22『超底の浅い、政治批判が有ります。』
アレは、俺を否定するモノ。
アレは、俺を反対するモノ。
アレは・・俺と『反』対なモノ。
「な・・ナニ、あれ」
「人間か・・魔物か───分からん」
空間のシミは・・人間『っぽい』形を作る。
なんと言えば良いか・・。
例えば、【ファフニール】は人型だけど・・なんか違う。
人間っぽい魔物というか。
魔物っぽい人間というか。
オッサンが、ニタリと笑う。
「貴女方とて、そうでしょう・・?
人間っぽい【スライム】。
人間っぽい【キノコ】───
人間のフリをする、化け物でしょうが?」
「「 ・・・・ 」」
俺は、魔王討伐の最終決戦で人間の肉体を半分以上失い・・残る肉体を【スライム】で補った。
ソレでも俺は、俺を、【スライム】では無く【人土】だと断言する。
俺に肉体を捧げた山柄さん達は・・再生した今、90%以上が【スライム】だけど───【人土】、人間だ。
彩佳は・・俺を救うため、自らのキノコに魔力と魂の全てを移した。
今の彩佳は・・そのキノコを彩佳自身の死体に寄生させ、再構成した肉体に魂を移動させた存在。
彩佳が彩佳に転生した・・が一番近いか。
彩佳も勿論【人茸】、人間だ。
ちなみに俺と彩佳・・お互いがお互いに交ざっていた時が有ったので、お互いにちょっとずつ【スライム細胞】と【キノコ】が交ざっている。
「俺は『秋原 幹太』という存在だ。
肉体が何で有ろうと、俺は『俺』だ」
「我思う、故にオマエの物は我の物ってヤツよね」
「ルネ デカルトが、剛田 武に成ってんぞ」
「あら?」
彩佳っぽいセリフでは有るけ───何でも無いスよ?
「ふん・・相変わらず巫山戯た事を。
───『反』よ!」
「『反』・・?」
人型のシミが・・俺達に近付く。
シミは・・本体? が移動した後も、空間に残り続ける。
アレが存在する限り、世界はシミに浸食されてゆく・・そう、思わせるな。
≪・・かん・・た・・ぁぁ!≫
「ぐっ」
ドラゴン○ールのスカウターなら、爆発しそうな程の・・感情レーダーで見える悪意。
コレは・・人間だ。
魔物が誰かを殺そうとしようと・・ソレは殺意であり、悪意とは程遠い。
強い悪意とは、人間だけが持つ最強の武器。
歴史をも殺す武器だ。
気持ち悪い。
怖い。
・・だけど。
「ただ、一つだけ言える事は───」
◆◆◆
「颯太婆ちゃん!
ロボットかな、コイツ等!?」
「敵・・には間違い無いねぇ」
僕たちの目の前には、機械人間? みたいなのが沢山居るよ。
何て言うのかな?
カーボン繊維だかナントカファイバーとかみたいなのと、肉体を融合させたような生物。
2m50cmぐらい。
銃とか、剣にもなる盾とか・・金属も身体にくっついているよ。
そんなのが50体。
悪意が、方々から見えるから・・未だ未だ、その辺りに隠れているねぇ。
〔 貴女の悪意が、正しき歴史を滅ぼした。
コレは歴史の修正力。
滅びよ、偽りの歴史よ! 〕
「偽りの歴史・・ねぇ」
目の前の生物から声がするけど・・スピーカーかな?
コイツ等の意思とは感じなかった。
別人の意思を感じたかな。
最初、僕たちが【人土】総本部跡地に近付いたらコイツ等がワサワサと現れて・・なんかエラソーな文言の前に、「 ヨトーガヤトーガ 」 とか言ってきた。
自衛隊の崖下さんが83年前・・政治家連中は、魔女や【ファフニール】の被害の責任転嫁にばっか頑張って───結果、被害が拡がったそう。
んで、当時の政治家たちは責任追及され・・今の日本の政治は【人土】が支配しているんだ。
・・たぶん、そうゆう事なんだろうねぇ。
「コイツ等、80年前の政治家なんだろ?」
「だねぇ」
「この前、『 オモシロ政治家大集合! 名言迷言失言集 』 って番組見たぜ。
魔女騒動の中、証人喚問で妻を呼ぶワケにはいきませんとか言ってた!」
【人土】は恐怖政治が無いとは言わないけど・・不透明なトコは無いし、福祉もシッカリ、【人花】や【人茸】の協力で国民の健康寿命を伸ばして・・質実剛健って言うのかな。
物凄くハデな生活は出来ないけど、誰もが不幸に成らない生活をしている。
( 犯罪者や昔の権力者以外。
今の時代、貧困層とヤクザは同意義。)
「僕たちを倒して・・古き良き日本を取り戻そう、ってワケかな?」
〔 ・・そうだ、フザけた政治を繰り返す愚か者め 〕
「えー? 前に小学校の作文で、タケちゃんとかミッちゃんが 『 御父さんの代まで授業料や給食費が必要だったのが信じられない、と爺さんが言ってました 』 とか読んでたしなー」
〔 政治も分からぬガキはクチ出しするな 〕
僕、その辺は【人土】の皆に丸投げだから分かんないよ。
「だけど、一つ言える事は───」
◆◆◆
「ただ、一つ言える事は───
オマエをブッ倒さないと、颯太に会えないっつう事だ」
◆◆◆
「だけど、一つ言える事は───
オマエ達を倒さなきゃ、幹太姉ちゃんに会えないってワケだね」
◆◆◆
「「 ───なら、ブッ倒してやるっ!! 」」




