26『50:50で。』
「───あ、ああ・・あき・・は・・ら・・・・かん、たァ・・・・!!」
アレが、地球人じゃない俺の知り合い・・ねえ?
『シミ』に知り合いは居ないなあ。
アレは、人間にしてヴォイドそのものらしいが・・なんのこっちゃ。
「コッチで知った人間は───」
敵には皆・・死か、【人茸化キノコ】を与えた。
仲間は 『 俺の世界 』 に居るか───
・・・・・・・・・・・・・・・・時の流れに身を任せた、か。
・・・・。
「───幹太」
「っと、彩佳・・済まん。
一瞬、ボーっとしてた」
「・・・・。
大丈夫だから」
彩佳は、一言ソレだけを言うと・・プイッと視線を逸らす。
・・ああ。
だから俺は、子供の頃から彩佳から離れたく無いんだなあ。
「・・ん。 俺も大丈夫だ。
先ずは『反』だな」
「ええ」
取敢ず石を飛ばしてみる。
石を『飛ばす』のは魔法だけど、石そのものは天然モノだし『強化』もしない。
「全力・非爆発型貫通魔法!」
石は、『反』に近付た途端失速し・・惰性で飛んだ石は『反』の身体に届くことなく落ちる。
強い魔力に反応しているのかもしれないので、一応・・小半半力バージョンも放つが、似た結果だった。
「ヴォイドの濃度だけなら・・【空の口】やヨランギよか濃いぞ」
「元・地球人。
その息子。
その子孫・・基本今までの敵って、魔法とヴォイドを同時に使う奴ばっかだったわよね」
「ああ・・だけど『反』とやらからは、魔力が一切感じられない」
世界が魔力で溢れる、この世界。
あまりに高濃度のヴォイドに、空間そのものが侵食され・・『世界のシミ』に見えているっぽいな。
「ヒント・・上げましょうかあ?」
「嬉しそうだな・・誰だよ?」
「んふっふっふ~!」
俺が、ナゾナゾ勝負じゃ在るまいし普通に聞いたら・・何故か『 してやったり 』顔をするオッサン。
情報収集は当たり前、聞いたら負け・・とは違う。
ココで聞かない奴は傭兵じゃない。
現場の考え方とは違うなあ。
なんつーか・・結果だけが書かれた書類だけを見て全てを知った気になるタイプなのかね。
「『男』ですよ。
貴女と・・不思議な『縁』のあるね」
「不思議な縁・・」
ずっと、気になっていた事は有った。
『反』とは───
『魔力パス』のような・・ソレとは、真『反』対の、別のナニかのような・・。
とにかく、よく分からない繋がりを感じている。
しかも、コレは・・かなり強制力のある繋がり。
家族や仲間と『心』が繋げようとするモノじゃなく、もっと根本・・『本能』が繋げようとするモノ。
本能・・。
「・・まさか」
「んふっ♡」
青冷める俺に、オッサンが微笑み・・彩佳が狼狽える。
「わ、分かったの?」
「ぱ、パスの観点からだけで言ったら・・【巫女】が本能で繋ぎたくなる存在───まさか『反』は、【人土】!?」
「んふっふっふ~、半分正解です」
「半分・・?」
「まさかアンタ等の中の誰かと、【人土】が結婚して・・その子供とか!?」
結婚という言葉は使いつつ・・結婚以外の方法しか、連想できないな。
「彼は、違いますねえ。
【人土】の先祖は・・元々、【スライム】から這い出た人間だとか?」
「・・ああ」
「現代では起こり得難い現象だそうですが・・起こったのですよ。
我々の目の前でね」
【スライム】から這い出た人間・・【源・人土】?
『三者を越えし者』が言うにはは、彼等に自我は無かったらしいけど・・。




