表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
番外編・2
494/547

29『呑気な人たちは、箱を飾ってお祭りしようとか言ってました。』

 

「ぅお・・おお・・っ!」


「むう・・!」




幹太の魔力と『アンチ』のヴォイドは一進一退・・だいたい釣り合っている、そんな感じね。


全身の半分以上が【人土】たちの【スライム細胞】である幹太は、魂のセーフティーを 『 ほぼ 』 外しても肉体の崩壊はしなくなったわ。

( 魔力だけで魔女の魂を再現する・・なんて馬鹿をヤらない限り。)


その、幹太とタメを張る『アンチ』・・。

元々はザコ傭兵だったって事は、【源・人土】だというのを考慮しても・・有り得無いハズよ。


絶っっ対にナニか、裏が有るわよね。




「・・さて、と。

アタシは相変わらず魔法は苦手で、魔力譲渡で幹太を手伝えないし?

オジサン、お話しましょうか」


「良いでしょう」


「オジサンは二千年間、安寧の歴史を紡ぎ続けて・・83年に幹太───ってか、アタシ達魔王討伐隊に潰された組織って話で合ってるかしら?」


「ええ」


「もしかして・・貴族?」


「・・ええ」


「文化が違うんだから、何を言っても『 押し付け 』に聞こえちゃうんでしょうけど・・決して貴方方の生活規準を落とすモノでは無いハズだけど?」




潰した組織。

貴族。

元々の貴族ってのは・・歴代の、王に成れなかった王位継承権の所有者たちの事。


ただ・・【空の口】を自分勝手な理由で利用していた王族としては、強い魔法使いが減るのは困るらしいから 『 貴族 』 として贅沢させる権利だけは渡していたって訳ね。


もう【空の口】も魔女たちも人間への恨みは ( そんなには ) 抱いてないし・・諸悪の根源の王族は『 ほぼ 』全員処刑したし・・。

( 王? だれ? アタシ知らな~い。

今のお城の地下深くに、独りでに呻く『 箱 』が有るそうだけど。)


・・だから正直、現代に貴族なんて要らないのよね。


そりや、アスェベタ家みたいに『 ノブレス・オブリージュ 』を意識してる貴族も居ない訳じゃないから・・汚職の出来ない県知事みたいな仕事をさせてるわ。


そういった貴族は寧ろ、身の潔白を証明でき・・尚且つ、民にお金が回る事を喜んでいたけど・・。


生前のディッポさんやガロスの体験談や意見は大いに役立ったわね。




「真に押し付けですな。

今の平和など所詮みせかけ、至る所に歪みは在ります。

嘗ての貴族社会でも、世は回っていたのだから」




みんな神様のおかげ、世は全て事もなし・・って?


・・そういや、宗教も潰れた組織 ( 正確には 『 国破級かみサマ 』 よか強い 『 星破級てんねんサマ 』 に説得力を失っただけ。) よね。




「歪み?」


「貴方方に救われてなどいない者。

貴方方に敵認定された者。

貴方方の『アンチ』の事ですよ」


「・・・・」


「・・グウの音も出ませんか?」


「そうよ、そうだわ」


「・・?」


「なんで、ちょっと魔法使いが産まれないだけで 『 血継断絶 』 なんてヤる 『 魔力至上主義 』 の貴族が・・魔力の真逆、ヴォイドなんか使ってんのかしら?」


「・・・・」




ディッポさんの子供の頃のエピソード───


元貴族だったのが・・ジキアが産まれるまで一切魔法使いが産まれなくなって、貴族の資格を剥奪された話・・。


アレを考えると・・貴族にとってヴォイドは、ある意味アタシ達よか危険な敵のハズ。


貴族が無表情になる。

・・だけど、感情レーダー魔法で沸々と憎悪が沸き出ているのが分かるわ。




ヴォイド世界(ちきゅう)の政治家連中と繋がりが有るのは見え見えだったけど・・現状、地球の技術が大きすぎない?

コレ・・例えアンタ達が勝ったとしても、次は政治家に負けるわよ」


「・・・・。

・・フッ、面倒くさい小娘です。

闘争レベルの低い国の政治家どもとは違う」


「別にアタシ、頭も良くないし良い学校出てないし」


「敵に対する嗅覚、とでも言いますか・・保身と敵対は違う、という話ですよ」




ヨトーガヤトーガって言わなくなったら次は、マホーガとか・・言ってそうよね。




「危機に陥った時・・自らの危機を省みず、敵に刃を向けられるか。

ソレとも保身に走り、安全策しか取れないか・・となった時、我等は前者を選びました」


「劇毒すぎない?」




貴族社会の崩壊から脱するために、毒を食らわば皿まで精神・・って訳よね。




「まず、我等は藁にも掴む思いで 『 扉魔法 』 の再現を目指しました」


「戦力集め?」


「当時は、在りもしない幻想にすがるようなモノでしたが・・扉魔法は制御が難しいだけで魔力は差ほど要らぬと知った我等は無我夢中で研究しました」


「よーやるわ」


「結果・・同じ事を、科学のチカラでやっていた地球側と繋がります」


「一度は失敗して・・多数の死者も出たっていうから研究所、研究データ、研究者、全部没収して【人茸化】させたんだけど・・まだ生き残ってたのね」


「秋原 幹太にくし! 目的は同じ!

共に戦おう・・となった迄は良かったのですが・・」




アッチ(ちきゅう側)の、志が低すぎた・・と。




「ですが、ソレ以外の出会いも有りました」


「『アンチ』・・」


「ええ。

科学のチカラで、 『 彼等 』 に脳波とか言うモノを検知したと聞いた我等は・・様々な 『 医療行為 』 を施します」


「( 山柄さん達が、【スライム】にいろんな実験してたって知っているから・・あんま、悪口言えないのよね )」


「そして、彼等の体内で 『 扉 』 を開いた時・・『アンチ』は再誕しました」


「た、体内で扉・・!?」




嫌ぁ~な事思いだすフレーズね・・。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ