7『≪・・じゃあ、颯太ちゃんが『する』の?≫ と、要らんことを言って更に怒られたり。』
「我が友よ」
「『反』よ」
──・・なん・・だ・・?──
「秋原 幹太が目覚めたらしい」
「80年ぶり・・だそうだ」
──・・っ!──
「オマエと秋原 幹太・・。
共に、80年の眠りから目覚めるのだからな」
「シンクロニシティ・・という奴か」
──かん・・た・・かんた・・!──
「日本語には因果応報・・という言葉がある」
「正しく、奴に相応しい言葉だと思わないか?」
──ころ・・す・・殺す・・殺す──
「うむ・・。
奴は、歴史の特異点」
「連綿と続きし『歴史』を殺した者」
「『英雄』などと呼ばれ、有り得ぬ未来を作りし者」
「奴を討ち滅ぼし、旧き歴史に戻す」
「新しい歴史など要らぬ」
「破壊者など要らぬ」
「秋原 幹太など要らぬ」
──ぉ・・おおお・・お・・っ──
「『反』よ、『反・英雄』よ・・。
秋原 幹太を破壊せよ」
◆◆◆
『じ・・銃も爆薬も通じなかった村破級の群れを、こんな幼女がたった一人で───』
「じゃあ僕たちは行くねぇ」
今日も颯太婆ちゃんとの旅は続く。
昔は『世界の警察』とか言ってた国や、『世界の中心』とか言ってた国が有った大陸は、魔物の闊歩する場所となっている。
そんな大陸の・・僅かな生き残りの住人達を、オレ達は助けていってる。
「なあなあ颯太婆ちゃん。
颯太婆ちゃんは、そんな強ぇのに『幹太姉ちゃん』って、もっと強ぇのか?」
「うん、幹太姉ちゃんは最強だよ。
魔力も・・心も」
「そっかあー・・」
幹太姉ちゃんなら、『無茶』さえすれば大陸ごと大陸中の魔物を一撃で吹き飛ばせるらしい。
幹太姉ちゃんのアダ名は『星破級』だそうだ。
「魔物・・多いよな」
「噂だと80年前・・核攻撃に失敗した大国は、最終手段としてコッチの科学のチカラで『扉』を開けようとしたらしいねぇ」
「開いたの?」
「噂だと、一瞬だけね。
しかも向こうから来たのは魔物だけ・・だってさ」
「ふーん、ソレが繁殖したのか。
バっカだなあー」
「バカだねぇ」
なんだかんだで、魔物に襲われる人を放っておけない幹太姉ちゃんの為───『無茶』をさせない為に・・颯太婆ちゃんは、幹太姉ちゃんとの再会前に出来るだけ魔物を倒しまくりたいらしい。
「傭兵だからねぇ」
「そっか」
あー・・早く会ってみてぇなー。
父ちゃんと母ちゃんには、勝手に旅に出た事を怒られたけど・・オレだって秋原家だもんな。
旅はスンゲェ楽しいぜ。
「オレも村破級一匹ぐらいは、なんとか成るんだけどさあ」
≪あらァ~、理太くゥん?
なら、私が入ってあげましょうか?≫
「いや・・いい」
≪聖者・・キミは淫乱すぎるからね。
それに引きかえ・・私は清貧、かつ身体強化魔法の使い手だからね。
理太、キミに相応し───≫
「いや・・覇者も " ドえっち " だから、いい」
≪ドレッドノート級っ!?≫
颯太婆ちゃんの中から聞こえてくる魔女達の声は無視する。
・・そりゃ確かに聖者と覇者の二人は強ぇし、二人がオレん中に入ってきたら───オレも『チート』だけどさ。
幹太姉ちゃんの子供は、中に魔女も居ないのにチート級らしいからな・・。
オレも修行して、チート級になってやる。
( あと二人とも、すぐえっちな話するし。 二人がオレの筆・・ナントカをしたいって言って、颯太婆ちゃんからメチャクチャ怒られてたし。)
≪今代の秋原家の人間は、【空の口】様が作りし『源・街破級』と、同等以上の部屋を持つけどねえ~≫
「ふーん、昊曾婆ちゃんってスンゲェんだな」
≪幹太の子供等は、部屋に魔女が居ないかわりに・・母親の膨大な魔力をひたすら貯めこんでいるようだ≫
「アッチは、颯太婆ちゃん並みの【人土】じゃなくて唯の人間でも、若返るんだろ?
・・そんな魔力かあ」
颯太婆ちゃんの中には、80年前世界を滅ぼそうとした魔女達ふくめ、100人以上居るらしい。
魔王討伐時の8人よか、めっちゃ多い。
けど幹太姉ちゃんには、数えきれない程───
どんなに少なくとも、数千万人は居るんだって。
「・・でも。
ぜっっったい、颯太婆ちゃんの方がスゴいに決まってるんだ!」
「あはは・・まあ幹太姉ちゃんを見たら、理太も分かるよ。
───さあ、もうすぐ世界一周のゴール・・日本だ」
「日本に帰ったら、向こうの世界と繋がる『大扉』だな!」




