8『【銀製王国】はトイレが充実しています。』
「ゼレバ、準備は出来たか?」
「ええ。
" とらっく " に乗るのは初めてだから楽しみです」
イースト総監の子供? による『パパおしっこ事件』で、教師の列に並んでいた女性が、幼女をトイレに連れて入学式は中断することなく・・なんとか恙無く終えた。
『80年前から、その存在は確認されていた反社会的組織が最近、入出制限中のトイレで目撃され───
ああ、うん・・【ジート砦】で目撃され、その目的は全ての個室の占拠───
ああ、うん・・反社会的組織は別のトイレに連れていって、個室を不当占拠する集団を総戦力を以て排除───』
・・との事で、【ジート砦】付近で目撃された反社会的組織の排除が、今回の作戦となる。
・・と、校長が言ってた。
「えっ!? 先輩が運転手を?
まさか先輩、免許持っているんですか?」
「ははは・・意外か?
コレでもオレはインテリなんだぜ」
トラックやバスなどの大型車は、公共機関や大手運送屋が。
乗用車などは、VIPの乗る車で・・まだまだ一般人に車は高嶺の花だ。
当然、免許証も一般人には縁遠い物だけど・・。
「昔、アスェベタって貴族の所で働いていたんだよ」
「アスェベタ・・って、【ジート砦】近くの【ジート村】の初代村長の───」
「・・の、弟の家だな。
魔王討伐隊だった兄貴は弟に家督を譲り、自分は補佐にまわったそうだ」
「へえ・・」
「まあ、その縁で貴族相手の個人運転手や運送業をやってたんだよ」
「ソレで運転できるんですね」
「まあな」
今は、貴族といっても───
『○○村の○○館が壊れかけ』と、各村々から訴えられたら国に報告し・・国から『ハイ、修繕許可と修繕費を村に渡してね』といった、橋渡しぐらいの仕事で、大した権力はない。
一つには、差別・汚職を減らすため・・ではあるが、もう一つには『貴族の貴族たる理由』の消失にある。
貴族の貴族たる理由・・ソレは、
『如何に強い魔力を持つか』
『如何に魔法使いの子供を産むか』
に、有るのだが・・ハッキリ言って、その二つは【人土】に負ける。
昔で言う、血継断絶ってやつだ。
しかもその【人土】が、個人的欲望にさほど興味がない。
自分の欲望より【巫女】のため。
【巫女】が良い国を望むなら良い国を。
其処に汚職は要らぬというなら、汚職のしようが無い ( 旨味が無い ) 環境を作る・・という訳だ。
「・・受付場、ソレっぽい人が居ませんね」
「ああ、おっぱ───下種に目ぇつけられてた女性か。
下らん連中に言い寄られて逃げたか・・」
「あっ、すいませーん!
そのトラック待ってぇ!」
「ん?」
女性が二人、駈けよってくる。
一人目は黒髪、二人目は金髪。
黒髪の女性は申し訳程度の武装で、金髪の女性は・・妊婦!?
「このトラック、【ジート砦】の作戦に行くトラックですよね?」
「そうだよ、キミ達は・・傭兵?」
「リリです。
アタシは魔法使いってだけで雇われた新人ですけど。
コチラは・・」
『自分は『三者を越えし者』。
【人土】で、傭兵ではないが【ジート砦】に用がある。
済まないが、乗せてもらえないだろうか?』
さ、『三者を越えし者』・・?
【人土】は変わり者が多いとは聞くけど・・。
( ドショタとか仮面とか淫乱とか。)
まあ良いや。
・・二人とも、可愛いし。
「良いですよね、先輩?」
「コッチは構わんが、ゼレバ。
狭いからって、変な気おこすんじゃ無いぞ?」
「もう、何言ってんですか!
ほら、乗って乗って」
「有難うございまーす」
『助かる』
荷台から二人を引っ張りあげる。
あっ・・良い匂いだな。
───って、違う。
「二人は魔法使いと【人土】なら、後方支援陣に降ろせばイイのかな?」
「お願いします」
『頼む』




