10『「ツチノコみたいに見つけたら100万とか・・」「無いよ」』
『ヒュー?』
「げっ、賢者!?
何でアンタがココに居るね?」
あたしが雇われ店長をやっているパラヤン商会の店に、キナ臭い客が来て・・久しぶりに『人類皆殺し派魔女』としての本能を発揮できそうな場所に来てみれば・・最悪ね。
魔女でも古株の・・賢者が、何でこんな所に居るのね?
コイツ、あの馬鹿娘の最側近の一人だから苦手なのよね。
しかも・・妊娠!?
マジで何が有ったね!?
「『三者を越えし者』、知り合いかしら?」
『ああ、古い知り合い。
昔はケンカしたけど、今は仲良し』
「ケン───」
『仲良し。 仲良し・・?』
「あーハイハイ、仲良しね!
なーかーよーしーーー!!」
「「「 へー・・ 」」」
・・何がケンカで、何が仲良しね。
嘗ては、【空の口】サイドと【ヨランギ】サイドで血塗の殺し合いをした仲ね。
コイツのこうゆう、惚けたボケっぷりが苦手なのね。
「・・で? アンタ、何でココに居るのね?」
『アキハラ ソウタが、もう直ぐ此処に来る』
「───は?」
『アキハラ ソウタが、もう直ぐ此処に来る』
・・・・。
「冗談・・ね?」
『本気』
「じゃ、じゃあ・・妹が来るって事は」
『姉も来る』
「・・・・」
『・・・・』
「いぃーーやあーーーっ!!?
帰る、アタシゃ帰るねっ!?」
【ジート砦】にどんなキナ臭い話が転がっているのかと思ったら・・キナ臭いどころか、大噴火直前の火山だったね!
火遊び程度じゃ済まないよ!?
骨も残さずチリとなるのね!
『まあまあ、遠慮しない』
「遠慮じゃないね!?
オマエ、天然もイイ加減にしないとブッ飛ばすのね!?」
『牡蠣、食べる?』
「マジ殺すね!?」
「さ、『三者を越えし者』さん・・。
彼女・・本気で嫌がっているみたいだし、止めた方が」
「少年少女、この天然ボケにもっと言うね!」
『自分は天然ボケではない。
彼女は、貝殻で全身の肉を削り取られて死んだ魔女。
トラウマ克服の為に───』
「何バラしてくれちゃってるねええええぇぇーーーーーーーーーーっ!?」
ホント最悪ね!
魔王討伐隊はアホばっかよ!?
「ま・・魔女ってあの伝説の───」
「はあ・・。
仕方ない・・確かにあたしゃ・・」
「───UMA・・!」
「アホの仲間はアホばっかね!」
人を雪男やなんかと一緒にするなね。
・・・・あー・・疲れたよ。
「魔女と知り合い・・って事は、『三者を越えし者』さん。
アンタも・・魔女なのか?」
・・おっ?
最年長っぽい ( ホントの最年長は賢者だけどね。) 傭兵が、マトモな返しをしたね。
たぶん、この中だと唯一話が通じそうだね。




