けど数が数だ。
魔法使いは嘘を見抜けたり汚水から綺麗な水を作ったり・・悪い奴に狙われるケースもある。
「ですから、私の名において【人狼】の里と取引するついでに【人狼】の一部を監視に常備させています」
「そ、そんな権限が在る久喜さんは・・」
「【半人狼】で・・【人狼の巫女】をヤらせて貰っています」
「【人狼の巫女】・・」




