21『魔法で空気に震動を与えて誤魔化したり、素晴らしき衝撃波を出したり。』
「我々は83年前、貴女方に潰された組織ですよ」
「83年前・・」
俺にとっては3年前だけどな。
3年前に潰した組織・・【空の口】の洗脳で潰れた組織・国は、少なくないけど・・。
「旧・傭兵ギルドじゃない?
傭兵っつう仕事に理想を抱きすぎてた幹太の為に、アンタが寝てた間に改革が進んでたじゃない」
傭兵ギルドは・・汚職・怠慢ギルド職員や、腐った傭兵を一掃した。
やったのは・・俺と颯太が初めて傭兵になった時の、傭兵ギルド受付さんが主体。
ウェスト傭兵団団長が協力という形。
この二人も理想主義で、其々の立場で持っていた不満を【銀星王国】乗っ取りを期に噴出。
色々と、改革したようだ。
アドバイザー【人土】。
「女学園もだいぶ変えちゃったけど、ソッチは了承の上だし」
孤児院は国の補助を。
女学園は・・かつてのリャター夫人は、女性の働き口先として『騎士団』か『リャター商会』の道しか教えられなかった。
そこで俺と颯太が女学園生徒たちに魔物・魔法使いとの戦い方を教える事で幾つかの道を見出だした。
【人土】とガッチリ繋がった後は、地球の教育システムを取り込み見直し・・職業選択の幅を増やしたり。
「ふん、随分と尊大なコトで。
御自分の罪も覚えていないのか」
「罪なあ・・」
【銀星王国】の各仕組みに、汚職 ( 種族の利より、個人の利 ) に興味の無い【人土】がくい込んでいる。
当時の、そうゆう人間は・・死刑 ( 死刑代表が、男尊女卑を薦めていた王族だな。) か【人茸化】したようだ。
全て、俺が眠っている間の出来事だけど・・全部、80年前に俺が語った理想論から起きた事象。
彼等全員の【巫女】となった以上、その文句は受けとめるつもりではある。
「だから、ドコのダレさん?」
「二千年間、安寧の歴史を紡ぎ続けた者だ!」
怒号と共に・・某さんが、指パッチンをする。
よく悪役が合図にするアレ。
俺、あれ・・スカるんだよなあ。
「───・・んー・・???」
「どしたの、幹太?
疲れた?」
「いや、アッチからなんか・・魔力パス? 違う? 拒否?」
「か、幹太?」
な・・なんつーんだろ?
【人土】たちと、【巫女】である俺の繋がりと『反』対っつうか・・。
「あ・・ああ・・・・あき、は・・ら・・・・かん・・た」
「うぐっ?」
何も無い空間から、声───
いや・・『声』と言うには余りにおぞまし過ぎる、『音』が染み込んできた。
音源は・・最初、見逃しそうな程小さな『穴』。
つか、アレは本当に穴なのか・・?
穴というより、空間に出来たシミだ。
シミが蔓延るかの如く、拡がってゆく。
「と・・『扉』、かしら?」
「いや、魔力が見えない」
アレは、俺を否定するモノ。
アレは、俺を反対するモノ。
アレは・・俺と『反』対なモノ。




