17『初登場させた時は・・この作品に居ない、純情可憐タイプにしようとしてたハズが・・。』
「あの馬鹿娘は・・西? ね?」
馬鹿娘の魔力パスを意識すると・・なんか、変な位置にいたよ。
何やっているのね?
てか、細かい位置は分かんないのね。
アレは歩く『世界』。
魔力の規模がデカ過ぎて、意味不明よ。
アタシ等を砂の一粒とするなら、アレは砂漠ね。
砂一粒の位置を探る能力で、砂漠を探ったら・・精々、方角しか分からないのね。
「取敢ず・・馬鹿娘は今回の作戦に参加させない、で、良いのよね?」
「チビッ子どもがなあ・・妹との再会を邪魔させないって言っているしな」
「あの・・もしかして、女王様の事ですか?
そんな他人を若返らせる程の超魔力なら、一発で解決するんじゃ───」
このガキ・・なんちゅう怖い者知らずね!?
「ゼレバ・・女王を守るのがオレ達だ」
「そ、そうね!」
その一発は、星破級の一発ね。
クジャラという男・・さすが、80年前からあの馬鹿娘との付き合いがあるだけあって、分かっているね。
よく見たら、微かに震えているよ。
「そ、ソレよりアロス。
『旧世代』の戦力は、村破級5000匹だそうだが・・残りはドコだ?
一斉に呼ばなかったのか?」
「分からない。
オレの使命は飽くまで、 " ドリー " の繁殖地から【ジート砦】を繋ぐ道に、出来るだけ沢山の傭兵高校の生徒を集める事だったんだ」
「魔物を呼ぶタイミングは、相手に一任されていたワケですか」
「ああ・・本来予定されていなかった場所───【ジート砦】に集まれば、ドリーが呼ばれる事は無いかも、と期待していたが・・」
「実際には来た、と。
5000匹のウチ100匹足らずしか来なかったのは、予定地じゃないからか・・始末する気が無いからなのか」
〔ソレは私めが御答えしますわ〕
「へ?」
謎の声・・かと思ったら、みんなアタシを見ているね。
何事かと自分の身体を探ったら・・小型通信機!?
しかもこの声───
「ポロヤン会長!?
アンタ、これ何時つけたね!?」
〔 ほほほ・・ 〕
「ほほほ、じゃないね!?
今までの話、勝手に聞いてかね!?
プライバシー侵害よ!」
〔 プライバシー侵害というのは、貴女が寝ている間に埋めこんだチッ───
・・クジャラさん、『旧世代』の魔物についてですが 〕
「おい、何つった!?」
何が怖いって、この腹黒クロ介なら本気でヤリかねない所ね。
「ポロヤンさん、何か知ってるのか?」
〔 ええ 〕
「ぽ、ポロヤンって・・あのパラヤン商会会長の───!?」
「確か、コッチの世界で世界一のお金持ち!?
そんな人と普通に会話してるクジャラさんって・・」
ガキ共は、目ぇキラキラさせて興奮してるけど・・あの女にゃ近付かない方が身のためね。
男は内臓を、女は貞操を盗られるね。
きっとそうよ。
〔 実は数日前、『旧世代』と思わしき男が来店しまして 〕
「アンタんトコに来るって事は、武器が目当てか?」
〔 ええ・・ですので、在庫処分に困っていた不良品を売り付けちゃいました♡ 〕
「え、エグいな」
〔 後は、ジャミング装置を武器に偽装して売りましたね 〕
「ジャミング装置?」
〔 周囲の通信波をムチャクチャにする機械・・と思って下さい。
ソレで先程の5000匹が来なかったかと 〕
「成程な・・で?
アンタにも愛国心は、有るんだろうが───タダで動くタイプじゃ無いだろ?」
〔 ほほほ・・ 〕
「ほほほ、じゃねえ!
・・そうか、チビッ子どもか。
アンタ、【人土】と【人茸】に御執心だったよな」
〔 何の事ですかね?
私は、イチ【銀星王国】の民の一人として当然の事をしたまで。
・・ああ、コレで私は女を超越した女になる!
この世から男は滅せ───ブツッ 〕
「「「・・・・」」」
「・・思わず、通信機を壊しちゃったけど良いかね?」
「・・良いんじゃないか?
弁償代はウチから出すよ・・」
「助かるね・・」
あの女、絶対そうゆうの要求してくるね。
「さて・・5000匹がジャミング? されてバラバラに動いたと仮定したら・・」
『チビッ子たちが動く』
「あの・・さっきから言っている、そのチビッ子って・・?」
一般人組がキョトンとしてるね。
まあ、チビッ子とか言われても分かんないね。
「女王の子供たちだよ。
王位継承権みたいなのは無いがな」
「じ・・女王の子供───
そ、ソレってこの国の機密情報とかじゃ・・?
そもそも、女王が若返らせるチカラが有ってクジャラさんが100歳以上とかってのも・・」
「機密・・といえば機密だが───
ソレを武器に魔王討伐隊へケンカを売れる奴なら、他の何でも武器に出来るだろ」
星破級の名は伊達じゃ無いね。
「とにかく。
援軍の魔物は、来ても数10匹。
後は人間の『旧世代』か5000匹はチビッ子に任せ・・オレ達は【ジート砦】の死守だ。
───行くぞ!」
クジャラが、傭兵高校の連中やら他の傭兵団やら騎士やらを纏めて再び【ジート砦】へと向かうね。
───『旧世代』の目的が『姉妹』なら・・『姉妹』が動く事態に成らなきゃ良いけどね。




