6『遅れてやってくるモンです。』
昨日は勝手に休み、申し訳有りませんでした。
寝坊したうえ、謎の腹痛にウンウン唸っておりました。
「よう、クジャラ」
「よう、ザコ傭兵団」
「誰がザコ傭兵団だ、誰が。
ディッポファミリー傭───運送団のロートルめ」
「はん」
【人土】幹部である嫁から、キナ臭い話を聞いた俺は・・ジキアの息子達に連絡をとる準備途中で【銀製王国】を警備する傭兵団と出会う。
コイツ等は80年前まで、男尊女卑や弱い者イジメをしていたカス共だったが・・【銀製王国】に存在しない筈の【コカトリス】騒動の中で、『あのコ』と共同作戦をとるウチに改心した連中だ。
「・・昔ほど、ザコとか言われて怒らなくなったな」
「偉大な『姉御』が、下ッパの仕事を進んでやってんだ」
「『エラソウ』な肩書きが『偉い』訳じゃねえだろ」
「『ザコ』と呼ばれようと、『オレ等』はオレ等だ」
80年前はクチ先だけ野郎だったコイツ等がなあ・・。
あのコが目覚めてコイツ等も、社会奉仕活動を頑張っているし───
「───あわよくば、イーストみたいに・・自分の子供も産んで貰える、なんて考えてないだろうな?」
「「「 ぎくぅーーっ!? 」」」
「あのな・・」
今、あのコはなあ・・。
・・割とガチでヤバイんだよ。
オレ等にとっては、ディッポ団長やジキア達の死は数十年前の出来事だけど・・彼女にとっては、まだたったの三年。
しかも彼女は、トンでもない仲間想いだからなあ。
ソコに・・異性の善人に惚れる『呪い』が復活しているから───偶に、無意識でオレ等まで誘惑してくんだよ。
コイツ等も、その圏内だから・・気を付けなきゃな。
「き・・今日は、クラッゲとナムァコと一緒じゃないのか?」
「今は二人とも、『あのコ』の『中』だよ。
嫁さんの母親の方が、定期的に若返りたがるからな」
彼女は充分若いんだが・・どうしても母娘そろって同じ男と結婚すると、自分と娘を比べちまうらしい。
ちなみに、母娘ともに二十歳の姿を維持している。
知らん人間が見ると、双子みたいにソックリだ。
・・弟達が、嫁の同僚みたいに相手の姿を指定しなくて良かった。
( 極稀に、発作的に5~6歳にさせてるみたいだが・・。)
「クジャラ、オメェは?」
「・・嫁さんから、ちょい面倒事を持ちこまれたからな。
ロートルはガキ共に頼るのさ」
「未だに仮面ゴッコをやってる、【人土】の嫁か。
・・厄介そうだな」
『旧世代』・・か。
平和を享受できない愚か者め。
「───よう」
「あん?」
「・・確かにオレ等はザコだ。
オメェ等が懸念するような相手には、役立たねえだろうが・・よ」
「それでも、数だけは居る。
実力より、数が必要な時は遠慮なく呼べ」
まあ問題は、立入禁止区域の【ジート砦】っぽいから・・あそこに近付きさえしなきゃ、良いか。
「・・ああ、そん時ゃ頼む」
「おう」
◆◆◆
「───ちょっとォー?
準備出来たのォー?」
「んー、もうちょい待ってくれー」
「もう・・出かける準備は女の方が長いって言うけど、アンタ純粋な女よか長いじゃない!」
「ひっ・・久々に颯太と会うんだぞ!?
秋原家10個分の荷物でも足りんよ」
「はいはい。
待ち合わせ場所の【ジート砦】までに終われば良いけどね」




